竹本健治(たけもと・けんじ)
1954年9月17日兵庫県相生市に生れる。東洋大学文学部哲学科中退。在学中にデビュー作となる「匣の中の失楽」を「幻影城」に連載を始め、1978年幻影城より刊行されるや否や、アンチミステリの傑作とマニアの絶賛をうける。本書『ウロボロスの偽書」の講談社ノベルス収録により、著者の二大巨峰はここに屹然と聳え立つ。他に『狂い窓狂い壁』(角川書店)、『カケスはカケスの森』(徳間書店)、「定本・ゲーム殺人事件』(ピンポイント)など。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
竹本健治 匣の中の失楽
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1978年
発行所: 講談社NOVELS
カバーアート:辰巳四郎
価格: 1068円
宣伝文句
『匣の中の失楽』讃 綾辻行人
帯、カバー、裏表紙等から引用
いまさら僕ごときが云うことでもないのだが、「匣の中の失楽』はまぎれもなくミステリ史上に残る傑作である。巨大な玩具箱のような、とでもたとえれば良いだろうか。探偵小説というものの、ありとあらゆる魅力的な要素をぎっしりと詰め込んだ玩具箱。これはそんな小説である。大喜びでこの箱の中に飛び込んだ者は、時を忘れて遊び惚ける内、いつのまにか自分がとてつもない迷宮をさまよっていることに気づいて慄然とする。これはそんな小説でもある。どこまでも「本格ミステリ」的でありながら、この作品は、自身が単なるそれとして完成されることを頑強に拒む。しばしば「アンチ・ミステリ」という言葉が冠されるゆえんである。それでもやはりーいや、あえてと云うべきだろうか、僕は心からの称讃を込めて、これを「本格ミステリ」の名で呼びたいと思っている。長らくの間絶版状態で、一部のマニア以外には知られることのない、まさに幻の名作”だったこの作品が、このたび新たな装いで“復活”する運びとなり、熱烈な竹本健治ファンとしては歓声を上げずにはおれない。これを機会にぜひ、一人でも多くの方に読んでいただきたいと願う。
著者のことば
この作品を書きあげてから、既に十余年の時が過ぎてしまった。今となっては、この作品は、もはや現在の僕とは全く別人の、当時二十二、三だったひとりの若者の作品になってしまっている。その立場からいって、ここには確かにある青春のかたちが描かれていると思う。ミステリというものを相手にして、持てる能力のぎりぎり限界まで格闘を続けた、その息づかいは少々胸苦しいほどかも知れない。
タイトル | 発表 | 感想 |
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匣の中の失楽 | 1978 | 若い時の作品だけあった、人間への考察は深くない。しかし、歳のわりにウンチクと小説の構成トリックは素晴らしい。 |
竹本健治 囲碁殺人事件
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1980年
発行所: 創元推理文庫
カバーアート:岩郷重力
価格: 580円
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第七期棋幽戦第二局は、〈碁の鬼〉と称される槇野猛章九段の妙手で一日目を終えた。翌日の朝、対局の時間に槇野九段は現れず、近くの滝の岩棚で首無し屍体となって発見される。死の二週間前に目撃された奇妙な詰碁は殺人予告だったのか。知能指数208の天才少年・牧場智久と大脳生理学者・須堂信一郎が不可解な謎に挑む長編本格推理。ゲーム三部作第一弾、牧場智久シリーズ開幕。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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囲碁殺人事件 | 1980 | 別に囲碁の知識がなくとも、それなりに楽しめる。 |
竹本健治 トランプ殺人事件
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1981年
発行所: 角川書店
カバーアート:深津真也
価格: 500円
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〈暗号〉当事者にしか理解できない約束の記号―。古びた洋館で開かれたコントラクト・ブリッジの対戦中に突然、一人の女性が失跡。そして、離れた郊外の廃墟で無残な変屍体となって発見された。そばには遺書のかわりのようにおかれていた一枚のカードが……..知能指数の天才少年牧場智久とミステリーマニアの姉、その恋人の大脳生理学者の素人探偵トリオが不可解な事件を推理する。そこには隠された暗号が!!鬼才・竹本健治の幻の代表小説ゲーム三部作「トランプ編」究極の第3弾!!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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トランプ殺人事件 | 1981 | 暗号は力が入っている。ブリッジの知識はあった方がいい。 |
竹本健治 パーミリオンのネコ 第01巻 殺戮のための超絶技巧
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1988年
発行所: 角川春樹事務所
価格: 704円
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内容(「BOOK」データベースより)
帯、カバー、裏表紙等から引用
百万に一つの失敗もないという“百万分の一のネコ”。畏敬と嫌悪のいり混じった通り名が、D種特務捜査官である彼女の勲章だ。存在自体が極秘扱いにされるD種犯罪者を狩り出す任務のため、ネコはグラビアという見棄てられた鉱業惑星に。獲物は二年前の惑星プレノリアで起きたテロ事件の首謀者“大鎌”。ネコと相棒ノイズに突如襲いかかる姿なき死の竜巻…。大鎌のサイ能力が炸裂する。サイキック長篇。
タイトル | 発表 | 感想 |
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パーミリオンのネコ 第01巻 殺戮のための超絶技巧 | 1988 | なぜミステリ作家は、慣れないSFファンタジーにまで手を出したくなるのか。 |
竹本健治 ウロボロスの偽書
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1991年
発行所: 講談社NOVELS
カバーアート:辰巳四郎
価格: 1200円
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竹本健治の連載ミステリに、ひそかに忍び込む残虐非道な殺人鬼の連載が回を重ねるにつれ、虚構と現実は、妖しくも過激に昏迷の度を深める。竹本健治、綾辻行人、友成純一、新保博久、島田荘司… ミステリ界を彩る豪華キャストが実名で登場、迷宮譚に花を添える。『匣の中の失楽』と並び賞される傑作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
著者のことば
不思議な話を読みたい。読み終わったとき、いつのまにかまわりの世界がすり替わってしまっているような、そんな不思議な話を読みたい。―ずっと離れないその欲求は、そんな話を書きたいという願望でもあった。もちろん峰ははるかに高いが、ここにひとまずの総決算として、恐る恐るこの物語を提供する次第である。文字通りのご笑覧を。
タイトル | 発表 | 感想 |
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ウロボロスの偽書 | 1991 | いわゆるメタ・ミステリという複雑な指向なので、かなり気合をこめて読まなければ、ついていけない。 |
竹本健治 緑衣の牙
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 1998年
発行所: 光文社文庫
カバーアート:深津真也
価格: 533円
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深い森に囲まれた北海道函館近郊の美しい学園・星辰女子学園で惨劇が起きた! 二年生の朝倉麻耶が水死体で発見されたのだ。さらに、麻耶の死んだ沼の岩に『罪ハ血デ贖へ』の血文字が……。学園のマドンナ的存在だった彼女に何が!? 悪魔と戯れる少女たちの密儀とは? 連続殺人に挑む天才少年・牧場智久と女子高生・武藤類子。鬼才・竹本健治の意欲作!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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緑衣の牙 | 1998 | 女子高生まで読者層を狙ったか? わりと想像通りの学園もの。 |
竹本健治 涙香迷宮
著者: 竹本健治
たけもとけんじ
発表: 2016年
発行所: 講談社
カバーアート:坂野公一
価格: 2200円
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内容紹介(「BOOK」データベースより)
帯、カバー、裏表紙等から引用
囲碁界では有名な老舗旅館で発生した怪死事件。IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久は謎を追いかけるうちに明治の傑物・黒岩涙香が愛し、朽ち果て廃墟になった茨城県の山荘に辿りつく。そこに残された最高難度の暗号=日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」48首は天才から天才への挑戦状だった。『このミステリーがすごい!2017年版』(宝島社刊)国内編第1位!!第17回「本格ミステリ大賞」小説部門受賞!第40回「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第3位。
タイトル | 発表 | 感想 |
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涙香迷宮 | 2016 | 実に考えに考えた複雑な暗号であることは理解しても、それで面白いわけでもない。 |
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