太字作品や★★★★★が特におすすめです。
紀田順一郎&東雅夫編 日本怪奇小説傑作集 第01巻
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イギリスと並んで,怪奇幻想小説の最も広大な沃野と,奥深い背景を備えているのは日本である。民話,説話から近世の草双紙にいたるまで,妖異奇談の類は膨大な量にのぼるが,近代に入るや文学のジャンルを形成、今日見られるようにミステリや映像,アニメにいたるまで、強い影響力を発揮するに至った。この傑作集は,欧米怪奇小説集成の定番ともいうべき『怪奇小説傑作集』と併読されることを期して,日本の怪奇小説が最大限のおもしろさ,多様性を発揮した明治以降の精華を選りすぐったものである。読者よ、本書を手がかりとして日本人の異界へ向かう情念に分け入り,“もう一つの文学史”の発見に到達されんことを。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 著者 | 発表 | 感想 |
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茶碗の中 | 小泉八雲 | 1902 | 茶碗に映った謎の顔に呪われた侍の戦慄の体験譚。 |
海異記 | 泉鏡花 | 1909 | 嵐で遭難した漁師が「あやかし火」となって妻の前に現れ、漁場仲間が彼の魂を解放する。 |
蛇ー「永日小品」より | 夏目漱石 | 1909 | 雨の中で叔父と語り手がウナギを捕まえていると、謎めいた蛇が現れ、復讐をほのめかして消え、叔父はその後蛇の落ちた場所を異常な目で見るようになる。 |
蛇 | 森鷗外 | 1911 | 森の中の穂積家で、妻の狂気の謎が、14年前の巨大な青大将の出現にまつわる不気味な出来事によって解き明かされる。 |
悪魔の舌 | 村山槐多 | 不明 | 画家村山槐多が友人の自殺事件を調査し、彼の隠された悪魔的衝動と良心の葛藤に直面する。 |
人面疽 | 谷崎潤一郎 | 1918 | 人面腫に悩まされる芸者の悲劇を、偽の記憶と真実の歪みを通じて描く戦慄の物語。 |
黄夫人の手 | 大泉黒石 | 1924 | 長崎の新地街に迷い込んだ男が、謎に包まれた少女や奇妙な出来事に翻弄され、自身の運命を巡る陰謀に巻き込まれる。 |
妙な話 | 芥川龍之介 | 1921 | 村上は、神経衰弱に苦しむ妹千枝子が、赤帽の幽霊に脅かされ、約束を破った理由を明らかにする。 |
盡頭子 | 内田百閒 | 不明 | 孤独な男が奇妙な家に迷い込み、正体不明の住人と関わり合い、狂気に陥る。 |
墓の血 | 田中貢太郎 | 1923 | 高知の青年譲は自殺願望を抱えた娘を助け、奇妙な屋敷で起こる不可解な現象に直面する。 |
後の日の童子 | 室生犀星 | 1923 | 亡くなった息子にそっくりの童子と夢で出会い、見えない存在となった息子の気配を感じる夫婦の物語。 |
木曾の旅人 | 岡本綺堂 | 1897 | 明治24年の軽井沢で、山奥の杣重兵衛が、幽霊に憑かれた殺人犯の遭遇談を語る。 |
鏡地獄 | 江戸川乱歩 | 1926 | 鏡やレンズに執着した若者が、鏡を使った実験が狂気を引き起こす物語 |
銀簪 | 大佛次郎 | 不明 | 江戸末期の質屋の番頭、貞蔵の過去に犯した罪が、明治維新後の彼の繁栄を呪い続ける物語。 |
慰霊歌 | 川端康成 | 不明 | 「慰霊歌」は、心霊現象の中で人間の深層心理と愛の複雑さを探求する物語。 |
難船小僧 | 夢野久作 | 不明 | 迷信と超常現象が絡み合う中、曰くつきの少年が危険を回避する能力を船員たちが科学的に探求する。 |
化物屋敷 | 佐藤春夫 | 1935 | 大正期に佐藤春夫が預けられた不気味な屋敷で起こる怪異と、その屋敷に隠された死霊の怨念の物語。 |
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綺賓館の夜会にお集まりの〈一族〉の皆様。ここは、十月のたそがれの故郷。遠路遥々、ようこそお越しくださいました。甘くて、冷たい霧のなか、どうぞ、翼をお休めください。宴の準備はできております。なによりのおもてなしは、物語。そうなのです。闇を愛する〈一族〉の皆様。怪奇と幻想と人外の美を、求めてやまぬ〈一族〉の皆様。物語の宵祭が、始まろうとしています。闇の物語、世にも綺なる物語を、胸に抱え、渇望しながら、変わりゆく世界のなかで、ひっそりと生き続けてきたわれわれ〈一族〉物語の創り手と読み手という異形の種族のための華麗なるカーニヴァルが……。 編集序文より
帯、カバー、裏表紙等から引用
《異形コレクション》の新しいレーベルを、ここに御紹介できるのは、存外の悦びです。題して、《異形コレクション綺賓館》。同一テーマのもと、かつて、発表された銘作、長い年月を生き抜いた傑作、時の流れに埋もれても尚、眩い妖光を放つ物語と、《異形コレクション》ならではの熱い血潮の送るような新鮮な、書き下ろし作品とが、世にも絢なる火花を散らして競い合うのです。その舞台こそが、《綺賓館》なのです。だからこそ……。記念すべき第一回のテーマは「カーニヴァル」。
タイトル | 著者 | 発表 | 感想 |
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かくれんぼ | 都筑道夫 | 1975 | かくれんぼのトラウマを持つ青年が、過去の失踪事件に関連する少女と再会し、彼女とのかくれんぼを通じてトラウマと対峙する。 |
オクトーバーソング | 山田正紀 | 2000 | 帯状疱疹の語り手は、水疱瘡の記憶と故郷の「花電車」火災のトラウマに苦しめられ、病状が悪化するにつれて幻覚に苛まれる。 |
黒いオルフェ | 笠井潔 | 1985 | ヴェネツィアのカーニバルで亡き恋人に似た東洋人少年に出会った舞子が、トラウマを抱える男性浩一と遭遇し、悲劇的な結末を迎える。 |
虚空より | 篠田真由美 | 2000 | 宗教狂信に縛られた日本人の女性がイタリアの廃墟で「天使」の舞い降りを見せつけられ、それが婚約者の死であることを目の当たりにする。 |
移動遊園地 | 私市保彦 | 1992 | 「ミラクル移動遊園地」でスリルと恐怖を体験した少年が、謎の「絵かきさん」と共に夢と現実の境界を探求する。 |
ボクの死んだ宇宙 | 竹本健治 | 2000 | 宇宙船で姉的存在の美耶と孤独に暮らす少年が、宇宙の謎を探求する中で恐怖や過去を直視し、最終的に宇宙の真空で絶叫とともに死を迎える。 |
笑う道化師 | 山田風太郎 | 1948 | 茸恐怖症の道化師が、笑わせ茸による殺人未遂事件に巻き込まれ、その後茸の呪いによってトラウマにさいなまれる。 |
祭にはつきものの… | 菊地秀行 | 2000 | 祭りの風習により、恋人の女性が謎の男と関係を持つのを目撃した男の不可解で幻想的な体験談。 |
蜥蜴 | 内田百閒 | 1921 | 不吉な町を女と歩いた男は、見世物小屋で巨大な黒熊と黒牛の闘争に巻き込まれ、女に連れ去られる。 |
十一月一日 | 早見裕司 | 2000 | 山村に移住した民俗学者が、ハロウィンの夜に子どもたちが誘拐された事件を通して、日本の神々の存在と国の守護を再認識する。 |
祭の晩 | 宮沢賢治 | 不明 | 山神の祭りの謎の展示会で困惑する少年が、山男との出会いと奇妙な恩恵を通して、自然の不思議を体験する。 |
秋祭り | 菅浩江 | 2000 | 理想と現実の乖離に悩み、神を求める絵衣子と、効率性に魅了されるムサシが、機械化された農業施設で葛藤に直面する。 |
集会 | 萩尾望都 | 1978 | 仮面の人々が集う奇妙な「集会」では、狂気と秘密が渦巻き、参加者の本性が暴かれ、恐ろしい結末が待ち受ける。 |
ロッキー越えて | 奥田哲也 | 2000 | ロサンゼルス空港に到着した日本人の鷹觜は、妻の遺体との対面からある町での連続殺人事件に巻き込まれ、不気味な子供たちに命を狙われる。 |
かごめ魍魎 | 秋里光彦 | 1988 | 14歳の少年が秘密結社に引き込まれ、超能力の力を獲得して世界を悪から守る戦いに身を投じる。 |
死女の月 | 田中文雄 | 2000 | 高校時代の不可解な村祭りでの遭遇を綴った小説『死女の月』で、主人公は幽霊と対面し、暴走族事件に巻き込まれ、奇妙な村人たちの出現を目撃する。 |
廃屋を訪ねて | 中井英夫 | 1973 | 廃墟の精神病院で時間旅行実験の犠牲者となった2人は、”半身”を呼び寄せて”時間の獄”からの脱出を図る。 |
蜘蛛男爵の舞踏会 | 竹河聖 | 2000 | 呪われた蜘蛛男爵の舞踏会で、主人公の予言が示す蜘蛛の祟りが男爵の命を奪い、事件の真相は闇に葬られる。 |
血の季節ー「第一部の続き」よりー | 小泉喜美子 | 1982 | ハロウィンの夜、かぼちゃのお化けの張りぼてをかぶった少年たちが、お化けが出没する秘密めいた館を探検する。 |
夜会も終わりに | 井上雅彦 | 2000 | 見知らぬ男が夜会で記憶喪失の少女と出会った探偵の過去を語り、女が怪物へと変化した奇妙な一夜が幕を開ける。 |
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深夜のマンションで遭遇した、扉に背を向けてエレベーターに乗りつづける女(「わたしの足音」)。終戦間際、ドイツ総領事夫人が捨てた“透明なネズミ”の謎(「透明なネズミ」)。両親の墓を移すさいに起こった出来事(「帰って行った遺骨」)。一般応募の中から、作家・阿刀田高が厳選する、光文社文庫の新企画「寄せられた『体験』」第一弾。続編の「体験」募集中!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 訳者 | 感想 |
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奇妙にこわい話 | 1998 | 出版社の企画として応募された「体験」をまとめた。必ずしも実話ではなく、やはり素人なので、レベルはまずまず。 |
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秋の夕暮れ時、愛用のバットをグラウンドに残し、少年は逝った(「ある野球少年の死」)。「けっして一人では見ないでください」という映画を、一人で見る羽目になって…(「映画館の女」)。先祖代々伝わる「開けてはならない」瓶を持つ男の話(「孤独」)。一般応募のなかから、作家・阿刀田高が厳選した40点を収録、「寄せられた『体験』」第2弾!好評前作に続き、ここに登場!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 訳者 | 感想 |
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奇妙にとってもこわい話 | 1999 | 好評につき、まだまだ続く「体験」投稿。 |
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