元ホテルマン。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
森村誠一 新幹線殺人事件
宣伝文句
その日、ひかり66号のグリーン車は空いていた。名古屋を過ぎてまもなく、検札の車掌が通った時に異常はなかった。だが終着の東京に近づいたころ、乗客の一人が男の刺殺体を発見、たちまち車内は大混乱に陥った。
帯、カバー、裏表紙等から引用
目撃者も凶器もなく捜査は極めて難航した。そして捜査本部がようやく、事件の背後に、万国博の巨大な利権をめぐる二大芸能プロダクションの暗躍をつきとめた時、有力な容疑者が捜査線上に浮かび上がった。しかしその男には、二重三重に張りめぐらされた鉄壁のアリバイが……。
独創的な密室トリックと芸能界の裏面を抉る鋭い社会性とで、戦後推理小説中屈指の名作とされる、著者の最高傑作!
タイトル | 発表 | 感想 |
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新幹線殺人事件 | 1970 | 万博の裏での、芸能プロの醜い争い。当時は東京ー大阪を三時間で結ぶ新幹線は画期的で、それを利用したアリバイ作りは斬新だった。 |
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「また宿題をやってこなかったのね!」若い女教師中原みどりの怒りが爆発した。彼女は、クラスの中でいつも一人だけ反抗的なその少年の頬を激しく打った。だが、少年はたじろぐどころか、逆に燃えるような挑戦的なまなざしで彼女を見返した。
帯、カバー、裏表紙等から引用
数日後、埼玉県K市郊外の桑畑で中原の死体が発見された。腹部に受けた二箇所の創傷が致命傷である。捜査線上に例の少年が浮かびあがり、彼の部屋の縁の下から、血のついた小刀が発見された。さらに少年の、ミドリ色の昆虫に限って切りきざむ奇癖が明るみに出たのである……。
犯罪者の深層心理を鋭く抉る異色の短編集。表題作ほか四編を収録。
タイトル | 発表 | 感想 |
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精神分析殺人事件 | 1971 | 昆虫を虐待する少年は、先生を殺したのか? |
催眠術殺人事件 | 1971 | 後催眠で妻に夫を殺させようとした医師の恨み。 |
精神分裂殺人事件 | 1971 | 被害妄想の強い夫の妻は、本当に遺産を狙っているのか。 |
麻薬分析殺人事件 | 1971 | 連続強姦殺人事件に便乗しての、殺人はばれた。 |
児童心理殺人事件 | 1972 | 殺意の虚像改題。団地で殺人者の濡れ衣を着せられた男の頼みの綱は、目撃者の少年のみ。 |
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”ラーメンから原子力まで”を旗じるしに、利権をあさり醜く太っていく巨大商社。そこには、政治資金と利権のコネを求め、互いに接近をはかる政治家と財界人の”癒着”がある。
帯、カバー、裏表紙等から引用
”生か死か”の危機にも通じるウラン濃縮化の新しい実験に成功した少壮の科学者が行方不明! 企業のうすぎたない利益の追求の裏には、狙った獲物を必ず”悪の底”に引きずりこむ甘い罠が……。
弱肉強食の非情な世界を描いた著者会心の傑作推理長編。推理作家協会賞受賞作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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腐蝕の構造 | 1971 | 不審な夫の死の謎を追う、妻をめぐる社会派長編。この時代の、社会悪を糾弾する姿勢は松本清張作品を見ているようで、まだ氏の個性が確立されていない。 |
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高層ホテル最上階に浮かぶ豪華なスカイレストラン。到着したエレベーターの扉が開いた。次々に降りる客に取り残されて、うつろな表情をした一人の若い黒人が突っ立っている。やがて、その男が崩れるように倒れた瞬間、鋭い悲鳴が上がった。男の胸には、深々と差しこまれた血まみれのナイフが!
帯、カバー、裏表紙等から引用
事件を担当した所轄署の棟居(むねすえ)刑事は、異常な執念で捜査にあたった。彼は幼い頃、衆人環視の中で、無法な米兵たちに父親をなぶり殺しにされた。「米兵は勿論だが見殺しにした群衆が憎い」。彼は、やり場のない怒りを犯人追跡に向けて激しく爆発させていった……。
第三回角川小説賞に輝く感動の推理巨編!
タイトル | 発表 | 感想 |
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人間の証明 | 1978 | 昔は西条八十の詩に感動したものだったが、今はそれほででもない。むしろ、棟居刑事の人物描写など、かなり型にはまっているのではないか。 |
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ロンドン・ベニス間を一昼夜で走るオリエント急行は、その歴史、豪華さ、風格、話題性から考え、まさに”伝説の中の列車”であった。日本からツアーに参加した安養寺(あんようじ)ら10名の男女は、その華やかさに酔いしれていた。一年後、彼らの間で次々と起こる謎の連続殺人事件。誰が加害者で、誰が被害者なのか。捜査の焦点は、ある日時のある場所で起こった事件へ……。”夢の超特急”オリエント急行を舞台に、森村誠一が満を持して新境地に挑む、本格推理長編。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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新・オリエント急行殺人事件 | 1985 | クリスティの名作を、丁度ひっくり返したような作品。ストーリーよりも、着想自体を楽しもう。 |
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本書に収めた五作は、「奇妙な味」を主題としている。推理小説の一つの分野となっている奇妙な味は、まずストーリーの意外性と、非日常性を身上とする。非日常と言っても荒唐無稽なお伽話とは異なる。それは日常の中にぱっくりと口を開いた非日常の世界である。それだけに読者のだれもが、ひょっとすると自分自身も陥るのではないかという恐怖感をおぼえるような処方が為されている。
帯、カバー、裏表紙等から引用
<あとがき>より
タイトル | 発表 | 感想 |
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地屍 | 1988 | 邪魔者を立ち退かせたい、地上げ屋の巧妙な作戦。 |
飢餓連環 | 不明 | 弱い動物のように、強者に食われていく会社の末路。 |
盗めなかった”切り札” | 不明 | 高利貸しの婆と日本泥棒協会の知恵比べ。 |
盗まれた密室 | 不明 | 間接をはずすことができる男が構成した密室は、あっけなく見破られた。 |
虫の土葬 | 不明 | 希望退職した中年サラリーマンの絶望。 |
兇家 | 不明 | 異常に縁起を担ぐ男が住んでいた家の、縁起の悪い畳の配置。 |
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