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SF小説 日本

半村良 ★★★★★

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高校卒業後、さまざまな職業を転々とする。水商売も長かったので、女、エロ描写は生々しくリアルだ。東京下町育ちの影響も大きい。
プロの「嘘つき」としてのホラ話の完成度は高い。

太字作品や★★★★★が特におすすめです。

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コピーライターとして多忙な日々に追われている私は、江戸時代の戯作者山東京伝の、現代にも通用する本格的広告マンのセンスに親近感を抱いていた。
私は、ひょんな事で、江戸時代の岡ッ引き”平吉”が書いた古日記を入手、日記には、京伝の妹”およね”への恋が綴られ、彼女が神隠しにあったらしい異変が記されていた。
——そんな時、コマーシャルに登用した人気歌手が、知るはずもない日記の内容を熟知している事に気づいた!
彼女によってよみがえった、二百年後の恋のゆくえは……。
表題作の他「収穫」「組曲・北珊瑚礁」等を収めた、半村良の傑作短編集。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
およね平吉時穴道行1963江戸時代と現代のタイム・トンネルを追求する広告マン。あっけない結末。
幽タレ考1967死んだタレントが化けて出てきて大稼ぎ。死者は死んだときの服装のまま出てくる。
1964地球に来て悪習に堕落した監視員たち。
収穫1963ある日皆が円盤に誘導されて連れて行かれてしまった。とり残されて孤独にさいなまれる自分だったが、ハッピーエンド。
H氏のSF1964四性生殖は麻雀だ!
虚空の男1967偶然4次元の穴に落ちていった平凡な男。
組曲・北珊瑚礁1971野性の素質のある男たちは、現実の戦場に派遣された。
太平記異聞1974楠正茂の千早城での攻防の頃の、武将が女陰に吸い込まれて消えたという怪異。

半村良 石の血脈 ★★★★★

著者:    半村良
発表:    1971年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    490円

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古代アトランチスの謎を秘めたクロノスの壺。この壺の展示会こそ全ての悲劇の幕開けといえた。
美しい人妻の失踪、人間の能力を遥かに越えた狼男の暗躍、美男美女の秘密グループが行う性の性宴(サバト)——これら次々と起こる奇怪な事件こそ、永遠の生命を求める暗黒の野望の動めきであった……。そして今、古代イスラムより歴史を貫いて脈々と生きる恐怖の血の秘密の全貌も明らかにされようとしていた……。
直木賞作家、半村良が壮大なスケールで描くSF伝奇ロマンの最高傑作!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
石の血脈1971それは奇妙な病気で、感染すると性欲が増進し、赤以外の色が見えなくなり、日光に弱くなり、ついには石化し、長い眠りのあと不死として甦るという。その石化を抑えるのに、血を飲むのが必要だ。古代巨石信仰、暗殺教団、吸血鬼、人狼などの伝説をちりばめた、エロっぽい大作。初期の作品なので嘘度は甘いか。

半村良 わがふるさとは黄泉の国

著者:    半村良
発表:    1971年 ~ 1974年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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ある時、商社マン室谷は知り合いのデザイナー久子が”自殺村”と称される奇妙な村の出身である事を知らされた。
人づき合いがにがてで、古代史やら民俗学の本を読みふける彼は、その村が、古事記に由来する事に気づく。村人は先祖代々、自ら死に急ぎ、現在死に絶えていた。
村は死者の国である黄泉の国と地形的につながり、彼の血筋もまた村人の秘密につながっていた……。
奇想天外なストーリーの展開を示す表題作他、ユニークな、ナゾ解き風SF民話「庄ノ内民話考」、多元宇宙テーマの「二都物語」等を収めた半村良の傑作短編集。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
わがふるさとは黄泉の国1971自殺村と古代の死の国はつながっていた。
農閑期大作戦1971出稼ぎの田舎者が大活躍するドタバタ。
庄ノ内民話考1973素朴な民話の中にはSF的な真実がある。
誕生 —マリー・セレスト号への挑戦—1972特定の三人が引き金になって、人が消失する!
わが子に与える十二章1974よくわからない童話のような詩12篇。
二都物語1972もう一つの東京を発見したセースルスマンは、ここぞとばかり売りまくる。

半村良 産霊山秘録

著者:    半村良
発表:    1972年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    460円

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本能寺・関ヶ原・幕末そして戦後……日本歴史に記録されているいくつもの動乱期。そこでは必ず謎の一族<ヒ>が暗躍したと伝えられる。
念力移動(テレポーテーション)・遠隔精神感応(テレパシー)……三種の神器を用い、人智を越えたその特殊能力を駆使して動き回る<ヒ>。そして今、時は戦国、一族の長、随風は信長に天下を取らせるべく活動を開始、白銀の矢となって全国の忍びのところへ飛んだ
数百年にわたる<ヒ>一族の運命を描き、日本歴史に新角度から壮大な構想で切りこむ著者会心の長編伝奇SF.第一回泉鏡花文学賞受賞作品。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
産霊山秘録1972本来天皇直属の忍びだったヒ一族は時代の変化とともに時の権力におもねりながらも、歴史の裏で超能力を発揮してきた。もともと天下の平和のために働くはずだったが、そのうち同族あい食むことになってゆく。彼等を通じて歴史の流れを説明するパターンは、後の作品の数々の闇の一族のさきがけだ。長い期間を扱うだけあって、結構大雑把だ。

半村良 軍靴の響き

著者:    半村良
発表:    1972年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    260円

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——それは時代の曲がり角をはっきりと象徴していた。昨夜、寝室でその女を抱いて寝た男は”軍靴”をはいた男だった。<戦争>に虐げられた、あの忌まわしい記憶がよみがえってきた……。
すさまじい日本経済の海外進出は、インドネシアに政情不安を起こした。政治は腐敗堕落し、むき出しの反日感情が昂まった。日本政府は西イリアンの石油利権を保護する名目で派兵を強行。既成事実がつくり上げられ、刻々、<戦争の危機>が近づいていた!
どす黒い現代の恐怖感を描いた、著者会心の長編小説。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
軍靴の響き1972ひたひたと忍び寄る軍国主義の恐怖を、もっぱら著者得意の水商売の世界を通じて描く。太平洋戦争を知る親の世代と、体制に順応していく子の世代の差が鮮やかだが、そこまでで、特に最後に解決はない。

半村良 都市の仮面

著者:    半村良
発表:    1972年 ~ 1974年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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事務機を扱う中小企業のセールスマン駒井は、味けない毎日から抜け出たいと強く願っていた。
そんな時、思わぬ幸運が舞い込んだ。一流商社から、ただ優雅に暮らし、遊ぶ事だけを条件に、引き抜かれたのだ。
都心に豪華マンションを与えられた彼は、とびきりの美人から奇妙な研修をほどこされた後、流行のファッションに身を包み、毎夜、一流のクラブに出入りするようになった。だが、享楽の果てに彼を待っていたものは……。
表題作ほか、何げない日常生活にひそむ恐怖を描く力作五篇を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
都市の仮面1973浮浪者を軽蔑していたサラリーマンが、とつじょ大企業に引き抜かれ、贅沢な生活を送るが、それも長続きしなかった。
静かなる市民1972地底には、誰にも知られていない富裕者たちの町がある。
村人1973過疎の村出身の者たちを呼び戻す、不思議な老人。
生命取立人1972セックスでより快感を得た方が寿命が減る。それを利用すれば自分の寿命を伸ばすことができる。
旧約以前1973影が薄い平凡な男が、周囲に忘れられて見えなくなった果ては……。
おまへたちの終末1974若者たちが理解できない、親父世代の不安。

半村良 亜空間要塞

著者:    半村良
発表:    1973年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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あなたは、亜空間要塞という存在を信じられるだろうか。それは、侵略宇宙人が地球に据えつけた基地で、あなたのすぐそばに、あるかもしれない。
——異様な風体をした記憶喪失の老人が突然出現した。その人物は、SF好きな四人組の一人の叔父にあたり、二十数年間も行方不明の浄閑寺公等(じょうかんじ・きみひと)だった。出現の謎の解明に向かった彼らに、突如、UFOの怪光線が襲いかかってきた。——気がついてみると、異次元空間の浜辺に漂着しており、そこでは”ジョーカンジー”と呼ばれる神がまつられていた……。
鬼才、半村良があらゆるSF的世界の怪現象を雄大に描いた大冒険SF。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
亜空間要塞1973あまりにもナンセンスな異次元冒険活劇。つまらない冗談とパロディばかりだが、そのつもりで読めば、まあまあ楽しめる。またいきなり日常に戻って終わり。

半村良 英雄伝説

著者:    半村良
発表:    1973年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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中規模の広告代理店に籍を置く佐伯は、大手企業の相模製薬を広告主に獲得しようと、猛烈な売り込みをはかった。その結果、相模製薬会長の寒川に面会する機会を得たが、そこに同席した漢方薬店の老主人が、突然暴漢に襲われ射殺された。だが寒川を始め、現場に居合わせた人々は、この事件をひたかくしにかくそうとした。
佐伯は沈黙を条件に広告契約をまとめようとするが、何故か彼の周辺に第二、第三の殺人が相次ぎ、そのすべては、相模製薬が新しく開発を始めた薬品に関係しているらしかった。しかもそれらの背後には、古代の神社群が、影絵のように浮かび上がってきた。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
英雄伝説1973古い神社の近くでしか生息しないユリが秘密。著者が詳しい広告業界の激闘や、そのユリをめぐる顛末よりも何よりも、ロマンチックな純愛や男らしい主人公が最後に引っくり返される衝撃が大きい。表紙のデブの顔は悪役かと思っていたら、見事にだまされる。

半村良 黄金伝説

著者:    半村良
発表:    1973年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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政財界の黒幕として君臨し、底知れぬ権力と財力で、総理の首さえ簡単にすげかえてしまう怪人物栗栖重人。その彼の大邸宅から或る夜、淡い白光を放つ円盤が飛び立つのが目撃された。円盤と彼の間に、いったいどんな関係があるのだろうか。彼の正体を解く鍵が、ここにあるのだろうか。
一方、栗栖重人の秘密を探る人々が謎の遺物と言われる遮光器土偶と火焔土器と手掛りに辿りついたのは、十和田湖畔の山深くにある、天然のものとは思われぬ大洞窟と、そこに眠る莫大な黄金の山であった。
常に人の心をとらえて離さぬ黄金伝説をテーマに、雄大な構想で描く傑作長編」伝説シリーズ」第一弾。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
黄金伝説1973青森県の田舎にギリシア神話という絶妙な取り合わせ。だが、なぜ宇宙人が土偶型なのかの合理的説明はない。偶然生まれた超人が当然のように悪役にされるのは、ちょと可哀想か。

半村良 となりの宇宙人

著者:    半村良
発表:    1974年 ~
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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真夜中、安アパートの裏庭に異常な衝撃を起こし、UFOが着陸した! 中からはい出てきたのは迷い子宇宙人宙さん。彼をマスコミ攻勢から守り、一緒に遭難した宇宙人仲間の救出に一致団結して協力する人々との、心暖まる宇宙的交流を描く表題作。
“地球最後の日がきても、お前だけは助けてやろう”という悪魔の囁きにすがったために、とてつもなく高い代償を払わなければならなかった人類の悲劇「悪魔の救済」ほか八篇を収録した傑作SF短編集。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
ボール1974宇宙から来玉が道路を走り回り、車を撃破してゆく。
ビー1974ビー玉の大ブームで社会が変わる。
超古代の眼1974石切の老人と目だけの妖怪の説話。
罪なき男1974事故で昏睡から目覚めてみたら、皆が自分を嫌う。
妙穴寺1974昭和初期へつながっている穴をめぐる落語。
泪稲荷界隈不明呪術で消えてしまった西青山は現実にはない。
めぬけのからしじょうゆあえ1975地球最後の日に、ひらきなおって料理を作る板前と小僧。
幻影の階層不明田舎から来た少年は迷宮のような都会で人をたずね歩く。
悪魔の救済1975飲み屋で合った冴えない中年男は悪魔で、手伝えば助けてやるという。
となりの宇宙人1974安アパート裏に墜落してきた宇宙人をみなで助ける下町風情。

半村良 平家伝説

著者:    半村良
発表:    1974年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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自家用運転手浜田五郎は、ある春の日の午後、銭湯の主人から、自分の右肩の後ろにある大きな痣が、<嘆き鳥>と呼ばれることを教えられた。嘆き鳥……それは、源平の昔、壇の浦の合戦に敗れた平時忠を能登の配所に導いたと伝えられる鳥の名だった……。
浜田と恋人敏子の運命をあやつる痣の秘密は何か? 奇想天外なSF的結末。
平家物語に想を得た、奔放なロマンのうちに、現代の若者の夢と生活を鮮やかに把えた、傑作小説。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
平家伝説1974平時忠が殺されもせず、能登に島流(?)で済んだのは、神器を隠していたからだとういう話だが、五郎と敏子の男女間のドラマが主だ。平凡な運転手の生活の裏で遅々と伝説解明が進行するが、ラストで一気にとてつもない終わり方をする。

半村良 闇の中の系図

著者:    半村良
発表:    1974年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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天才的な嘘つき浅辺宏一は、味けない工員暮らしの毎日からのがれるために、次々とくり出す嘘で自分を飾っていた。
ある日、そんな彼の才能を必要とする秘密組織があらわれた。それは古代より日本の歴史を陰からあやつる謎の一族”嘘部”の集団<黒虹会>だった。そして彼も又闇の中につづく血筋の一人であることを知らされた……。
——現代によみがえった”嘘部”の活動が開始され、日本の永続的繁栄を目指した雄大な嘘が、いまや国際的なスケールで展開されていった。
日本の歴史と政治の暗部にするどく切りこんだ、著者会心の嘘部シリーズ第1弾!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
闇の中の系図1974いわば古代の情報工作員であった一族の血をひく青年の、スパイ大作戦のような組織で水を得た魚のような活躍をする。今回は石油に替るエネルギーになり得る、重力波の利用に成功したかのような大嘘を描く。

半村良 夢の底から来た男

著者:    半村良
発表:    1974年 ~ 1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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男はひんぱんにうなされていた——彼のみる夢の中に、恐ろしい顔をした男が現われ、そして彼の前に仁王立ちになるのだった。しかも、その男の両手は、たったいままで人間の内蔵を、素手でかきわけていたかのように、血にまみれていた。
その血まみれの手の男が、いまや現実の中に出没しはじめたのだ。「畜生、俺の気が狂ったのか……?」
広告代理店に勤め、家庭を愛する平凡なサラリーマンを襲った悪夢の正体は何か? 半村良が描く、戦慄と恐怖のスリラー・サスペンス。表題作ほか「血霊」「自恋魔」など4篇収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
夢の底から来た男1975平凡で幸せな現実がしだいに壊れていく原因は、実は自分だった。
錯覚屋繁昌記1974他人に思うように錯覚を起すことができる青年の暗躍は、やはり、やがて組織に利用されるようになる。
血霊1974秋田の田舎の再開発で、過去の亡霊がよみがえり、人々を吸血鬼化してゆく。
自恋魔1974事故で昏睡状態の美青年タレントは、回りの人を道連れにしていく。
わが青春のE・S・P1974鬱屈して太陽が青くみえると、異常な博才を発揮する男の半生。

半村良 楽園伝説

著者:    半村良
発表:    1974年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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深夜、商事会社に勤める伊沢邦明は暴走族によるひき逃げ事故に遭遇した。しかも被害者は、行方不明になっていたかつての上司であった。助けを求めに走った伊沢が現場に戻ってみると誰の仕業か、事故の痕跡はあとかたもなくかき消されていたのだ。
この事件をきっかけに、<地上の楽園>建設をめざす組織の存在を知った伊沢の前に、次々と不思議な出来事がくりひろげられていった。
そして、その背後には、古代から生きのびてきた巨大な闇の力が地底世界からよみがえり、不気味な活動を開始していた。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
楽園伝説1974地底の楽園”アガルタ”をめぐる陰謀で、むしろサラリーマン社会での謎の組織が出てくるが、バブル期にあった会員制のクラブのようなものだ。ラストは一転して社会が大変化するが、闇の組織の裏には闇の植物が糸をひいている。梶岡専務の零落ぶりが激しい。

半村良 邪神世界

著者:    半村良
発表:    1974年
発行所:   講談社文庫
カバーアート:国分正夫
価格:    580円

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不動産のセールスマン岩井栄介の運命は彼が一千万円の宝くじを当てた瞬間、思いがけぬ方向に動きはじめた。目に見えぬ何者かの意思が、彼の感覚や人間関係を支配しているらしい。奇怪な易者霜田無仙と出会って彼はついに亜空間へ入り神々の戦争に巻きこまれてゆく。壮大なスペイス・オペラに結実させた野心作。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
邪神世界1974「秘境」を改題。これまた平凡な男が、宝くじを当てたのを皮切りに、日本の神々をイシュタルの神々との戦いにはまりこむ、ナンセンスな活劇。亜空間はイメージの産物なので、なんでもありだ。最後はむりやり終わらせている。

半村良 亜空間要塞の逆襲

著者:    半村良
発表:    1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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ある日、私、半村良の本を読んだという読者が訪ねてきて驚くべき事を語った。それは、まったくの空想で私が考えだした世界『亜空間要塞』は実在し、彼自身もこの小説の登場人物のひとりとして亜空間要塞に行ってきたという……。
——この事件以来私は、なぜ『亜空間要塞』を書き上げたのかを知ろうとする宇宙人に追いまわされるはめになった。そして、とうとう私までが自分の作品の世界に足を踏み入れることになってしまったのだ!
奇想天外なSF世界を展開しながら作者自身の内面を語る『亜空間要塞』の続編。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
亜空間要塞の逆襲1975ついに作者自身が異次元世界に呼び込まれ、荒唐無稽な冒険を繰り広げる。有名なSF作品や映画のパロディよりも、作者の自伝的私小説部分がより興味深く、少年時代や水商売時代が語られる。しかし、それもどこまで本当かわからない。

半村良 回転扉

著者:    半村良
発表:    1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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35年前に死んだ父に、まるでそっくりの若い男が息子たちの前に現われた。顔も体つきも言葉遣いさえも、父そのものだった。おまけに名前までも同じなのだ。
その男が出現して以来、息子たちの商売はとんとん拍子に繁栄していった。息子たちは、男を父親のように感じはじめていたが、その裏には、正体不明の組織があった。
現代社会を変えるべく、過去からよみがえった”亡霊”を描く異色長編。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
回転扉1975ある宗教団体の陰謀で、明治生まれの男たちは次々に蘇生させられ、日本が右傾化していく。死んだ親父がそのまま戻ってくるというのは、やはり悪夢だ。日常の視点はまた水商売の世界。

半村良 幻視街

著者:    半村良
発表:    1975年 ~ 1976年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

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大暴風の襲来に荒れ狂う海。その中に浮かんでいた一つの生命が、波が激しく打ち寄せる岸壁を這いのぼり、近くの家に助けを求めた。それは記憶をなくし、しかも全裸の男だった。
彼は、温かく迎え入れてくれた一家を、またたく間に惨殺し、東京へ向かった。なぜ、そうするのか、彼にはまるでわからなかった。ただ、そうしなければならぬような指令が、どこかから与えられるのだ。その命令者とは……。
現代社会の中に突然ひらく、恐怖のかずかずを描く傑作群。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
獣人街1976嵐の海から現われ、理由もわからずに、何者かに指示されるように計画的に人を殺していく男。
巨根街1976動かない巨大なペニス型の雲。
夢中犯1976夢の中で煙草を喫うと、夢からさめなくなる。
1975ときどき、ひょいと現われる不思議な顔に悩む男。
無縁の人1976縁のない人に無理やり近づこうとすると、障害に見舞われる。
失われた水曜日1976先週の水曜日が無くなったと主張する変人。
他人の掟1976自分が正義であることを確認するために、わざわざ友人を罠にはめた裁判官。
幻視人1976幻想の女が生身の女房になったと主張する社員。
衝動買い1976すらすらと遺書ばかり書かされる万年筆。
黙って坐れば1976ある女占い師の実際。
蒸発1976その平凡な男は、いつも通り帰宅したつもりだったが、団地の様子が変だ。
黒の収集車1976死体を回収する都のサービス。
ボール箱1975あるボール箱の一生。
赤い斜線1975乞食は斜線の入った一万円札にとりつかれている。

半村良 戦国自衛隊

著者:    半村良
       はんむら・りょう
発表:    1975年
発行所:   ハヤカワ文庫
カバーアート:辰巳四郎
価格:    420円

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新潟県と富山県の県境にあたる境川。その河畔に駐屯中だった自衛隊の一部隊を異変が襲った。大地が揺れ、突風が吹き荒れると、車輛、ヘリコプター、補給物資、その地にあったすべての装備と人間は、突如起ったタイムスリップに巻きこまれた-最新装備を持ったまま、上杉謙信の戦国時代にたどりついた自衛隊に、何が待っているのか?卓越した洞察力と緻密なシミュレーションで、日本SFに新境地をもたらした傑作長篇

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
戦国自衛隊1975歴史を改変しようとしても、大きな流れは変わらないという見本。

半村良 妖星伝 第01章・第02章 鬼道の巻・外道の巻

著者:    半村良
       はんむら・りょう
発表:    1975年
発行所:   祥伝社
カバーアート:中原達治
価格:    644円

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これぞ小説!あらゆるメディアを凌駕する金字塔
完結をこれほどに待ち侘びた物語はなかった。そして発表された完結篇の壮大な締め括り。私もその間に二十年という歳を取っていたわけだが、物語の幅は遥かに大きく膨らんでいた。生涯に読んだ小説の中でただ一つを選べと言われたとき、私はこの物語を真っ先に掲げるだろう。金字塔という賞賛は『妖星伝』にこそ相応しい。小説があらゆるメディアを凌駕するものだということを、読者は読み終えたとき実感するに違いない。
高橋克彦

完本妖星伝鬼道の巻・外道の巻
神道とともに発生し、超常能力をもってつねに歴史の闇に潜み暗躍してきた異端の集団―鬼道衆。彼らの出没する処、必ず戦乱と流血、姦と淫が交錯する。彼を最も忌み嫌った徳川政権は徹底的な弾圧を繰り返した。が、八代将軍吉宗が退いた今、鬼道衆の跳梁が再び開始された!民族や宗教を超え、人類の破壊と再生を壮大なスケールで描く、大河伝奇巨編!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
妖星伝 第01章・第02章1975やはり日本史の裏で暗躍する一族の陰謀だ。しかし、他の著者の作品に比べても、破れかぶれ的にエロ度が高い。

半村良 妖星伝 第03章 神道の巻

著者:    半村良
       はんむら・りょう
発表:    1975年
発行所:   講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格:    440円

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江戸の鬼道衆のバックアップによって、田沼意次の権勢は巨大になり、それだけ腐敗がすすむ。鬼道の狙い通りである。一方、外道皇帝を名乗る主を二人もかかえた鬼道各派は、唯一無二の皇帝を求めて、熾烈な暗闘をつづけ、わずかながら統合のきざしをみせる。ますます興趣たかまる、最大伝奇ロマン第三部。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
妖星伝 第03章1975どうも最初から構想が纏まっていたか、疑わしく、書き飛ばしたようにも見える。

半村良 妖星伝 第04章 黄道の巻

著者:    半村良
       はんむら・りょう
発表:    1975年
発行所:   講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格:    440円

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鬼道衆の頂点に立つ外道皇帝はまだ童児である。そして異星からきた二人のニセ皇帝は着々と侵犯を続ける。この二人を狙う美しい尼僧天道尼。彼女の目的は遠大であった。「この星では将軍を倒した者が将軍になれるそうな」という天道尼の、容姿とはうらはらな超能力! いよいよ佳境に入る壮大ロマン第四部。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
妖星伝 第04章1975はたして長いだけで大作としてのまとまりがない。

半村良 妖星伝 第05章・第06章・第07章 天道の巻・人道の巻・魔道の巻

著者:    半村良
       はんむら・りょう
発表:    1975年
発行所:   祥伝社
カバーアート:中原達治
価格:    1300円

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無類の光芒を放ちつづける巨大な「妖星」 綾辻行人
その本を読むことによって、自身の世界観や生命観、宇宙観が一変してしまう。僕にとって『妖星伝』との出会いは、それほどまでに強烈な体験だった。十七、八歳の頃だったと思う。もしもあの時この作品を読まなければ、僕の書く小説は、いや僕の生き方そのものが、今とはまるで違うものになっていたかもしれない。「傑作」などといった月並みな讃辞ではとても済ませられない。文字通りこれは、小説史上に無類の光芒を放ちつづける巨大な「妖星」である。

鬼道衆の思惑どおり、江戸中期の日本はまさに頽極致に陥っていた。田沼政権の腐敗政治、蔓延する大飢饉と百姓一揆、人間の本能がなせる醜い争いの数々この世の生とは一体何なのか? 地球こそは互いに咲い合わねば生きていけない“妖星”なのか?二十年の歳月をかけて鬼才半村良が辿り着いた人類宇宙の摂理〟を問う空前の一大巨編、ここに完結!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
妖星伝 第05章・第06章・第07章1975空から大行進してくるところなんざ、もう爆笑だ。

半村良 闇の中の黄金

著者:    半村良
発表:    1976年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

<嘘だ! 彼が自分から死を選ぶなんて> 邪馬台国を取材中、親友の自殺を知らされた津野田は、その原因を探るべ調査を開始した。そして死の直前、彼も又、邪馬台国のありかを追って国東半島を訪れていたのを知った。
国東に向かった津野田は、そこで見た世界の金市場を牛耳る黄金商人の集まりで、日本歴史の中に隠された重大な秘密に気づいた。
邪馬台国に秘密につながる莫大な黄金の夢を取り巻く人々と、背後に暗躍する”嘘部”一族。
古代より、日本歴史を陰から動かす謎の一族嘘部の活動を雄大な構想で描くシリーズ第二弾。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
闇の中の黄金1976邪馬台国に眠る莫大な黄金と、マルコ・ポーロの伝説をめぐる大嘘。今回はだまされる側からの陰謀を描く。前作を呼んでいれば、誰がだまし役か一目瞭然だ。

半村良 獣人伝説

著者:    半村良
発表:    1977年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

現代社会で最も腐敗した部分、その手のほどこしようもない汚れの中に生きる”悪”に神は怒ったのだろうか。
ある朝、神崎順一郎は来ているはずのない伊東のホテルで目ざめた。しかもポケットには”G・O・D”と記された一枚の奇妙なカードが入っていた。これは何だ。どこで手に入れたのだろう。——だがこの日から、彼は不思議な力を持つようになった。まるで悪魔のように薄気味悪く、いやらしい尾をたらした”有尾人間”が見分けられるようになったのだ。そして彼等に出会った時、神崎はいつの間にか襲いかかり、首を締めあげていた。
鬼才が現代の悪魔狩りをテーマに描く、会心の伝奇長編。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
獣人伝説1977平凡な男が突然、神の代理になり無敵になって、人間界に隠れた悪魔たちを追うとう荒唐無稽な話。不死身なくせになぜかクロムに弱いのは説明がない。量産で底が浅くなってきた作品。

半村良 2030年東北自治区

著者:    半村良
発表:    1991年
発行所:   新潮社
カバーアート:佐藤正
価格:    1400円

タイトル     発表感想
2030年東北自治区1991「ヒューマニスト」改題。2030年、激増した外国人で疫病が蔓延しスラム化した都会をいやがり、富裕層は東北に出資して自治ブロックを作りファウンデーションと名乗り、あたかも独立国の体をなしていた。そこではクローンなどの最先端技術を擁して繁栄を楽しんでいる。ファウンデーションの実態に何の疑問も感じていなかった行政官の月岡は、人種のるつぼと化した東京へ送り出されてから、次第に自分の誤りに気づいていく。一見整然としているファウンデーションは理想郷に見えるが、少しずつその暗部が見せられる。浅草を中心とする東京の下町は、つねに外からの人を温かく迎え入れてきた、というのは作者のいつもの下町贔屓だけでもなさそうだ。しかし最盛期の作品に比べると大ボラ度が減って、淋しいものだ。

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