社会派推理小説の巨匠。日本の古代史にも一家言もつ。
印刷屋の小僧をかわきりに、朝日新聞記者を経て、
デビューは遅いものの、圧倒的な著作量。人間タイプライター。
探偵は新聞や雑誌の記者、悪役は汚職役人などと、嫌になるくらい現実的なので、非常に重くてもたれる感じだ。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
- 松本清張 共犯者
- 松本清張 憎悪の依頼
- 松本清張 延命の負債
- 松本清張 駅路 傑作短編集(六)
- 松本清張 カルネアデスの舟板
- 松本清張 点と線
- 松本清張 ゼロの焦点
- 松本清張 黄色い風土
- 松本清張 黒い福音
- 松本清張 考える葉
- 松本清張 砂の器 上 ★★★★★
- 松本清張 砂の器 下 ★★★★★
- 松本清張 眼の気流
- 松本清張 神と野獣の日
- 松本清張 黒地の絵
- 松本清張 西郷札
- 松本清張 Dの複合
- 松本清張 死の枝
- 松本清張 火神被殺
- 松本清張 黒い画集
- 松本清張 巨人の磯
- 松本清張 黒の様式
- 松本清張 清張通史1 邪馬台国
- 松本清張 私説・日本合戦譚
- 松本清張 屈折回路
- 松本清張 清張歴史游記
- 松本清張 聖獣配列 上
- 松本清張 聖獣配列 下
- 松本清張 日本史七つの謎
- 松本清張 松本清張の日本史探訪
松本清張 共犯者
宣伝文句
銀行を襲い、仲間と山分けにした金で商売をはじめた内堀彦介は、事業に成功した今、真相露顕の恐怖から5年前に別れた共犯者の監視を開始するが……。疑心暗鬼から自滅していく男を描く『共犯者』、妻の病気、借金、愛人のもめごと、仕事の失敗——たび重なる欲求不満と緊張の連続が生み出す衝動的な殺意を捉えた『発作』。ほかに、『恐喝者』『愛と空白の共謀』など全10編を収める。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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共犯者 | 1956 | 豊かになったはじめて、元の仲間が信用できなくなった男。 |
恐喝者 | 1954 | 脱獄の途中で助けた女は、辱められたと錯覚しているらしい。ひょんな所で再会した男は、それを利用して金をせがむ。 |
愛と空白の共謀 | 1958 | 夫が旅先の旅館で突然死んだ。同情して泣いている女中はただ一人。未亡人は愛人となった旅行して真相を知る。 |
発作 | 1957 | |
青春の彷徨 | 1953 | 人間は、優越感で生きたくなり、劣等感で死にたくなる。 |
点 | 1957 | スパイとして共産党に潜り込んだ警官の、惨めな後半生。 |
潜在風景 | 1961 | 愛人の息子が私を殺そうとしている。私には見覚えがある。 |
剥製 | 1959 | にせの鳥寄せ名人と、売れなくなった作家の類似。 |
典雅な姉弟 | 1961 | 華族くずれの、仲がいいが異常な姉弟。弟に愛人ができて一気にバランスが崩れる。 |
距離の女囚 | 1954 | 人生の流れで落ちていった女の、前の婿に宛てた、決して読まれない手記。 |
宣伝文句
私の殺人犯罪の原因は、川倉甚太郎との金銭貸借ということになっている。——金銭のもつれから友人を殺害した男が刑の確定後に、秘められた動機を語る表題作。女性が失踪し、カメラだけが北海道で見つかった。死体は発見されず、容疑者の新進画家には堅牢なアリバイがある。巧みなトリックを生かした『すずらん』など、魅力溢れる全10編を収録した文庫オリジナル短編集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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憎悪の依頼 | 1957 | からかわれた女を暴行すように依頼した男だったが、衝動的な憎しみがわき上がる。 |
美の虚像 | 1966 | 高名な美術評論家と、贋作屋の関係。 |
すずらん | 1965 | すずらんは北海道だけに咲くわけではない。 |
尊属 | 1964 | 父親殺しの姉は、妹たちを救ったと喜んでいたが…。 |
文字のない初登攀 | 1960 | 初登攀の記録を証言してくれるはずの男女は、不倫の間柄だった。 |
絵はがきの少女 | 1959 | 新聞記者が、ふとした興味で、絵はがきの少女の人生を辿る。 |
大臣の恋 | 1954 | 昔信じていた恋人の言葉をたよりにして、出世した男。地方講演の際に、彼女との再会をたくらむが、現実は見事に彼の思いを裏切る。 |
金環食 | 1961 | アメリカの学者による日食観察の最適地がずれていたことを発表した記者が、GHQから圧力を受ける。 |
流れの中に | 1961 | 情けない父の思い出。 |
壁の青草 | 1966 | 少年受刑者の日常。 |
宣伝文句
“死にたくない。商売がこんな大事なときに死んでも死にきれない”——町中の印刷工場の主村野末吉は、病院のベッドの上で思った。苦労を重ね続けた人生が、ようやく好転しかけていた。彼は意を決して、縁者から多額の借金をし、最上等の個室に入り、心臓手術の担当医にも十分な謝礼をした。そして無事、退院を果せたが……。表題作「延命の負債」など、人生の皮肉、孤独をテーマとする初期作品十二編を収録。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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延命の負債 | 1977 | 無事心臓手術は終ったものの、結局無理な借金で首をつった経営者。印刷屋もの。犯罪もない、オチがあるわけでもない、人生模様いろいろの小品を集めた短編集。 |
湖畔の人 | 1954 | 諏訪に隠遁していた、松平忠輝に自らを重ねる、老新聞社員。 |
ひとり旅 | 1954 | かつては、自分もしていた、行商のひとり旅をうらやましく思う皮肉。 |
九十九里浜 | 1956 | 腹違いの姉がいたことを知り、訪ねてみた男。 |
賞 | 1957 | かつての受賞を看板にしつつ、零落した老研究者。 |
春の血 | 1958 | 再婚して若返ったように見えた親友だったが…。 |
いきものの殻 | 1959 | 部長以上のみ参加できる、退職者の会。 |
津ノ国屋 | 1960 | 逃げた夫を、説得に行った嫁と弟。 |
子連れ | 1965 | モデルにして小説にした男が、一家して押しかけてくる。 |
余生の幅 | 1966 | はっきりしない亭主の死後の、内縁の妻の末路。 |
三味線 | 1966 | なにやらよそよそしい、婚姻の相手の親夫婦の真相。 |
月 | 1967 | さえない史学者と、達筆な助手の関係の最期。 |
宣伝文句
推理小説の第2集。平凡な永い人生を歩き、終点に近い駅路に到着した時、耐え忍んだ人生からこの辺で解放してもらいたいと願い、停年後の人生を愛人とすごそうとして失踪した男の悲しい終末を描く『駅路』。邪馬台国の謎を追究する郷土史家を描きながら”邪馬台国論争”に関する著者の独創的見解を織り込んだ力作『陸行水行』。他にある『小官僚の抹殺』『万葉翡翠』など8編を収める。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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白い闇 | 1956 | 失踪した夫を探す妻。夫の従兄がなにかと助けてくれるが…。 |
捜査圏外の条件 | 1957 | |
ある小官僚の抹殺 | 1958 | 実情をもっともよく知る、自殺した小役人のせいで、行き詰まる汚職事件の捜査。 |
巻頭句の女 | 1958 | 余命いくばくもない女が、退院して結婚した。疑う俳句同人仲間が、事件を追う。 |
駅路 | 1960 | 家庭も落ち着き、第二の人生のために失踪した男の落ちた罠。 |
誤差 | 1957 | 旅館で変死した女と、遁走した同宿の男。死後硬直の鑑定の幅によって、容疑者が大きく変わる。 |
万葉翡翠 | 1961 | 万葉集に詠まれた歌には、勾玉の原石である翡翠のありかが示されていた。 |
薄化粧の男 | 不明 | 若いときに美男子だった初老の男は、化粧までする未練がましさだった。反目する妻と愛人。殺したのはどっちか? |
偶数 | 1960 | 気にくわない元上司を陥れるために、愛人を抹殺することにしたサラリーマン。持ち出した1個の茶碗が、犯行を暴く。 |
陸行水行 | 1962 | ミステリに名を借りた、邪馬台国もの。魏使が川を渡ったとするのがユニーク。 |
宣伝文句
教授の職を追われ故郷へ身をひいた恩師を訪ねた玖村は、大学への復帰を恩師に依頼される。師弟の立場の転倒から生じた秘かな優越と侮蔑。しかし玖村のその肚の中の愉しみは、ふとしたことで覆される。——本書に収載された7篇の作品は、すべてデモーニッシュな人間性を追及する純然たる芸術作業の結晶だ。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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カルネアデスの舟板 | 1957 | 仮に船が沈没して漂流しているとする。自分がすがっている板切れに他人がすがりついてきて、自分の生命が危うくなった場合、その人間を蹴落としても罪にはならない、というのが『カルネアデスの舟板』の刑法の緊急避難の理屈だ。時代の流れで、軽蔑していた恩師に出し抜かれそうになった大学教授は、一計を案じる。 |
鬼畜 | 1957 | 妾が3人の子を本宅に連れて来て、いなくなってしまった。情けない亭主の、子捨て、子殺しの、やるせない情景。 |
喪失 | 1956 | 相互銀行の集金人になった彼女は、新規契約を先輩の男に融通してもらっていたが、隠し愛人の存在がばれる。 |
二階 | 1958 | 病弱の夫が退院してきたが、看護婦と心中されてしまう。 |
発作 | 1957 | 貧乏なくせに、愛人のいる男の衝動的狂気。 |
一年半待て | 1957 | 酒乱の夫を撲殺した女は、世論に同情され刑が軽くすんだが、しかしそれは計画的犯行だった。 |
捜査圏外の条件 | 1957 | 元上司に復讐するため、7年かけて自分との関係を消していった銀行員。無事目的を果たすが、つまらないきっかけで、ばれる。 |
宣伝文句
九州博多付近の海岸で発生した、一見完璧に近い動機づけを持つ心中事件の裏にひそむ恐ろるべき奸計! 汚職事件にからんだ複雑な背景と、殺害時刻に容疑者は北海道にいたという鉄壁のアリバイの前に立ちすくむ捜査陣……。列車時刻表の駆使し、リアリスティックな状況設定により、推理小説界にいわゆる”社会派”的な新風をもたらし、空前の推理小説ブームを呼んだ秀作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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点と線 | 1957 | 古典的アリバイ崩しの草分け。今となってはトリックがものたりないが、先駆的な作品ということで、おススメ。 |
宣伝文句
前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で疾走した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、”自殺”として処理されていた夫の姓は曽根であった! 夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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ゼロの焦点 | 1958 | テレビ・ドラマ的展開。禎子の勘が妙に良すぎるのが気になる。 |
宣伝文句
日本列島を北から南へ連続して起こった六つの変死事件——奇妙な旅行新婚の男の変死と花嫁の失踪。この不可解な謎を内偵した週刊誌記者若宮四郎の取材活動は、事件の背後に暗躍する黒い集団の全貌を追求し、富士山麓の樹海に対決する。飽くなき記者魂と、現代社会に巣喰う悪への挑戦を描く本格推理の傑作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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黄色い風土 | 1959 | 「黒い風土」の改題。偽札製造集団の謀略。著者の往年の名作に比べ、話がうますぎて、地に足がついていない。厚さ(748ページ)のわりに、中身が薄い。 |
宣伝文句
殺人容疑者の外人神父は国外へ逃亡して、ついに迷宮に入った。日本にとって国辱ともいうべき「スチュワーデス殺人事件」を、かつてアメリカの日本占領下に続発した怪事件がアメリカの陰謀によるものとして「日本の黒い霧」を書いた作者が、そのナショナルは真実追求の念から、徹底的にこの犯罪を洗い上げる。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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黒い福音 | 1959 | 神をも畏れぬ、神父による犯罪を詳細に再構築した作品。いいところまで迫りながらも、教会の壁に阻まれる刑事の無念。ただ歯がゆさが残る。 |
宣伝文句
男は、心臓を鋭利な刃物で刺され、右胸の皮膚を丸く抉ぐられていた。新緑の四月初め、場所は、東京西方の田園を流れる川のほとり。……警察の捜査は、男が愛知の硯職人で、死の前、甲州の山あいの一鉱山を訪れたことを突きとめたが、続いて起こる、二つの殺人。被害者は、旧日本軍憲兵の前歴を持つ浮浪者と、東南アジアR国から秘密の目的で来日した一外国要人。
帯、カバー、裏表紙等から引用
謎の渦中に巻き込まれた若者崎津の前に、事件は、意外な拡がりと様相を示して展開する。——巨匠松本清張の、野心的推理長編!
タイトル | 発表 | 感想 |
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考える葉 | 1960 | 何ものにも興味を持てない青年は、容疑者になって初めて、主体的に行動に移る。時代の暗部の流れを描く、スケールの大きい謀略ドラマ。 |
宣伝文句
東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと”カメダ”という言葉を唯一の手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する……。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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砂の器 上 | 1960 | 過去を消すために殺人を犯さざるをえなかった犯人と、それを追う老刑事の執念。無駄のない描写がリアルさを支えている。 |
宣伝文句
善良この上ない元巡査を殺害した犯人は誰か? そして前衛劇団の俳優と女事務員殺しの犯人は? 今西刑事は東北地方の聞込み先で見かけた”ヌーボー・グループ”なる新進芸術家たちの動静を興味半分に見守るうちに断片的な事実が次第に脈絡を持ち始めたことに気付く……新進芸術家として栄光の座につこうとする青年の暗い過去を追う刑事の艱難辛苦を描く本格的推理長編である。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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砂の器 下 | 1960 | 奇想天外な凶器と、最後をはしょっているのが難点か。劇的な逮捕シーンは映画向き。 |
宣伝文句
車の座席で戯れる二人づれに憎しみの執念をもやす若い運転手。愛人に裏切られた初老の男のひそやかな怒り——二人の男の接点に生じた殺人事件を追う表題作。立身出世のために愛する女性を殺すが、女は奇蹟的に息を吹き返し、記憶を失ったまま男の前に姿を現す……非情なエリート官僚を描く『たづたづし』等全5編。日常生活に潜む恐ろしい生の断層、現代の憎悪を抉る推理傑作集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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眼の気流 | 1962 | 昔乗せた女に再会した運転手が、パトロンに告げ口する。パトロンの男は熟慮した復讐計画を立てる。 |
暗線 | 1963 | 決して故郷に帰ることのなかった父の秘密。 |
結婚式 | 1960 | 愛人の結婚式に乱入した社長と、彼のできた妻。 |
たづたづし | 1963 | 愛人の夫は服役中だと知った役人は、復讐をおそれ殺害を計画するも失敗。記憶を失った彼女と再び暮らすことに。 |
影 | 1963 | 人気時代小説作家と、彼の代筆屋の、それぞれの破滅。 |
宣伝文句
「重大事態発生」——ある早春の午後、官邸の総理大臣に、防衛庁統幕議長の電話が、うわずった声で伝えた。Z国から東京に向かって誤射された、5メガトンの核弾頭ミサイル5個。一発で、東京から12キロ以内が全滅。空中爆破も迎撃も、不可能。到着は……あと43分。真相は、ラジオ・テレビの臨時ニュースによって、全日本国民に知らされた! SFに挑戦した、巨匠松本清張の野心作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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神と野獣の日 | 1963 | 1時間の間にくりひろげられる、喜劇的な大パニック。美しく死にたいものだ。 |
宣伝文句
現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く『黒地の絵』。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した『真贋の森』。他に、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる『装飾評伝』など7編を収める。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 訳者 | 感想 |
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二階 | 不明 | 夫と看護婦の仲を疑う妻の疑念は、本当になった。 | |
拐帯行 | 不明 | 会社の金を横領して愛人と心中するつもりだったが、出会った夫婦によって気が変わった。 | |
黒地の絵 | 不明 | 妻を黒人脱走兵に襲われた夫は、復讐心からおかしくなってしまった。 | |
装飾評伝 | 不明 | 傲慢な画家の放蕩は、劣等感からくるものだった。 | |
真贋の森 | 不明 | 鑑定士が、美術界の重鎮と対立し、贋作をめぐって争う。 | |
紙の牙 | 不明 | 新聞社も汚職と関わっていないわけではない。 | |
空白の意匠 | 不明 | 製薬業界、広告業界にも賄賂は普通にある。 | |
草笛 | 不明 | 人妻相手の、若者の恋は実らず、さらに将来、幻滅するはめに。 | |
確証 | 不明 | 性病を移して、不倫に復讐。 |
宣伝文句
時代小説の第1集。西南戦争の際に薩軍が発行した軍票をもとに一攫千金を夢見た男とその破滅を描く「西郷札』。江藤新平の末路を実録的に描いて、同じ権力機構内にいるものの軋轢、対照的な勝敗を浮びあがら『梟示抄』幕末に、大名家老、軽輩の子として同じ日に生れた三人の子供が動乱の時代に如何なる運命を辿ったかを追及した『啾々吟』。異色の時代小説全12編を収める。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 訳者 | 感想 |
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西郷札 | 不明 | 西南戦争で、西郷が勝手に発行した紙幣は、価値が暴騰した。 | |
くるま宿 | 不明 | 人力車屋に現れた男は、元武士。 | |
梟示抄 | 不明 | 明治時代、反乱を企てた江藤新平を、大久保利通が追う。 | |
啾々吟 | 不明 | 維新を生きながらえた男は、なりすましだった。 | |
戦国権謀 | 不明 | 家康の家臣、本田正純はあまりにもキレるので、家中でも疎まれた。 | |
権妻 | 不明 | 異母兄妹で結婚しようとするのを、なんとか阻止しなけらばならない。 | |
酒井の刃傷 | 不明 | 老中を引退した酒井忠恭は、国替えされることとなったが、その背景には現代と同じドロドロした策謀があった。 | |
二代の殉死 | 不明 | 家光を慕って殉死した、堀田正盛、阿部重次。 | |
面貌 | 不明 | 徳川忠輝は醜さから家康に疎まれ続けた。 | |
恋情 | 不明 | 薩長側の旧藩主の息子は、伯爵令嬢に恋するも実らない。 | |
噂始末 | 不明 | 横恋慕による罠への復讐を成し遂げた武士らしさ。 | |
白梅の香 | 不明 | 江戸へ遣わされた色男は、美女に誘惑され、”香り”からバレる。 |
宣伝文句
作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や怪奇な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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Dの複合 | 1965 | 謎が謎を呼ぶ、飽きさせない展開。計算狂の女がいい味を出している。 |
宣伝文句
途方もなく膨張し、混乱し、錯綜した現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあうさまざまな犯罪。その陰に澱む愛憎と執念——狂気を装い、法の網の目を潜りぬけようとする男、交通地獄という世相の盲点を巧みに利用した殺人、猟奇事件の影に踊る札つきの不法建築業者、北国の闇を引き裂く夫婦殺害事件……。死神に捉えられ、破滅の深淵に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理短編小説。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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交通事故死亡1名 | 1967 | 偶然を装い、タクシーを使って死亡事故を起こす計略。 |
偽狂人の犯罪 | 1967 | 徹底的に研究し、気違いのふりをして罪をまぬがれようとした男。思わぬところからばれるが、同時にひっかけた刑事の方も破滅してゆく。 |
家紋 | 1967 | 村の殺人は迷宮入りした。鍵を握るのは、提灯の紋。 |
史疑 | 1967 | 古文書を見せない老人を殺した学者。逃げ道で農婦を犯したばかりに発覚する。 |
年下の男 | 1967 | オールドミスの女が、心が離れてゆく若い愛人の男を、事故死を装って殺す。 |
古本 | 1967 | 古本を剽窃して作品を発表した作家に、恐喝者が忍びよる。 |
ペルシアの測天儀 | 不明 | 愛人、殺人者、偶然忍びこんだ泥棒を結ぶ、珍しいペンダント。 |
不法建築 | 1967 | 合法的、合理的に殺人現場を消し去る方法。 |
入江の記憶 | 1967 | 愛人を殺そうとする時、父もまた同じことをしていた事を思い出す。 |
不在宴会 | 1967 | 歓迎の宴会にいたことにしてもらったアリバイで、愛人に会いに行った役人だが、彼女は殺されていた。 |
土偶 | 1967 | ふと魔がさして男女を殺害したヤミ屋。被害者が持っていた土偶に嫌悪を感じ、大金をかけて、集めては壊す。 |
宣伝文句
神話のふるさと出雲に起きた殺人事件、古代史マニアが謎解きに挑戦する——火神被殺。ブリュッセル土産のテーブルクロースが思わぬ波紋をひきおこす——葡萄唐草文様の刺繍。幼年期の忘れ得ぬ想い出をこめたフィクション——恩誼の紐。ほか二篇を収録した珠玉の推理短篇集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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火神被殺 | 1970 | 出雲山中で、バラバラの白骨死体が発見された。偽名の同宿者は誰か? ミステリの名を借りて、著者の出雲神話論が展開される。古事記とコーランの意外な類似。 |
奇妙な被告 | 1970 | わざと捕まって自白し、その後証言を翻して裁判に勝つ、狡猾な犯人。 |
葡萄唐草文様の刺繍 | 1967 | こっそり愛人にも、妻用と同じテーブルクロースを買っていった経営者。それが殺人事件の重要証拠品となり、あわてる。 |
神の里事件 | 不明 | 新興宗教のご神体の、鏡のインチキを暴きにいった男が遭遇する殺人事件の凶器とは。 |
恩誼の紐 | 1974 | できすぎた母から、逃げ出した父。息子は、結局同じことを繰り返すが、その時には、助けてくれるババやんはいなかった。 |
宣伝文句
安全と出世を願って平凡に生きる男の生活に影がさしはじめる。”密通”ともいうべき、後ろ暗く絶対に知られてはならない女関係。どこにでもあり、誰もが容易に経験しうる日常生活の中にひそむ深淵の恐ろしさを描いて絶賛された連作短編集。部下のOLとの情事をかくしおおすために、殺人容疑を受けた知人のアリバイを否定し続けた男の破局を描いた『証言』など7編を収める。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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遭難 | 不明 | 巧妙にしくまれた冬山での遭難に挑む、やはり元山岳部の男は、犯人を追い詰めることができるか。 |
証言 | 不明 | 嘘の証言をつらぬき通した課長だが、意外な所から簡単に発覚してしまう。 |
天城越え | 不明 | 峠での家出少年と娼婦と土方。思春期の少年のおもいがけなくも、よく考えてみれば、自然な行動。 |
寒流 | 不明 | 愛人であるおかみまで上司に取られた、銀行員の復讐の悪戦苦闘。 |
凶器 | 不明 | 食って処理できる凶器とは! |
紐 | 不明 | 奇妙な絞殺事件を追う保険調査員。保険によっては、自殺でも保険金が出る場合があるので、へんに工作する必要はない。 |
坂道の家 | 不明 | 水商売の女にのぼせ上がった小間物屋のおやじ。彼女に裏切られ、心臓の弱い女を自然死させようと企むが、返り討ちに会う。 |
宣伝文句
大洗海岸に巨人のように膨張して漂着した海外旅行中の県会議員の死体と巨人伝説を巧みに結び付けた『巨人の磯』。妻の不貞を知った夫の犯行を、その奇抜な凶器と、巧みな人物設定で描く『礼遇の資格』ほか、『内なる線影』『理外の理』『東経一三九度線』を収録。一見、犯罪とは無縁な日常生活の中に潜む不可解な人間心理を斬新なアングルと手法で抉る傑作推理小説集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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巨人の磯 | 1973 | 死後2,3週間経っている溺死体は、5日前まで生きていた! その死体処理の方法とは…。 |
礼遇の資格 | 1974 | 若い妻と再婚した銀行家の破滅。妻の好物であった鈍器で殺人し、妻とその愛人に罪を着せようとする。 |
内なる線影 | 不明 | やはり、若い妻と再婚した老画家。一見ノイローゼの、頭痛、抑鬱、食欲不振の原因とは何か。 |
理外の理 | 1972 | 流行らない老作家の復讐。首を吊りたくさせる、妖怪縊鬼の不思議話。 |
東経一三九度線 | 不明 | この線上に、南北に亀卜の神社が並ぶのは、偶然か。官僚は復讐の立案もうまい。 |
宣伝文句
飛鳥仏の”古拙の笑い”に魅了された彫刻家、彼の作品と瓜二つの若い女性の死、その口元に漂う微笑み……この奇妙な暗合の接点を追う『微笑みの儀式』。南紀の小さな港町に撒かれた二十年前の養父の殺人を告げるビラ……時効を過ぎた犯罪の告発が惹き起す人間ドラマ『犯罪広告』。他に『歯止め』。人間の裡なる黒い影を、やみがたい執拗な事実追及により、浮び上らせる連作推理小説集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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歯止め | 不明 | 嫁入りしてすぐ自殺した姉の疑惑。秀才の夫と母親の異常な関係。 |
犯罪広告 | 不明 | 執念で、自分を捨てた養父を告発する青年だが、極悪人の養父の方が一枚上手だった。 |
微笑みの儀式 | 不明 | いわゆる、仏像のアルカイック・スマイルに憑かれた彫刻家。彼が再現した実物大の彫刻は、死人のデスマスクだった。その死人の女の微笑みは、どうやってつくられたか? |
宣伝文句
女王卑弥呼は殺害された——。北部九州は魏の<コロニー>であった——。
帯、カバー、裏表紙等から引用
過去の学説研究に精密な検討をくわえ、新しい邪馬台国像をうちたてるべく、著者はユニークな史眼をもって果敢に挑む。通説という罠は見事に駆逐された。本書には邪馬台国の真実の相が、鮮明な印象と迫力を伴って浮彫りにされている。
タイトル | 発表 | 感想 |
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邪馬台国 | 1976 | 当時の政治、経済、生活の状況が清張流に推理される。九州出身の著者は、やはり邪馬台国を九州にもっていきたいようだ。 |
宣伝文句
悲惨をともなうが、しかし、戦争ほど面白いドラマはない。指揮官の駆引き、決断。将兵の立場と心理。それに加えて、運不運のハプニング。この本は、日本の国内戦争から「長篠合戦」「姉川の戦」「山崎の戦」「川中島の戦」「厳島の戦」「九州征伐」「島原の役」「関ヶ原の戦」「西南戦争」の9合戦を選んでそのドラマを解明した読物である。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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私説・日本合戦譚 | 1977 | 著者は九州出身なので、「九州征伐」、「島原の乱」、「西南戦争」が重要視されている。 |
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炭坑の労働争議と、突如炭住地区に流行したポリオとの意外な関わり─自殺した衛生試験所技師の従兄は如何なる事実を知っていたのか。そして未亡人の不可解な行……疑惑を抱く男の前に、かつて満洲に置かれた日本軍の細菌部隊の存在が浮かんだ。見えざる敵この正体を執拗に追跡する男に、黒い影がまつわる……。解説・佐野洋
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タイトル | 発表 | 感想 |
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屈折回路 | 1980 | 伝染病のちょっとした流行から、話がどんどん大きくなり、飽きさせない。 |
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『清張古代史をゆくペルセポリスから飛鳥へ』『清張古代史記』『正倉院への道』〔編〕『銅鐸と邪馬台国』〔編〕[近刊](以上、日本放送出版協会刊)
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タイトル | 発表 | 感想 |
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清張歴史游記 | 1982 | 講演、テレビ、雑誌等の小ネタを集めたエッセイ集。ギリシアから戦国時代まで幅が広い。 |
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華麗な迎賓館の一室で、米大統領バートンと濃密な一夜を過ごしたクラブママ可南子——その迎賓館で可南子は日本の首相らと会っているバートンの姿を偶然、カメラに収める。絶対におおやけになってはいけない秘密会議の証拠写真であった。その価値に気がついた可南子は、バートンを脅迫するためにヨーロッパに飛んだ。——綿密な取材をもとに描いた迫真の国際謀略サスペンス。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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聖獣配列 上 | 1983 | 水商売の女が、楽々と大統領をユスることができる安易さ。ヨーロッパの描写などは、旅情サスペンス小説のようにも見える。真のテーマである、スイス個人銀行の悪辣と狡猾、国際金融操作の欺瞞は、まあまあ。 |
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アルプスの山麓で、ジュネーブで、ハーグのホテルで、秘密会談の関係者は次々と消されていく。人知れずスイスの銀行へ輸送される米大統領専用機の荷物は何か? スイス銀行の地下に眠る謎の資金とは? 新型兵器取引の背後でひそかに暗躍するスイス人。——可南子は巨大な陰謀の渦に巻き込まれて翻弄されるのだが、やがて全ての謎はスイス銀行の恐るべきからくりに収束していく。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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聖獣配列 下 | 1983 | 最後の切札が無効になったとき、可南子は結局破滅してしまう。 |
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歴史の醍醐味は推理するたのしみ。松本清張、門脇禎二、佐原真の三氏による「大化の改新」は本当にあったのか」から「高度成長はなぜ可能だったのか」まで、政治・経済・外交・文化と分野を越境して、二十一人の小説家・碩学が存分に議論をたたかわせた七編の鼎談集。日本とは何かを識るための必読の一冊。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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日本史七つの謎 | 1992 | 歴史上の素朴な疑問について、平易な言葉で語り合う。教科書の裏側の真実? |
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ユニークな史眼と大胆な発想を活かし、歴史の隠れた真実を鮮やかに発掘してみせた著者が、作家や碩学と大いに語り合う、「日本史探訪」。古代国家成立の謎に挑み、時の権力者の政治手腕を問い、国家的事業の裏側を読みとく歴史の通説に疑問を投げかけ、日本史の空白の真相に迫る、スリリングな歴史読本。「ヤマタイ国」「大仏開眼」「本能寺の変」「豊臣秀吉」「大岡越前守」など十三編を収録。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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松本清張の日本史探訪 | 1999 | 古代から江戸時代まで、討論会をまとめた。 |
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