太字作品や★★★★★が特におすすめです。
安部公房 R62号の発明・鉛の卵
著者: 安部公房
発表: 1953年 ~ 1957年
発行所: 新潮文庫
カバーアート:阿部真知
価格: 280円
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会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する『R62号の発明』、冬眠器の故障で80万年後に目を覚ました男の行動を通して現代を風刺した先駆的SF作品『鉛の卵』、ほか『変形の記録』『人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち』など、昭和30年前後の、思想的、方法的冒険にみちた作品12編を収録する。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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R62号の発明 | 1953 | 所長と事務員の中小企業的リアルさ。 |
パニック | 1954 | パニック商事という怪しげな会社を受けた失業者。 |
犬 | 1954 | しゃべる犬と闘争する画家。 |
変形の記録 | 1954 | 幽霊とともに敗走する小隊。 |
死んだ娘が歌った…… | 1954 | 貧乏家族にたかられる娘は幽霊になった。 |
盲腸 | 1955 | 羊の盲腸を移植された男の食生活。 |
棒 | 1955 | 棒になった男が裁かれる。 |
人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち | 1956 | 食用人間の訴えは通じるか。 |
鍵 | 1956 | 変な発明家の叔父をたずねた若者。 |
耳の値段 | 1956 | 六法全書が金儲けの手引! |
鏡と呼子 | 1957 | 村に感化される新任教師。 |
鉛の卵 | 1957 | 突然古代人になってしまった男のカルチャー・ショック。 |
安部公房 壁
著者: 安部公房
発表: 1951年
発行所: 新潮文庫
カバーアート:阿部真知
価格: 320円
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ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固めらてた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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S・カルマ氏の犯罪 | 1951 | 名前を失った男と、タイピストと名刺の幻想的世界の果て。 |
赤い繭 | 1951 | おれの家はどこだ。 |
洪水 | 1951 | 突然液化する人間たち。 |
魔法のチョーク | 1951 | チョークで世界を設計するアルゴン君の企み。 |
事業 | 1951 | 豚鼠から人肉に発展していくソーセージ会社。 |
バベルの塔の狸 | 1951 | とらぬ狸に影をとられて、透明になった貧しい詩人の冒険。 |
安部公房 第四間氷期 ★★★★★
著者: 安部公房
発表: 1958年
発行所: 新潮文庫
カバーアート:阿部真知
価格: 280円
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現在にとって未来とは何か? 文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か? 万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語り出すのであった……。薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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第四間氷期 | 1958 | 技術的な描写ではさすがに古臭くなっているが、電子計算機上に仮想人格を再構築するなど、時代を大きく先取りしている点が多い。この戦慄の未来像を暗くみるかは議論を呼ぶところだが、少なくとも現在の延長ではない。 |
安部公房 人間そっくり
著者: 安部公房
発表: 1967年
発行所: 新潮文庫
カバーアート:阿部真知
価格: 200円
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<こんにちは火星人>というラジオ番組の脚本家のところに、火星人と自称する男がやってくる。はたしてたんなる気違いなのか、それとも火星人そっくりの人間か、あるいは人間そっくりの火星人なのか? 火星の土地を斡旋したり、男をモデルにした小説を書けとすすめたり、変転する男の弁舌にふりまわされ、脚本家はしだいに自分が何かわからなくなってゆく……。異色のSF長編。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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人間そっくり | 1967 | 気違いにふり回される男の混乱ぶりに、読者にも次第に狂気がしのびよる。SFというほど空想科学的でもなく、いつもの調子。 |
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