昭和29年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。TBS在勤中の昭和55年『猿丸幻視行』で江戸川乱歩賞を受賞。歴史推理小説の分野で活躍する一方、日本史と日本人の謎に鋭く迫る意欲的な評論活動を展開。言論界に大きな波紋を呼んでいる。代表作に「言霊』『穢れと茶碗』(ともに祥伝社刊)『逆説の日本史』(小学館刊)。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
井沢元彦 猿丸幻視行 ★★★★★
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猿丸大夫、百人一首にも登場するこの伝説の歌人の正体は?〝いろは歌”にかくされた千年の秘密とは……。眼前に展開した友人の悲劇的な死のなぞを解き明かす若き日の折口信夫の前に、意外な事実が次々に姿を現わしていく。暗号推理の楽しさも満喫させるスリリングな長編伝奇ミステリー。江戸川乱歩賞受賞。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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猿丸幻視行 | 1980 | 過去の折口の体に人格が移り変わるのではなく、折口の視点で追体験するような、仮想現実的物語。しかし、その謎の提示と解決が素晴らしく、和風な題材の中でも群を抜いている。 |
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歴史ミステリーの俊英が放つ新シリーズ・織田信長推理帳。天正の世、安土城から天下に睨みを利かせる信長の前に、次々に難事件が持ち込まれる。キリシタン修道士・暗殺者・戦国武将たちが織りなす歴史絵巻「修道士の首」「六点鐘は二度鳴る」「王者の罪業」「裁かれたアドニス」等七編を収録する異色の連作小説。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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修道士の首 | 1981 | 安土城で暗躍する「金毛天狗」の謎。 |
二つ玉の男 | 1983 | 超長距離を射抜く狙撃手の秘密を信長が暴く。 |
六点鐘は二度鳴る | 1981 | 本願寺との和睦の決裂の裏に「竹に雀」。 |
王者の罪業 | 1982 | 毛利との決戦を前に、家臣団の結束を高めていたが、裏切者が必ずいる。 |
身中の虫 | 1983 | 茶会での佐久間重盛の毒殺の背後には、堺の町衆。 |
不動明王の剣 | 1982 | 不動明王に唾を吐いた宣教師も、剣で殺された。 |
裁かれたアドニス | 1982 | 武田侵攻の前に、鉄砲買い付けが、間者によって妨害される。 |
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探偵は二十五歳の新進作家・芥川龍之介、本格歴史ミステリー。龍之介は伊達騒動の大悪人・原田甲斐の子孫であ友人・原田宗助から先祖の恥をすすぐため、掛軸に隠された暗号解読を依頼される。だがほどなく宗助は、密室殺人の被害者となってしまった。鍵は桜と橘、国史をも揺るがす衝撃的事実とは何か。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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ダビデの星の暗号 | 1985 | 伊達騒動、ユダヤ人、芥川など舞台装置が多すぎる。ちょっと欲張りすぎか。 |
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大正十年春、中国・上海。新進作家芥川龍之介は、源義経〝清朝の祖”説を証明するという秘本を求め、上陸した。ロシア・ロマノフ王家の秘宝・ペテルブルグの星の行方は? 清国再興をもくろむ日本陸軍の黒幕とは? 連続殺人と歴史の謎に挑戦する芥川探偵の名推理。歴史ミステリーの俊英井沢元彦の長編力作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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義経幻殺録 | 1986 | 義経=ジンギスカン説、陸軍の陰謀、ロマノフ家のお宝など、これまた欲張った設定の謎に、芥川が迫る。 |
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ヨシツネに殺される…佐倉財閥の跡を継ぐことになっている森川義行からの救いをもとめる、謎の電話。そして源義経の悲劇に符合する殺人事件が起こる。連続して起こる殺人事件の謎と、義経伝説、平泉の金色堂の秘密に挑戦する古美術研究家の名探偵・南条圭の推理! 新考証で描く、傑作歴史ミステリー。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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義経はここにいる | 1989 | ジンギスカンとまではいかなくても、これまた源義経をテーマにした。こういうミステリの常として、現実の事件よりも歴史のウンチクが面白い。 |
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「武田信玄の墓はどこにあるのか?」というテーマで討論をするため、諏訪湖の貸別荘に集まった典山大学歴史研究会のメンバー九名。しかし、その旅行を呼びかけた当人は姿を見せず、代わりに、鎧兜を身につけた武将姿の男が歴史研究会のメンバーに復讐を誓う内容のビデオが、別荘に届けられた。そして翌朝、女性メンバーの一人が槍で刺され死体となって発見される! だが、それは戦慄の連続殺人の幕開けに過ぎなかった……。武田信玄の屍の所在をめぐる歴史上の謎と、現代で繰り広げられる連続殺人の謎が交錯する、長編歴史ミステリー。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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信玄の呪縛 | 1991 | 武田信玄の面白い謎を扱っているにもかかわらず、信長や義経にくらべて人気がない。 |
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源氏を巡り交錯する謎
帯、カバー、裏表紙等から引用
国文学者・折口信夫の元に一通の書簡が届いた。差出人・貴宮多鶴子によれば、貴宮家に代々伝わる『源氏物語』は従来のものと違い十七帖しかないという。これは源氏物語多作者論を裏付ける『原・源氏物語』なのか?友人とともに出向いた若き国文学者・角川が貴宮家で見たものは…『源氏物語』千年の歴史に秘められた謎とは?長編歴史ミステリー。
タイトル | 発表 | 感想 |
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GEN 源氏物語 秘録 | 1995 | 探偵が角川源義なので、当然ながら角川書店から最初に出版された。源氏物語の作者は複数いるという説。 |
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内容(「BOOK」データベースより)
帯、カバー、裏表紙等から引用
歴史に「if」という考え方は学問として邪道である。が、「if」の研究を怠ることが逆に邪道である。「歴史を民族の教訓集」と捉え、豊かな推理力を駆使して井沢史観を展開する新日本史。
タイトル | 発表 | 感想 |
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歴史if物語 | 1995 | 第1部は歴史上の有名人たちの手紙。第2部の様々な「もしも…だったら」編は、むしろ歴史についてのエッセイに近い。 |
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国を亡ぼすのは昔陸軍、今官僚。彼ら「試験エリート」に共通する体質とは何か。歴史の教訓をもとに今日の官僚を蝕む病巣を抉り、打開策を提示する警世の書。
帯、カバー、裏表紙等から引用
日本国民全員の必読書 ジャーナリスト櫻井よしこ
「官僚に国を亡ぼされてたまるか」、あるいは「霞が関焼き討ち待望論」といった烈しいタイトルをつけた井沢さんの主張に、私は双手《もろて》をあげて賛成するものである。和を重んじ調整を重んずる風土から、日本がいかに後ろ向きの国家となり果てているか、そのために国民がいま、どれほど深刻な被害を蒙り、命さえを奪いとられていっているか。井沢さんはそんな日本の危うい現状を、東西古今の具体例を引きながら、実に判り易く一冊にまとめあげた。大変革なしには滅亡だ。それほど病んだ日本変革の責任は私たち一人一人にあり、その責任を自覚したときに、必ず社会は変わっていく。その意味で本書は日本国民全員にとっての必読の書である。
井沢氏の怒りに共感 落語家 桂文珍
井沢氏は許せないぞと怒っているぞ! これはこの国の行く末への逆説か? 否、これは正論である。普通の人間がごく普通の感覚を持っていれば誰でも怒る。機能することを忘れた官僚システムの現状を、井沢氏は代表して論じている。そして怒っている。有能で官僚システムを有効に使いこなせる政治家を、我々は長い間選ぶことすらさせてもらってない。ロシアやイスラエルの選挙をうらやましく思う日本は、一体どうなっているのか? この日本を良くする秘策はあるのか、井沢氏に聞こう!
タイトル | 発表 | 感想 |
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日本を殺す気か! | 1996 | 歴史ともミステリとも関係なく、現代の官僚に怒りをぶちまける評論(エッセイ?)集。 |
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