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ミステリ小説 日本

横溝正史 ★★★★★

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さすが元編集者だけあって、抜群のストーリー・テラー。文体は平易で読みやすく、古くなっていない。
田舎の因習と閉鎖性に包まれている。
一般に、遺産狙いなどのドライな動機は少ない。
金田一は殺人を予防することは、ほとんどない。

キーワード:
怪奇浪漫 和風オカルティズム 岡山県(戦時中に疎開) 軽井沢(病気療養) 本家と分家 家系図
名探偵由利麟太郎(ゆり・りんたろう、初期) 名探禎金田一耕助 磯川警部 等々力警部

太字作品や★★★★★が特におすすめです。

横溝正史 恐ろしき四月馬鹿

著者:    横溝正史
発表:    1921年 ~ 1926年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

四月一日の朝、M中学寄宿舎内で恐ろしい事件が起きた。学生の一人が自室で、何者かに殺されたらしいのだ。現場は惨澹たる有様で、机は覆り、インクが流れ、破壊された石膏細工の破片が部屋一面飛びに散っていた。そして夜具の白いシーツには、ベットリしみついた生生しい血潮が! しかし不思議なことに、肝心の死体が部屋中のどこにもなく、また夜中に物音を聞いた学生は一人としていなかった……。
処女作「恐ろしき四月馬鹿」を初め、未収録作品も多数収めた横溝正史初期短編傑作選(大正編)!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
恐ろしき四月馬鹿1921処女作なので、こんなもんでしょう。
深紅の秘密1921いくらドイツ人の名前がわからないだろうといっても、”ザーメン・ラーゲ”とはいかがなものか。
画室の犯罪1924芸術家による芸術的な犯罪(?)。
丘の三軒家1925一種のプロバビリティの犯罪。
キャン・シャック酒場1925ちょいとした小話。犯罪はない。
広告人形1926これも変身願望か。
裏切る時計1926アリバイ工作の手抜かり。
災難1926当時の暦の状況を知っていないと効果半減。
赤屋敷の記録1926後々の血の因縁話の萌芽が、もうすでにこの頃に現れている。
悲しき郵便屋1926乱歩の「算盤が恋を語る話」と、どっちが悲惨か?
飾り窓の中の恋人1926これもひとつの宣伝の方法。
犯罪を猟る男1926ネマキとキネマ。
執念1926殺されたばあさんは、どこに金を隠したか。
断髪流行1926へたな詮索は破局のもと。

横溝正史 双生児は囁く  横溝正史<未収録>短編集

著者:    横溝正史
発表:    1921年 ~ 1949年
発行所:   角川書店
カバーアート:森流一郎
価格:    1200円

宣伝文句

最後の探偵作家と言われた横溝正史のデビュー作は、大正十(一九二一)年四月、『新青年』に発表した「恐ろしき四月馬鹿」だった。そして、絶筆となった昭和五十五年(一九八〇)年発表の「上海氏の蒐集品」まで、創作活動はじつに六十年にもおよんだ。その間に発表された作品は、探偵小説、現代小説、捕物帳、少年少女小説など幅広く、にわかには数えられない。その膨大な横溝作品の中で、意外にも〈未収録作品〉が残されていたのである。当時の雑誌や新聞に発表されたきりで、まさに埋もれていた幻の小説。横溝ファンにとっては、まぎれもなく必読の一冊であろう。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
汁粉屋の娘1921野球ボールが殺人事件を覆す。未発表だけあって、質はどれもイマイチ。
三年の命1927足が発達しない異常な病気は、やはり題材として不適当か。
空家の怪死体1928不倫に邪魔な妻の死体は、押し入れで発見された。わりと平凡。
怪犯人1931災害のどさくさで殺人を遂行。
1949蟹といっても刺青の話で、双生児とか著者の好きなネタが出てくる。
1947記憶喪失の男を、得意のすり替え技。
双生児は囁く1948今回は、双生児が珍しく探偵役。

横溝正史 八つ墓村 ★★★★★

著者:    横溝正史
発表:    1924年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    460円

宣伝文句

鳥取と岡山の県境の村、かつて戦国の頃、三千両を携えた8人の武者がこの村に落ちのびた。だが欲に目が眩んだ村人たちは8人を惨殺。以来この村は八つ墓村と呼ばれ不祥の怪異があいついだ。大正×年、首謀者の子孫が突然発狂、32人の村人を虐殺して行方不明となる。20数年後、再び怪奇な殺人事件がこの村を襲う…。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
八つ墓村1924呪いあり、ロマンスあり、宝探しありのスリリングな展開が飽きさせない。金田一は相変わらず後付け推理で言い訳。

横溝正史 山名耕作の不思議な生活

著者:    横溝正史
発表:    1927年 ~ 1931年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

千住の船着き場から約五丁。広い市場の通りを抜けて家並みもまばらな田舎くさい町の片隅に、10度ばかり往来に傾いたみすぼらしい家がある。その家には、天井がわりに設えた奇妙な棚があった。これこそ、あの有名な奇人山名耕作の住まいである。
実際、彼は風変りな男だった。洗いざらしの浴衣によれよれの帯を締めたその装いは、至極この部屋に調和する。だが、頭をきれいに刈り込み、顔もきれいにそり、爪にはマニキュアを施す凄じさ。その彼が恋愛をしているらしく、私は大変興味を持った……。
探偵小説一筋に五十年、横溝文学の原点を探る初期短編傑作選(昭和編)!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
山名耕作の不思議な生活1927せこく貯めて、どんと使う夢。
鈴木と河越の話1927もう一人の人格に乗っ取られていく恐怖譚。
ネクタイ奇譚1927またも商売上手の話。
夫婦書簡文1927気の強い妻と文通している夫。
あ・てる・てえる・ふいるむ1928皆が見過ごした活動写真にひそむ秘密。
角男1928「山名耕作の不思議な生活」の実践編。
河越雄作の不思議な旅館1929こういう旅館は今では実在し、テレビで見たことがある。
双生児1929偏執狂の妄想か、曖昧な結末。
片腕1930二重生活の破綻。
ある女装冒険者の話1930女装男が女だったわけ。
秋の挿話1930偽名で行った歯医者から尋ね人の広告が。
二人の未亡人1931凶悪犯に同情する二人の高名な女達。間で得する彼の子供だったが…。
カリオストロ夫人1931肉体を移り替えて永遠に生き続ける女。
丹夫人の化粧台1931美貌の夫人の周辺で起こる変死の理由は…。

横溝正史 迷宮の扉

著者:    横溝正史
発表:    1927年 ~ 1958年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

金田一耕助の行く所、必ず事件あり。三浦半島巡りを楽しんでいた金田一は、突然、嵐に遭い、竜神館という屋敷へ逃げこんだ。だがその直後、一発の銃声と共に誰かが土間に倒れこんできた。
うつぶせになった男の背中の左肺部のあたりから血が噴き出していた。殺された男は、毎年この屋敷の主、東海林日奈児(ひなこ)少年の誕生日に、カードを届け、ケーキを切りにくる黒づくめの男だった。不審に思った金田一が尚も聞き込もうとしたが、日奈児の後見人降矢木(ふりやぎ)は、なぜか言葉を濁した…。
莫大な遺産をめぐる人々の葛藤をテーマに、完璧なトリックと緻密な構成で描く傑作本格推理、ほか二篇。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
迷宮の扉1958切り離したシャム双生児に関する、遺産相続争い。少年向け短編集。
片耳の男1954少女を襲う恐怖のチンドン屋!
動かぬ時計1927悪い知らせを伝える、お父さんの時計。

横溝正史 死神の矢

著者:    横溝正史
発表:    1931年 ~ 1947年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

浴室の鍵穴を覗いた金田一耕助の眼に異様な光景がとびこんできた。噴射しつづけるシャワーの雨、そしてその下には、胸部に白塗りの矢を射ちこまれた男の変死体が…。
弓の収集家として名高い考古学者の古館(ふるだて)博士が開催した粋狂な弓勢くらべ。博士の愛娘早苗の婿選びが目的のこの競技で、三人の候補者のうち一人がみごと金的を射とめた。だがその直後、競技に参加した若者が殺害されるという事件が起きた。
伝奇ロマンの世界に構築された鮮やかな謎解きとトリック、横溝正史の傑作本格推理ほか一篇を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
死神の矢1931三人の花婿候補が殺されていく、ありがちな展開。2時間ドラマのようだ。
蝙蝠と蛞蝓1947金田一耕助が、いやらしい人物として描かれている珍しい作品。金田一が殺人犯人に疑われる。

横溝正史 呪いの塔

著者:    横溝正史
発表:    1932年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

宣伝文句

軽井沢高原の朝もやの中にうっそりと聳えるバベルの塔。この塔の外側には放射状に伸びた七つの階段がある。今、怪奇小説で有名な作家大江黒潮とその仲間たちが集い、この塔を利用して仮想犯罪劇を演じていた。粋狂な連中の退屈しのぎにふさわしいゲームである。殺される役は何と黒潮自身。
やがてこの劇も終ろうとする時突然、あたりに響きわたる凄まじい悲鳴が聞こえた、黒潮の声である。驚いた人々が迷路のように入り組んだ階段を登り、展望台に辿り着いた時、そこには肩口にナイフを突きたてられ、えびのように体を曲げた黒潮の死体が——。
緻密な構成で練り上げた、横溝正史の傑作長編!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
呪いの塔1932乱歩の「陰獣」の確信犯的パクリか? あるいは、俺ならこうするぜというメッセージか?

横溝正史 蝶々殺人事件

著者:    横溝正史
発表:    1933年 ~ 1946年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

宣伝文句

原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した…。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された! 次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか。好評、金田一耕助ものに続く由利先生シリーズの第一弾! 表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
蝶々殺人事件1946由利麟太郎もの。手法としては「真珠郎」に似ている。謎が深いようで浅い。カバー絵の死体は裸だが、実際は服を着ている。
蜘蛛と百合1933乱歩の「蜘蛛男」に比べて、いやらしくない。実は蜘蛛よりも百合の方がこわい。
薔薇と鬱金香1933薔薇郎という名前はないでしょう。珍しくハッピー・エンド。

横溝正史 真珠郎

著者:    横溝正史
発表:    1936年 ~ 1940年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    260円

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鬼気せまるような美少年「真珠郎」の持つ鋭い刃物がひらめいた! 瞬間、凄まじい悲鳴を上げて展望台からことがり落ちた男。夕日が、血塗られた刀を一層赤くてらした……。
休暇中の旅行先で私は恐ろしい殺人事件に巻き込まれた。事件直前、不吉な予言を残して立ち去った老婆は何者? 同行した友人の突然の奇行は? 浅間山麓に謎が霧のように渦巻く。
無気味な迫力で描く、怪奇ミステリーの最高傑作。他1編収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
真珠郎1936由利麟太郎もの。猟奇性、同性愛趣味度においては乱歩に劣る。終り方も突然ロマンス。自分の才能が認められず世の中に復讐しようとする登場人物は、当時の横溝の心境の反映か?
孔雀屏風1940宝探しになるかと思えば肩すかし。

横溝正史 悪魔の家

著者:    横溝正史
発表:    1938年 ~ 1940年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

武蔵野の面影をとどめた杉並木に生暖かい夜霧が立ちこめた人けのない道。帰途を急ぐ新日報社の花形記者三津木俊助は、背後に尾行者の気配を感じてふと立ちどまった。意外にもそれは若い女だった。夜道の一人歩きが怖くて、と女は詫びた。
うち解けた二人が善福寺のほとりへさしかかった時、突然女が悲鳴を上げた。「悪魔が!」、と女が指さす杉木立の向こうには、グロテスクな顔がボーッと浮かび上がり、無気味な笑い声が聞こえて来た…。
横溝正史傑作短編集。表題作ほか六篇を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
広告面の女1938新聞の広告とそっくりな、子爵の家に監禁されたいる謎の美女。
悪魔の家1938家の壁にボウッと浮かぶ、悪魔の顔。
一週間1938無理矢理特ダネを捏造した新聞記者。
薔薇王1939大悪党の正体は意外に大したことない。
黒衣の人1939兄の冤罪をはらそうとする、妹の冒険。由利先生シリーズ。
嵐の道化師1939犬がくわえてきた人間の指。由利先生シリーズ。
湖畔1940死んだはずの老人が再び現れた。

横溝正史 本陣殺人事件

著者:    横溝正史
発表:    1946年 ~ 1949年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

宣伝文句

一柳家の当主賢蔵の婚礼をおえた深夜、人びとは、恐ろしい人の悲鳴と琴の音を聞いた。離れの座敷の新床の上に、血まみれになって倒れた新郎新婦。その枕元には、家宝の名琴「おしどり」と三本指の血痕の残る金屏風があった。……宿場本陣の旧家に起こった、雪の夜の惨劇を描いて、密室トリックに挑戦する表題作ほか、「車井戸は何故軋る」「黒猫亭事件」の二篇を併せ収める。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
本陣殺人事件1946金田一耕助のデビュー作。隙間だらけの日本家屋で密室は無理か? 殺人にいたる過程の方がユニーク。
車井戸は何故軋る1949あっと驚くどんでん返し。戦争は人を変える。
黒猫亭事件1947金田一はピストルを向けられると明智ほどカッコよくない。前もって弾を抜いておきましょう。

横溝正史 獄門島

著者:    横溝正史
発表:    1947年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

瀬戸内海に浮かぶ獄門島——南北朝の時代、海賊が基地としていたこの島に、悪夢のような連続殺人事件が起こった。おなじみ金田一耕助に託された遺言が及ぼす波紋とは? ‥‥その面白さは三つの殺人にそれぞれ異なった見事なトリックの設定。そのトリックを象徴するに芭蕉の俳句をしつらえ、俳句と殺人の巧みな結びつけは実に圧巻である。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
獄門島1947俳句による見立てがうまいが、おどろおどろしさには欠ける。「気ちがいじゃが、仕方がない」というのはミス・ディレクションというより、ズルい。

横溝正史 殺人鬼

著者:    横溝正史
発表:    1947年 ~ 1958年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

宣伝文句

ある有力な説によると、われわれの周囲には五百人に一人の割合で、未だに発見されていない殺人犯がいるという。あなたの隣人や友だちは大丈夫ですか?
あの晩、私は変な男を見た。黒い帽子をかぶり黒眼鏡をかけ、黒い外套を着たその男は、片脚が義足で、歩くたびにコトコトと無気味な音をたてる。男は何故か、ある夫婦をつけ狙っていた。彼の不審な挙動が気になった私は、その夫婦の家を見はった。だが数日後、夫の方が何者か惨殺されてしまった!
表題作ほか三篇を収録した横溝正史傑作短編集。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
殺人鬼1947わざわざ目立つような黒衣の殺人鬼には、理由がある。
黒蘭姫1948デパートの万引きが殺人事件に発展。
香水心中1958死体が香水の匂いをプンプンさせているのにも、理由がある。
百日紅の下にて1951戦友の事件を解決して義理を果たした、復員直後の金田一耕助。

横溝正史 夜歩く

著者:    横溝正史
発表:    1948年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

仙石直記と三文探偵小説家の私は同郷である。直記が愛している古神家の令嬢八千代にまいこんだ「我、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真は古神家にまつわる陰惨な殺人事件の発端であった!
奇想天外なトリックで従来の推理小説の限界に挑戦した横溝正史の力作。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
夜歩く1948基本的には、クリスティの某有名作品と同じ構成。死体の扱い方も流用か?

横溝正史 びっくり箱殺人事件

著者:    横溝正史
発表:    1948年 ~ 1954年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

箱の蓋をはね上げ、バネ仕掛けの人形のように男が飛び出した。だが瞬間、まえのめりに倒れこむと激しく痙攣し始めた。男の胸には、箱の中に強いスプリングでとめられた鋭い短剣が突きささって……。
スリラーふう軽演劇『パンドーラの匣』の舞台で起った、恐怖の殺人事件! 名推理で犯人を追いつめる等々力警部の活躍は? 本格推理小説の異色傑作。ほか1編収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
びっくり箱殺人事件1948まったく舞台向け、とくに文士劇で見たいような小品。
蜃気楼島の情熱1954耕助は、自分にはまったく関係ないくせに、愛情の機微はわかるようだ。

横溝正史 不死蝶

著者:    横溝正史
発表:    1949年 ~ 1953年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

宣伝文句

「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるに、いつか帰ってきます」 二十三年前、謎の言葉を残し、突然姿を消した一人の女。当時、鍾乳洞殺人事件の容疑者だった彼女は、成長した娘と共に疑いをはらすべく、今、因縁の地に戻ってきた。だが、その彼女の眼の前で、再び忌まわしい殺人が起きた! 被害者の胸には、あの時と同じく、剣のように鋭い鍾乳石が…。
迷路のように入り組んだ鍾乳洞で、続発する殺人事件の謎を追って、金田一耕助の名推理が冴える!
横溝正史の傑作長編推理。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
不死蝶1953途中で一人二役が、なんとなくバレる。猟奇性もロマン性も中途半端。
人面瘡1949人型の顔の正体は、生まれ損なった双生児の片割れだった!という斬新な解釈。

横溝正史 死仮面

著者:    横溝正史
発表:    1949年 ~ 1980年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    350円

宣伝文句

昭和23年秋、「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警へ挨拶に立ち寄った。ところがそこで、耕助は磯川警部から、無気味な死仮面にまつわる話を聞かされる。
東京で人を殺し、岡山に潜伏中の女が腐爛死体で発見され、現場に石膏のデスマスクが残されていたのだ。デスマスクはいったい何の意味なのか?
帰京した耕助は、死んだ女の姉の訪問をうけ、さらに意外な事実を聞いて、この事件に強い興味をそそられた。
30年ぶりに発掘された巨匠幻の本格推理に、絶筆「上海氏の蒐集品」を併録する。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
死仮面1949
上海氏の蒐集品1980

横溝正史 悪魔の降誕祭

著者:    横溝正史
発表:    1950年 ~ 1958年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

大胆不敵!金田一耕助の事務所で起こった殺人事件。被害者は、その日電話をしてきた依頼人だった。あまりのことにさすがの名探偵も唖然とするばかり。その時、12月20日であるべき日めくりのカレンダーが何者かにむしられ、12月25日になっているのに気がついた……。
降誕祭(クリスマス)パーティーの殺人を予告する悪魔のような犯人。屈辱的挑戦を受け、名探偵の激しい怒りが燃える。
本格推理小説の最高傑作! ほか2編収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
悪魔の降誕祭1958邪悪な精神の持ち主は、ここまで醜い表情をするものか。横溝作品には、たまにこういう型にはまった人物が出て来る。何がすごいったって、カバー絵の迫力。
女怪1950金田一耕助の淡い失恋。しかし、この一人二役はいくらなんでもバレるような気がする。
霧の山荘1958軽井沢もの。2つの山荘はむしろ、まったく同じに建てられていた方が面白かったのに。

横溝正史 犬神家の一族

著者:    横溝正史
発表:    1950年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

宣伝文句

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期していたかのような条件を課した遺言状を残して他界した。それをめぐって次々と奇妙な殺人事件が起る‥‥。横溝正史独特の、血の系譜をめぐって、現実と過去の謎のベールを徐々に剥いで行くスリルとサスペンスは推理小説の醍醐味を満喫させてくれるだろう。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
犬神家の一族1950つまり、三種の宝器、斧(よき)、琴、菊にちなんだ連続殺人で、ヨキはちょっと苦しかったか。入り乱れた家系で頭が混乱。

横溝正史 幽霊座

著者:    横溝正史
発表:    1951年 ~ 1957年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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人気随一の若手歌舞伎俳優が失踪して以来、17年の月日が流れた——朽ちた古芝居小屋で17回忌追善興行が行われている最中、またしても事件が起り、惨劇があい次ぐ。梨園にわだかまる因襲と確執、激しい親子の愛憎の中に謎が隠されていた! 本格推理中編の傑作といわれる表題作他、「鴉」「トランプ台上の首」を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
幽霊座1951女形役者の写真が逆さという点を除けば、他の演劇界でも通じる話。
1951床に落ちた血を隠すためには…。
トランプ台上の首1957首を残して胴体を隠す謎。

横溝正史 女王蜂

著者:    横溝正史
発表:    1951年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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類まれな絶世の美女、大道寺智子が亡き母の遺言により、月琴島から東京にいる父のもとにひきとられた18歳の誕生日以来、智子を目当てに現われる男達が次々と殺される! 開かずの間に秘められた20年前の恋と嫉妬は悲惨な結末をみた。読みごたえ充分、抜群に面白い横溝正史の傑作長編!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
女王蜂1951 聡明な美女が主人公で、たくましいハンサム男も出て来るメロドラマ調。やや軽く女性読者向けか。

横溝正史 悪魔が来りて笛を吹く

著者:    横溝正史
発表:    1951年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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毒殺事件の容疑者である椿元子爵が失踪して以来、椿家に次々と惨劇が起る。自殺他殺を交えて7人の命が奪われた。子爵が娘に残した遺書「これ以上の屈辱、不名誉にたえられない」とは何を意味するのか? 悪魔の吹く嫋々たるフルートの音色を背景に妖異なる雰囲気とサスペンスが最後まで読者を惹きつけて放さない。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
悪魔が来りて笛を吹く1951怪奇性は充分。目賀博士は乱歩の「目羅博士」に由来するのか? なぜ悪魔は笛を吹くのかが鍵で、またそれを逆手にとる犯人。

横溝正史 幽霊男

著者:    横溝正史
発表:    1954年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

宣伝文句

等々力警部がまっ先にホテルのバスルームに飛び込んだ。そこには、湯を真っ赤に染めて浴槽に浮かぶ全裸の女の死体が……。
ブームに乗って大いに繁盛する、いかがわしい、興味本位のヌードクラブ。そこに所属する三人の女が次々に惨殺された。それも金田一耕助や等々力警部の眼前で……。かつてない程の屈辱を味わった名探偵の闘志が燃える。神出鬼没の無気味な犯人幽霊男との対決は?
横溝正史の傑作怪奇ミステリー!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
幽霊男1954怪奇というよりも、乱歩の「蜘蛛男」のような通俗猟奇路線を狙った作品。しかし、横溝の気真面目さのためか、迫力不足。金田一も出ているだけで、ほとんど探偵をしていない。

横溝正史 三首塔

著者:    横溝正史
発表:    1955年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

宣伝文句

華やかな還暦祝いの席が一転して、陰惨な三重殺人事件現場に変わった! 殺されたのは、アクロバット・ダンサー。謎の男。そして探偵。宮本音禰に課せられた、謎の男との結婚を条件とした遺産相続が巻きおこす事件の裏には、愛慾と同性愛におぼれる男女の姿があった。本格推理とメロドラマの融合を試みた傑作小説。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
三首塔1955もろに女性向け。役者が型にはまっているので、B級テレビ・ドラマを見ているようだ。

横溝正史 吸血蛾

著者:    横溝正史
       よこみぞ・せいし
発表:    1955年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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木箱のふたをこじあけた瞬間、思わず縫い子たちは後ずさりした。箱の中には、乳房をえぐりとられ、その血だまりに一匹の蛾を浮かべた若い女の死体が……..。服飾界の女王として君臨する美人デザイナー浅茅文代。だが、突然アトリエに死体入りの木箱が送り込まれたのを手始めに、彼女の大事な専属モデルたちが次々と殺されていった。犯人の目的は何か?そして、灰色ずくめの服装で暗躍する無気味な狼男とは何者? 全編にあふれる怪奇とロマン、横溝正史の傑作長編推理!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
吸血蛾1955よくもまあ、これだけグロのアイデアが出てくると感心する。相変わらず金田一探偵は殺人を防げない。

横溝正史 扉の影の女

著者:    横溝正史
発表:    1956年 ~ 1957年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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築地の橋下で、若い女の変死体が発見された!被害者は鋭い帽子の留め針で首筋を一突きにされ、そばには謎めいた手紙の切れはしが…。金田一耕助の事務所を訪れた依頼人の女性は、この事件の目撃者だった。だが、その供述によると、犯行現場は西銀座にある人けのない路地だという。俄然、闘志を燃やした金田一は事件解決に乗り出していった。金田一耕助の日常生活を浮き彫りにした異色作。ほかに「鏡が浦の殺人」を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
扉の影の女1956凶器がハットピンというのが、凝っている趣向。
鏡が浦の殺人1957舞台も現代的だし、特別な趣向もなく、平凡な作品。

横溝正史 悪魔の手毬唄

著者:    横溝正史
発表:    1957年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    460円

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岡山と兵庫の県境。四方を山に囲まれた鬼首村。この地に昔から伝わる手毬唄が、次々と奇怪な事件を引き起こす。数え唄の歌詞通りに人が死ぬのだ! 現場に残される不思議な暗号は何を意味するのか? 事件の真相を探るうちに、20年前に迷宮入りになった殺人事件が浮かび上がって来る…。好評「八つ墓村」に続く戦慄の推理長編!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
悪魔の手毬唄1957こんどは童謡での見立て殺人。やむにやまれぬ動機の犯人が哀れ。

横溝正史 悪魔の寵児

著者:    横溝正史
       よこみぞ・せいし
発表:    1958年
発行所:   角川書店
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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胸をはだけ、乳房をむきだしに折り重なって発見された男女。すでに、女は息たえ、白い肌には無気味な死斑が浮きでていた……。情死を暗示する奇妙な挨拶状を遺して死んだ美しい人妻。不倫の恋の清算か?闇行為で財をなしたしたたかな実業家の周辺につぎつぎに起こる猟奇殺人事件! ジメジメと湿った雨の日に、亡霊のようにあらわれる〈雨男〉、消えた死体の謎。名探偵金田一耕助の鮮やかな推理の冴え!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
悪魔の寵児1958いつものように、読書の期待どおりにエログロ怪奇満載の、レインコートの怪人! いつものように、ミステリの骨格はちゃんとしている。

横溝正史 スペードの女王

著者:    横溝正史
発表:    1960年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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片瀬の沖で浮かんでいた若い女の変死体。その女の首はなく、内股にはスペードのクイーンをあしらった刺青が! 警察の調べにより、今は亡き名人彫物師彫亀の作で、全く同じ刺青をしたもう一人の女が行方不明であることが判明した。いったい殺されたのはどちらの女なのか? そして彫亀が二人目の女にほどこした細工とは? 複雑にからみ合う謎に金田一耕助が挑戦。横溝正史がサスペンス豊かに描く、本格推理小説。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表 感想
スペードの女王1960おなじ彫り物をしているという時点で、もうすり替えが見え見え。

横溝正史 支那扇の女

著者:    横溝正史
発表:    1960年 ~ 1961年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    300円

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鮮血が飛び散る部屋の中で、血溜まりに鼻を押しひしゃげて突っ伏す寝巻姿の女。そして隣の部屋には、額をざくろのように割られ、凄まじい形相をした老婆が死んでいた!
駆けつけた等々力警部と金田一耕助はただちに聞き込みを開始。だが、使用された凶器の意外な捨て場所、さらに70年前、世間を恐怖のどん底に陥れた毒殺事件とのからみが、事件をますます複雑にしていった。
謎の因縁話に秘められた斬新なトリック、横溝正史の傑作長編推理。ほかに「女の決闘」を収録。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
支那扇の女1960公候伯子男の華族制度が制定されたのは、明治17年(1884年)だった。
女の決闘1961珍しく外国人がからむ、女同士の表面化の争い。

横溝正史 白と黒

著者:    横溝正史
発表:    1960年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    490円

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平和そのものに見えた団地内に突如、怪文書が横行し始めた。プライバシーを暴露した陰険な内容に人々は戦慄! その矢先、団地のダスター・シュートから、真黒なタールにまみれた女の死体が発見された。眼前で起きた恐ろしい殺人に、団地の中はたちまち大混乱……。
よれよれのセルの袴にもじゃもじゃ頭の名探偵金田一耕助が、近代的な団地を舞台に展開する鮮やかな推理。
大都会にテーマを求め新境地を開いた横溝正史の野心作!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
白と黒1960長いわりに盛り上がりに欠ける。現代が背景なので怪奇性もなし。村社会以上に団地社会もいやらしい。

横溝正史 悪魔の百唇譜

著者:    横溝正史
発表:    1962年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    340円

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深夜の高級住宅街に停っていた一台の外車、パトロール中の警官がこの車に不審を抱いたのが醜悪な事件の始まりだった。
——トランクをあけた瞬間、彼は思わず二三歩飛びさがった。中には、胸をえぐられ、その血溜まりに”ハートのクイーン”を浮かべた女の死体がつめこまれて…。
関係した女たちの性癖を克明に記した「百唇譜」をもとにゆすりを働く悪魔のような男に金田一耕助の挑戦は!
絶妙な謎ときと意表をつくトリック、横溝正史の本格長編推理。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
悪魔の百唇譜1962関係した女を眠らせ、唇拓を取り、あとで恐喝に使うという、男のクズが殺された。トリック、筋立てとも今いち。

横溝正史 仮面舞踏会

著者:    横溝正史
発表:    1962年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    490円

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富裕な避暑客の訪れで、閑静な中にも活気を見せ始めた夏の軽井沢。だが、その優雅な賑いを打ちこわすように殺人事件が起きた。被害者は画家の槙恭悟で、有名な映画女優鳳千代子の三番目の夫である。死因は青酸中毒だった。
華麗なスキャンダルをまきちらす鳳千代子は五番目の恋人、大財閥の飛鳥忠熈の別荘でこの事件を知り、愕然とした。過去二年間、毎年一人彼女の夫だった男が謎の死を遂げていたからだ。たまたま知人の招待で軽井沢に来ていた金田一耕助は、早速事件解決に乗り出してゆくのだが……。
構想十余年、著者が精魂を傾けて描き上げた本格推理巨編!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
仮面舞踏会1962長いわりにめりはりがなく、退屈する。離婚を繰り返す女優に対しては好意的だが、相変わらず不具者への偏見のような描写も多い。

横溝正史 夜の黒豹

著者:    横溝正史
発表:    1963年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    520円

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現場に着いた金田一耕助は、思わずゾーッとした。断末魔の形相凄じく、ベッドに横たわる女の死体がそこに、そしてその乳房の間には、まるで生きているような無気味な、マジック・インキで描かれた一匹の青蜥蜴が!
いかがわしいホテルで一人の娼婦が殺害された。犯人は、事件の前後に出没した全身黒ずくめ怪紳士か? だが、金田一が乗り出した直後、事件の鍵を握るホテルのベル・ボーイが重傷を負い、意識不明になってしまう……。
本格推理の醍醐味を堪能させる、横溝正史の傑作長編。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
夜の黒豹1963乱歩風味のエログロ猟奇路線を狙った作品。黒蜥蜴ならぬ青蜥蜴の印象は薄い。

横溝正史 病院坂の首縊りの家 上

著者:    横溝正史
発表:    1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

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その昔、薄倖の女が首を縊った忌まわしい屋敷、旧法眼邸。明治から戦前まで隆盛を極め、”病院坂”という地名にまでなった大病院の屋敷跡である。
本條写真館の息子直吉は、ある夜その屋敷で、奇妙な結婚式の記念写真を撮らされた。今は住む人もない廃屋で、毛むくじゃらの大男と、か細い色白の花嫁の不思議な組合せは、何か不吉な出来事を暗示しているようだった。そりて数日後、再び撮影の依頼でその屋敷に赴いた彼は、腰を抜かさんばかりに驚いた。そこには、鮮血を滴らせ、風鈴のように天井からぶら下がった凄まじい形相の男の生首が……。
巨匠横溝正史執念の大作上巻!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
病院坂の首縊りの家 上1975過去に一度中断した作品の書き直し。乱歩の「恐怖王」を彷彿とさせる発端だが、ちょと違う。あいかわらず複雑な家系図に頭をかかえる。四十過ぎてまだ居候している金田一は自由人だ。

横溝正史 病院坂の首縊りの家 下

著者:    横溝正史
発表:    1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    380円

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病院坂の首縊りの家で起きた生首風鈴殺人事件から二十年の歳月が流れた。警視庁を停年退職し、今は秘密探偵事務所を開設した等々力元警部を、ひょっこりと金田一耕助が訪ねた。めっきり白髪のふえた等々力に較べ、金田一の方は一向に老けないから不思議だ。やがて二人の話は、金田一耕助が関係した中で唯一の不本意な結末を迎えた病院坂の事件に至った。この事件はすでに時効が成立していたが、その延長線上に新たな事件発生の兆候があると金田一は語った。そして再び金田一、等々力の名コンビがここに復活した!
名探偵金田一耕助が二十余年の歳月を費して解決、その後、姿を消した最後の事件、完結編。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
病院坂の首縊りの家 下1975妾宅の風鈴話が泣きどころか。金田一は推理らしい推理はほとんどしない。突然にふらりと消えるのが彼らしい。お疲れさまでした。

横溝正史 迷路荘の惨劇

著者:    横溝正史
発表:    1975年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    420円

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——広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ豪邸名琅荘。屋敷内の至る所に<どんでん返し>や<ぬけ穴>が仕掛けられ、その複雑な造りから別名迷路荘と呼ばれている——。
知人の紹介で迷路荘を訪問した金田一耕助は、到着直後、凄惨な殺人事件に巻き込まれた。被害者は、ここの創建者の孫古館辰人元伯爵で、後頭部を一撃され、首にはロープで締められた跡が残っていた。やがて事件解明に乗り出した金田一は、二十年前に起きた因縁の血の惨劇を知り、戦慄する……。
斬新なトリックと溢れるサスペンス、巨匠横溝正史の最新長編本格推理!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
迷路荘の惨劇1975他の中期長編に比べると、ややパワーダウン。外国作品の密室トリックを使い回しているのも×。

横溝正史 金田一耕助のモノローグ

著者:    横溝正史
発表:    1976年
発行所:   角川文庫
カバーアート:杉本一文
価格:    350円

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昭和二十年四月一日から始まった約三年半にわたる岡山での疎開生活。横溝正史は肥たごをかつぎ、畑を耕しながら、土地の人々との交流を深めた。彼は日本の敗戦を予測し、もし戦争協力を求められたら一家心中も辞さず、と常に青酸加里を携帯していた。玉音放送を聞いた時、彼は快哉を叫んだ。正史の猛烈な創作がこの時から始まる…。
「本陣殺人事件」「蝶々殺人事件」「八つ墓村」「獄門島」等、数々の名作が生まれた背景を、横溝正史が自ら綴った想い出の記。横溝ファン必読の一冊!

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
金田一耕助のモノローグ1976岡山県の農村に疎開してから、東京に戻ってくるまでの記録。岡山の田舎の閉鎖性を散々書いているくせに、本人は結構田舎暮らしに適応し、楽しんでいたようだ。

横溝正史 金田一耕助の冒険 1

著者:    横溝正史
発表:    1979年
発行所:   角川文庫
カバーアート:和田誠
価格:    260円

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夕方の雑踏で賑わう吉祥寺駅前で、袴姿の金田一耕助と等々力警部が、ひそひそ話し込んでいる。挙動不審の一人の青年を見張っていたのだ。やがて、動き出した青年を等々力警部が尾行し、金田一は、見当をつけていた現場へ先廻りすることになった。
青年は新聞記者で、一年前、不可解な事件に巻き込まれて失った記憶を取り戻そうとしていた。その事件の鍵を握る謎の女は、彼の瞳の中だけに存在するのである。今ようやく、事件の全貌が明らかにされようとしていた……。
「瞳の中の女」
一篇ごとに趣向を凝らした、金田一耕助異色の事件簿PART 1。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
霧の中の女不明宝石店で万引きし、店員を刺して逃げた女?
洞の中の女不明キャバレー経営者をめぐる女たち。
鏡の中の女不明読唇術で殺人計画が発覚! 江戸川乱歩の作品にもこういうのがあった。
傘の中の女不明海岸のパラソルの下で埋められていた死体。
瞳の中の女不明殴られて記憶を喪失している男が、唯一覚えている女の顔。
檻の中の女不明流れてきたボートの犬の檻に入っていた死体。

横溝正史 金田一耕助の冒険 2

著者:    横溝正史
発表:    1979年
発行所:   角川文庫
カバーアート:和田誠
価格:    260円

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通称”夢見る夢子さん”、金田一耕助が時々通うパチンコ屋の看板娘が、突然、何者かに殺害された。彼女は、三年前に謎の死を遂げた彼女の姉と同様に、焼跡の廃墟から死体で発見された。彼女から姉の死について調査を頼まれていた金田一は、報らせを聞いて愕然とした。しかも彼女は、金田一耕助名の手紙でおびき出され、命を落したのである。
憎むべき不敵な犯人に対し、金田一と等々力警部は怒りの捜査を開始した。
「夢の中の女」
オムニバス風に一話完結の形態を取った、金田一耕助の事件簿PART 2。

帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル     発表感想
夢の中の女不明殺されたパチンコ店員の女の裏の、百円札贋造事件。
泥の中の女不明訪問した探偵作家の隣の部屋の布団には死体が…。
柩の中の女不明よくある、石膏像に塗り込められていた死体。
鞄の中の女不明当時は珍しかった自動車の、トランクに詰まっていた死体。
赤の中の女不明海岸で出会った夫婦の裏で進行している結婚詐欺。

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