高橋克彦(たかはし・かつひこ)
昭和22(1947)年、岩手県盛岡市に生れる。早稲田大学商学部卒業後、美術館勤務を経て、58年「写楽殺人事件」で第29回江戸川乱歩賞を受賞。その後「総門谷」で吉川英治文学新人賞、「北斎殺人事件」で日本推理作家協会賞を受賞する。著書に「竜の柩」「春信殺人事件」「その日ぐらし」(対談集)などがある。また、浮世絵研究家としても知られ、著書に「浮世絵鑑賞事典」などがある。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
高橋克彦 歌麿殺贋事件
著者: 高橋克彦
発表: 1981年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 440円
宣伝文句
歌麿の「幻の傑作」が発見された? 美術界をゆるがすかもしれぬ事件に雑誌編集者の杉原は勇み立ち、研究家の塔馬双太郎の助力をたのむ。
帯、カバー、裏表紙等から引用
しかし、それは巧妙な贋作だった。そして思いがけず、歌麿は謎の絵師写楽でありえたことまで証明されて……。
浮世絵ミステリの白眉といえる秀作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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一章 歌麿の首 | 不明 | 歌麿をテーマにした、美術雑誌記者の杉浦と、浮世絵探偵、塔馬双太郎の活躍を描く連作シリーズ。古美術商の島谷の依頼で鑑定に出かけた、塔馬と杉浦は、歌麿の幻の傑作を発見する。恩師の岬先生がからむ、犯罪の影が……。 |
二章 歌麿捜索願い | 不明 | 歌麿の贋作を巧妙に売り込むぺてん師に、塔馬が一杯食わされる。 |
三章 歌麿真贋勝負 | 不明 | 雑誌の企画で、悪徳美術商と鑑定眼を賭けて塔馬が対決。 |
四章 歌麿の秘画 | 不明 | 鑑定眼もないコレクターに仕掛けられた罠。歌麿=写楽説。 |
五章 歌麿カタログ | 不明 | 悪質なカタログ商法の実際。 |
六章 歌麿因果 | 不明 | 帰ってきたぺてん師たちと再対決。 |
高橋克彦 写楽殺人事件
著者: 高橋克彦
発表: 1983年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 580円
宣伝文句
謎の絵師といわれた東州斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。大学助手の津田も、ふとしたことからヒントを得て写楽の実体に肉薄する。そして或る結論にたどりつくのだが、現実の世界では彼の周辺に連続殺人が起きていて——。
帯、カバー、裏表紙等から引用
第29回江戸川乱歩賞受賞の本格推理作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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写楽殺人事件 | 1983 | 著者の豊富な浮世絵の知識を利用し、わずか10ヶ月に膨大な作品を残した写楽の正体に、諸説を検証しながらまったく新しいアプローチで迫る。現実の方の殺人事件はたいして面白くないが、写楽の推理だけで価値がある。浮世絵研究界の現状にも不満があるようだ。 |
高橋克彦 総門谷
著者: 高橋克彦
発表: 1985年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 840円
宣伝文句
岩手県で一年間にわたり、UFOの目撃者が続出、そして奇怪な焼死体さえも! だが、このUFO騒動の裏は?
帯、カバー、裏表紙等から引用
疑惑を抱く超能力者霧神顕たちは、怖るべきパワーの魔手と闘い、傷つきながらも、ついに魔の本拠・総門谷に潜入した。そこで目にした驚愕の光景とは?
構想十五年を費やしたSF伝奇超大作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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総門谷 | 1985 | UFOだの、ナスカの地上絵だの、オーパーツだの、ピラミッドだのオカルトの蘊蓄はちりばめられているが、結局なんともB級なSF活劇になる。不老不死の怪人が使者を甦らせて使役するのは斬新か。実は”総門”にヒントがあった。 |
高橋克彦 倫敦暗殺塔
著者: 高橋克彦
発表: 1985年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 540円
宣伝文句
明治十八年のロンドンは日本ブーム。生活をナマで見せる日本人村が好評を博す。一方、国際的信用を得るのにあと一歩の明治政府では、井上馨、伊藤博文、山縣有朋らが密謀を。そこへロンドンで日本人への殺人が起きた。政府と日本人村にどんな接点があるのか?
帯、カバー、裏表紙等から引用
絶妙で壮大な構成の歴史ミステリー。
タイトル | 発表 | 感想 |
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倫敦暗殺塔 | 1985 | 19世紀末のロンドンを舞台に、日本村の通辞が謎の日本人連続殺人事件を解く。克明な時代背景の描写は秀逸。上野精養軒の料理はうまそうだ。純東洋的な暗号もあり、ドイルやウェルズがゲスト出演しているのはご愛敬。 |
高橋克彦 星の塔
著者: 高橋克彦
発表: 1986年 ~ 1988年
発行所: 文春文庫
カバーアート:峰岸達
価格: 450円
宣伝文句
螺旋が屋上まで続き、今度はその道と入れ子のような下りの螺旋に変わる。珍しい作りだが世の中に皆無というものでもない。実際に会津若松の飯盛山にはおなじ構造の『さざえ堂』と呼ばれる塔が現存している。———(本文より)山奥の古い時計塔に隠された秘密を巡る表題作他、現代に甦る東北地方の奇譚七話。解説・野坂昭如
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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寝るなの屋敷 | 1986 | 座敷童子は、かわいい女の子。 |
花嫁 | 1986 | 皮を脱いで、別の体に移る、驚異の生命体。 |
子をとろ子とろ | 1987 | 堕した子供は、黒い粉になっている。 |
蛍の女 | 1987 | 殺人事件も、美しい民話にしてしまえば問題ない。 |
猫屋敷 | 1987 | 八百比丘尼のような女は、猫が嫌いだ。 |
首継ぎ御寮 | 1988 | 前世の導きで青森に向ったのだが…。 |
星の塔 | 1988 | 時計塔ではなく、タイムマシン! |
高橋克彦 北斎殺人事件
著者: 高橋克彦
発表: 1986年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 600円
宣伝文句
ボストン美術館で殺された老日本人画家とは何者か。
帯、カバー、裏表紙等から引用
一方日本では、謎の生涯を送った浮世絵師葛飾北斎の正体に迫ろうと研究家たちが資料を追う。北斎は隠密だった?
日本とアメリカを結ぶキイはどこか?
「写楽殺人事件」に続く浮世絵推理の傑作。日本推理作家協会賞受賞作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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北斎殺人事件 | 1986 | 北斎は頻繁に旅行をしているくせに、その地の絵が少ない。おりしも外国船が日本をうかがっている江戸末期、北斎は偵察旅行をしていたのだ。現代の贋作事件の方は大したことはない。 |
高橋克彦 蒼夜叉
著者: 高橋克彦
発表: 1988年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 460円
宣伝文句
青森のキリスト伝説の地で、男が十字架で首吊り死。それを冷然と眺め、闇に消えた謎の美少年。
帯、カバー、裏表紙等から引用
さらに京都、香川と怪事は続き、例の美少年が現われる。これらの地には必ず怨霊伝説が存在した。怨霊の跳梁、さらにソロモン秘宝の謎を秘め、話は核心へと! 壮大構想で興奮を呼ぶホラー傑作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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蒼夜叉 | 1988 | 実は大金持ちの女編集者のヒロイン、連れの女カメラマン、案内役の異常に故事来歴に詳しいフーテンの道中、古代の怨霊と戦うはめになる。人に寄生して渡り歩く怨霊は、まるでエイリアンのようで、B級ホラー映画のノリ。 |
高橋克彦 南朝迷路
著者: 高橋克彦
発表: 1989年
発行所: 文春文庫
カバーアート:峰岸達
価格: 500円
宣伝文句
取材で壱岐を訪れた、推理作家のチョーサクと編集者のリサは、後醍醐天皇の隠し財宝にまつわる殺人事件を偶然耳にする。歴史を辿って吉野に向かう二人に迫る謎の宗教団体の影。塔馬双太郎は、壱岐—吉野—長野—青森を結ぶ南朝の謎を解くため、東北の奇祭「火流し」のある村へ向かった。本格歴史ミステリー。解説・井上夢人
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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南朝迷路 | 1989 | 後醍醐天皇が鋳造したと伝えらる幻の通貨、乾坤通宝をめぐる伝説と、それを狙う髑髏崇拝の立川流信者の脅迫。結局は看板倒れで、肩透かしに落ち着く。過疎村の悲哀だけが残る。 |
高橋克彦 ドールズ
著者: 高橋克彦
発表: 1997年
発行所: 角川文庫
カバーアート:智内兄助
価格: 560円
宣伝文句
季節外れの大雪に見舞われた盛岡で、夜間、7歳の少女がひき逃げに遭った。はねら
帯、カバー、裏表紙等から引用
れたのは、喫茶店「ドールズ」の経営者である月岡真司の娘・怜。彼女は言葉を失い、一方で〝人形〟に異様な関心を示しだす。喫煙をはじめとする怜の信じがたい奇矯な行動。さらに医学の常識をこえた不可解な症状が彼女の肉体を襲う。少女の心の闇に何がひそんでいるのか?巧みな構成と斬新な着想、恐怖小説の第一人者がつづった傑作長編! (解説小池真理子)
タイトル | 発表 | 感想 |
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ドールズ | 不明 | 奇想天外は状況設定でおくる、ホラー・ミステリ。江戸好きにもおすすめ。 |
高橋克彦 広重殺人事件
著者: 高橋克彦
発表: 1989年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 540円
宣伝文句
広重は幕府に暗殺された? 若い浮世絵学者津田良平が”天童広重”発見をもとに立てた説は、ある画商を通して世に出た。だが津田は、愛妻冴子のあとを追って崖下に身を投げてしまう。彼の死に謎を感じた塔馬双太郎が、調べてたどりついた意外な哀しい真相とは? 深い感動の中で浮世絵推理三部作ついに完結!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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広重殺人事件 | 1989 | コレラで死亡したと伝えられる広重は、元与力にかかわらず江戸末期の勤皇思想に共鳴していたため、暗殺されたらしい。浮世絵研究者津田夫婦の悲しすぎる死で、このシリーズは終わるが、異説を提起するこの歴史ミステリーは、三部作ではもったいない。著者のネタ切れか? |
高橋克彦 北斎の罪
著者: 高橋克彦
発表: 1990年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 440円
宣伝文句
幻の北斎漫画が発見された! 美術評論家橋本のもとへ、代議士秘書から持ち込まれた十三編の北斎漫画は果たし本物か。そして北斎の罪とは何を指すのか。浮世絵推理の真骨頂を示す表題作のほか「竜の棺」の原点である「竜の伝承」など、伝奇、SF、ホラーの名品をあつめ、高橋ワールドを一挙公開の秀作集。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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鬼ヵ洞 | 1990 | 親王の遺骸を守る、伝奇的一族。 |
盗作の裏側 | 1990 | 偽物でも裏金として役に立つものもある。 |
北斎の罪 | 1990 | 北斎が褌一枚の絵を描いたせいで、日本人が西洋で誤解されるようになった。 |
百物語の殺人 | 1990 | 目撃された四谷怪談の謎を解く。 |
鏡台 | 1990 | 鏡の中に見える、異常な世界。 |
鬼追者 | 1990 | 生贄を待っている、恐怖の生物。 |
竜の伝承 | 1990 | 竜伝説の正体とは? |
高橋克彦 浮世絵ミステリーゾーン
著者: 高橋克彦
発表: 1991年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 480円
宣伝文句
江戸人の旺盛な好奇心と明けっぴろげな欲求に最も敏感だった情報メディア・浮世絵。その絵をじっくり読むことから、遊び心と知恵に溢れた暮らしの豊かさ、楽しさがはっきり見えてくる。浮世絵の不思議な魅力を語りつつ、江戸の社会を考察し、人々の日常の実相を解き明かす軽妙で含蓄に富むエッセイ。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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浮世絵ミステリーゾーン | 1991 | 著者の本業だった浮世絵の雑学を語る。ファン向け。 |
高橋克彦 春信殺人事件
著者: 高橋克彦
発表: 1991年
発行所: 光文社文庫
カバーアート:辰巳四郎
価格: 560円
宣伝文句
江戸の天才浮世絵師・鈴木春信の肉筆浮世絵が発見され、商社が七億円で購入した。だが、その「春信」に決定的な贋作の証拠が! 闇に埋もれた美術品を探し出す美術探偵・仙堂耿介じゃ。「春信」とともに消えた男・遠藤を追ってN.Y.へ飛んだ。
帯、カバー、裏表紙等から引用
「春信」に隠された戦慄の秘密! 事件の裏には大胆にして巧緻な陰謀が!? 浮世絵の謎と、本格推理を融合した歴史推理の傑作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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春信殺人事件 | 1991 | 待ちに待たれた浮世絵シリーズだが、惜しいことに最終話。今回は春信自信というよりは、二代春信が隠れキリシタンだったという仮説だ。新たに発見された春信の肉筆をめぐる大陰謀は、暴騰する浮世絵価格を背景に、バブルの古き良き時代を思いおこさせる。 |
高橋克彦 ドールズ 闇から覗く顔
著者: 高橋克彦
発表: 1993年
発行所: 角川文庫
カバーアート:智内兄助(蓮池来迎)
価格: 560円
宣伝文句
仙台で個展を開いていた創作折り紙の第一人者・華村研は、何者かが江戸期の手法で見事に折り上げた”紙の蜻蛉(とんぼ)”を会場で見つける。その夜、弟子の女性が殺され、現場にはまたも紙の蜻蛉が落ちていた。華村を凌駕するするほどの技の持ち主は誰か。彼が探し当てたのは、八歳の無邪気な少女・怜だった。しかも怜の身体には、江戸の天才人形師・泉目吉が甦っていた——。
帯、カバー、裏表紙等から引用
あらゆる仕掛け物から、はては人情の裏側にまで通じた比類なき名キャラクター、目吉先生が鮮やかに謎を解き明かす四つの事件。「紙の蜻蛉」「お化け蝋燭」「鬼火」「だまし絵」を収録。
タイトル | 発表 | 感想 |
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紙の蜻蛉 | 不明 | 女嫌いの若き折り紙師の周辺で起こる殺人事件。転生した人形師が謎を解くという、オカルト・ミステリー集第二弾。 |
お化け蝋燭 | 不明 | 写し絵芸人とアリバイ。 |
鬼火 | 不明 | 怜が入院した病院で起こる傷害事件の数々。 |
だまし絵 | 不明 | 目吉対霊媒の対決。 |
高橋克彦 私の骨
著者: 高橋克彦
発表: 1996年
発行所: 角川書店
カバーアート:峰岸達
価格: 800円
宣伝文句
実家の床下から偶然見つかった古びた壺。中には朽ち果てた人骨が詰まっていた。そして、その壺には何故か私の生年月日が記されていた。それでは自分は、いったい誰なんだ?!?!三十数年前の自身の揺るがざる死亡証拠を手にした私は、自己の存在をかけて真実を追った。やがて辿りついたのは、旧家に残る恐るべき因習であった……。(「私の骨」) 日本ホラー小説界の第一人者が、恐怖を通じて人間の本質を描き出した秀作六編。
帯、カバー、裏表紙等から引用
●作者のことば
この作品集には、ある時期の私の怪談への思いが詰まっている。なにが現代で語られるべき怪談なのかを模索していたと言えばいいのか。とにかく徹底的に「怖さ」を意識して書いたものばかりだ。今後これから私が書くであろう長編怪談の核がここにある。
タイトル | 発表 | 感想 |
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私の骨 | 不明 | 骨で他人を呪う。 |
ゆきどまり | 不明 | 幽霊は誰だ? |
醜骨宿 | 不明 | 体を乗っ取る怨霊は嬉しい。 |
髪の森 | 不明 | 神様は綺麗に骨になるまで食べる。 |
ささやき | 不明 | げに女の恨みは恐ろしい。 |
おそれ | 不明 | 怪談会での嘘は本当か? |
奇縁 | 不明 | 事故で近づいてきた男には、下心がある。 |
高橋克彦 黄昏綺譚
著者: 高橋克彦
発表: 1996年
発行所: 角川文庫
カバーアート:江田豊
価格: 600円
宣伝文句
——この世に霊魂は存在する。そう確信するに至ったF君の幽霊との出会い、自らの前世を知った驚くべき経緯、記念写真に写り込んだUFO、各地の伝承に隠された意外な真実……。
帯、カバー、裏表紙等から引用
著者が実際に体験したとっておきの逸話と、様々な史料を丹念に読み解きながら導き出した、妙にして奇なる事実を紹介し、読者を興味尽きぬ”怪異”の世界へ導く話題満載のエッセイ集。
タイトル | 発表 | 感想 |
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黄昏綺譚 | 1996 | 嘘のような本当らしい怪談話の数々。氏のオカルトに対する立場も、本気かどうかはわからないが擁護派だ。出来過ぎた話はどうも創作くさい。 |
高橋克彦 パンドラ・ケース
著者: 高橋克彦
たかはし・かつひこ
発表: 1991年
発行所: 文春文庫
カバーアート:峰岸達
価格: 560円
宣伝文句
「悪趣味だな。仲間で最初に死んだ人間の十三回忌に開くタイムカプセルだなんて…」。鄙びた雪の温泉宿に集まった八人の大学生は卒業記念のカプセルに新聞記事と思い思いの品物を納めた。「あたしがきっと最初だわ」そう呟いた半田緑は五年後に失踪。十七年後、彼女の箱を開けると干涸びた指と指輪が…。解説笠井潔
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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パンドラ・ケース | 1991 | 割とストレートな本格ミステリ。昔を懐かしんで楽しむためには中年以上がおススメか。 |
高橋克彦 星封陣
著者: 高橋克彦
たかはし・かつひこ
発表: 1992年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 840円
宣伝文句
東北の一村がいま奇怪な勢力に狙われる! 古代、蘇我氏に敗れた物部氏一族が東北にとてつもない秘宝を封じ込んだという。それを守る物部の末裔に対し、秘宝奪取に権力と暴力を使える巨大組織が襲いかかる。村人の主緋星幸丸は自分が秘宝の鍵を握ると自覚、仲間と共に絶望的戦闘に決起する! 伝奇超大作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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星封陣 | 1992.0 | 古代の氏族を継ぐ者たちの大伝奇バトル。東北出身者には、その大げさな仕掛けが笑える。 |
高橋克彦 竜の柩
著者: 高橋克彦
たかはし・かつひこ
発表: 1993年
発行所: 祥伝社
カバーアート:横尾忠則
価格: 1100円
宣伝文句
“竜とは何か?なぜ西洋では悪魔、東洋では聖なる存在なのか? 古代文化の栄えた津軽十三湊、長野皆神山ピラミッド、諏訪と出雲…。奇怪な土地買収事件を発端に、各地に残る”竜”の痕跡を辿り始めたTVディレクター九鬼虹人に執拗な妨害が連続した。やがてローマ・ヴァチカンの黒い影が浮上し、謎を追って九鬼はインド、パキスタン、トルコの調査行に旅立った… 待ち受ける敵と謀略!〝竜”が語る驚愕の真相とは?文明史とその定説を覆す壮大な推理で激賞を浴びた大河伝奇巨編!
帯、カバー、裏表紙等から引用
〈著者のことば〉
二度と書けない、というよりも二度と書きたくない小説がこの『竜の柩』だ。連載途中は資料との格闘でふらふらとなった。神がエイリアンだという仮説はそれほど目新しいものでもないが、SFではなく、現実の資料の読み解きで進めようとするとさまざまな矛盾や謎と新たに取り組まなければならない。締切りと闘いながらの謎解きには毎回冷や汗の連続だった。正直言って投げ出したくなったことも再三である。それだけに完結したときの喜びは格別だった。大袈裟かもしれないが、これで物書きとなった意味があったとさえ感じた。私は大真面目でこの本に展開した仮説を信じている。九鬼虹人は私でもある。
タイトル | 発表 | 感想 |
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竜の柩 | 1993 | 竜と牛が対立する、著者のオカルト世界の集大成。その苦しい、こじつけ具合が楽しめる。 |
高橋克彦 新・竜の柩
著者: 高橋克彦
たかはし・かつひこ
発表: 1994年
発行所: 祥伝社
カバーアート:横尾忠則
価格: 1000円
宣伝文句
東洋で神と崇められ、西洋では悪魔とされる”竜”文明を二分する竜の謎を追う九鬼虹人たちは、”ノアの方舟”伝説をもとにトルコ・アララト山に眠る”竜の柩〟を発見し、乗り込んだ…。やがて地球と見紛う地に運ばれた彼らは、古代シュメール語を使い、聖書の記述に酷似した人々に遭遇する。が、そこでも”竜を神とする一族が、異民族と対立していたのだ!九鬼がこの地に招かれた理由は? ついに明かされた文明史の真相とは?
帯、カバー、裏表紙等から引用
壮大な推理で歴史の定説を覆す大河伝奇巨編ここに完結!
〈著者のことば〉
九鬼虹人を主人公とする物語はまだ続いているが、神イコール異星人という解答を追い求めての「龍伝説」を巡る冒険は、これで完結した。二冊合わせておよそ二千三百枚。我ながらよく続けられたものだと思う。舞台も東北からはじまって、ついには神々が現実に生きていた古代へと目まぐるしく変わった。自分でももはやストーリーを説明できないほど複雑怪奇となった。しかし、充分に謎を解明できたと信じている。私の書いた作品の中で、これが一番面白いと言ってくださる読者が多い。苦労した甲斐があったと素直に喜んでいる。書いていたときの私自身の興奮が伝わればさらに嬉しい。
タイトル | 発表 | 感想 |
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新・竜の柩 | 1994 | あまりにも長いので途中ダレ気味になるが、広げた大風呂敷がやっと畳まれた。読む方も二度と見たくなるなるとしても、しばらくすると、また読みたくなる。 |
高橋克彦 幻少女
著者: 高橋克彦
発表: 1997年
発行所: 角川文庫
カバーアート:www
価格: 419円
宣伝文句
妻がラジオで聞いた幽霊屋敷の話は亡くなった娘の家のことらしい。幽霊でもいいから会いに来てほしい。どんなに私達が娘を愛しているかを伝えたい。妻に頼まれ、その家を訪ねた私は娘の死に隠された驚愕の真実を知る
帯、カバー、裏表紙等から引用
(「幽霊屋敷」)
生者と死者の深い愛情と悲痛な想いが胸に迫る。彼岸と此岸の境にある幽玄世界を描いた高橋文学の真骨頂。ときに背筋が凍り、ときにせつない珠玉の幻想ホラー掌編集。
タイトル | 発表 | 感想 |
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神社の教室 | 1997 | 怖い話をする先生は実は…! |
祈り作戦 | 1997 | 神様はなんでもかなえてくれる。 |
電話 | 1997 | パラレルワールドからの電話は楽しそうだ。 |
幽霊屋敷 | 1997 | 近づけたくない家には理由がある。 |
恋の天使 | 1997 | コックリさんは恋をかなえてくれる。 |
明日の夢 | 1997 | 絶望的な未来を阻止せよ。 |
機械室の夢 | 1997 | 機械工の父の霊は歯車を動かす。 |
埋められた池 | 1997 | 生贄の池は再生もする。 |
ありがとう | 1997 | 足の骨折で済んだのは、ママのおかげ。 |
ミスター・ロンリネス | 1997 | 体を乗っ取り転生するものたち。 |
廃墟の天使 | 1997 | 廃墟に出たのは、過去の幽霊ではない。 |
雪の故郷 | 1997 | やはり最後には故郷を思いうかべるのか? |
正之助どの | 1997 | 大正時代に通じる穴。 |
ピーコの秘密 | 1997 | 身近な猫の恐ろしい正体。 |
心霊写真 | 1997 | 霊は人だけとは限らない。 |
いたずら | 1997 | 生き物を簡単に殺してはいけない。 |
百物語 | 1997 | 寺で怪談会などするものではない。 |
不思議な卵 | 1997 | 願いをかなえてくれる素敵な卵。 |
お化け屋敷 | 1997 | 幽霊なんているわけがないという、幽霊。 |
素敵な叔父さん | 1997 | 自殺はすべてを解決するわけではない。 |
桜の挨拶 | 1997 | 伐られる予定の大木からのメッセージ。 |
幻のトンネル | 1997 | よくある、お化けの出るトンネル。 |
見るなの座敷 | 1997 | 幽霊でも見せたくない写真とは? |
色々な世界 | 1997 | 自分が見えるように、他人に見えるわけではない。 |
雪明かりの夜 | 1997 | 雪景色の中の、幻想的なドラマは他人事ではない。 |
大好きな姉 | 1997 | それはただの化け物か、守り神か。 |
万華鏡 | 1997 | 深夜の粗食は寿命を縮める。 |
高橋克彦 書斎からの空飛ぶ円盤
著者: 高橋克彦
発表: 1997年
発行所: 講談社文庫
カバーアート:横尾忠則
価格: 480円
宣伝文句
謎は世界中に溢れている。歴史に隠さまれた真実、古代遺跡の秘密を民話・神話から推理し、空想の翼を世界へと拡げて乱歩賞・直木賞作家の著者が謎解く。ストーンサークルとUFO、縄文文化とメソポタミア文明、霊魂に至るまで常識の呪縛から離れ、宇宙と人類の不思議に挑む。ミステリーを超えるミステリー!!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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書斎からの空飛ぶ円盤 | 1997 | 著者のもう一つの側面であるオカルト分野、古代文明、UFO, 宇宙人、霊魂についてのエッセイ。ファン向け。 |
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