水木しげるの弟子を名のる妖怪派。
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鬱病小説家、関口巽。
古本屋京極堂こと、中禅寺秋彦。
迷探偵、榎木津礼二郎。
刑事、木場修太郎。
釣り堀屋、伊佐間一成。
「世の中には不思議なことなど何もないのだよ」
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
京極夏彦 姑獲鳥の夏
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『姑獲鳥の夏』を読んだこの夏の目眩くひとときを、僕は生涯忘れないだろう。
帯、カバー、裏表紙等から引用
綾辻行人
日本的な家系の悲劇を剔出する巧緻なプロット! ロス・マクドナルドの最盛期の作品にも引けをとらない。
法月綸太郎
近年勃興したミステリ・ルネッサンスは、ここに到って、ついに最強のカードを引き当てた。
竹本健治
タイトル | 発表 | 感想 |
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姑獲鳥の夏 | 1994 | やや病的な小説家の関口巽は、友人の古本屋、神主にして拝み屋である中禅寺を訪ね、二十ヶ月も妊娠している妊婦の噂について話す。その女は病院の娘で、夫は失踪したらしい。また生まれたばかりの赤ん坊が取り上げられるという噂もある…。いじめられ役の関口、膨大な知識で実質的に事件を解決する京極堂こと中禅寺、人の記憶が見える自称探偵の榎木津など、基本的な人間関係は紹介される。謎の原因に、見たくないものが見えないという症状という病気を持ってくるのは、ややずるいか。 |
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『姑獲鳥の夏』を読んだ時、私の頭上で、アポロンとデュオニソスが盃をあげ、揃ってラインダンスを始めた。紛い物でない真のミステリを読んだ時のみに降りてくるあの特別な法悦境。そして、私は、京極夏彦という作家にミステリの過去・現在・未来を見た。そう、確かに未来を見たのだ。本物のミステリが不当に貶められ穢されつつある世紀末のミステリ荒野に颯爽と登場した京極夏彦。そのミステリの陰陽師が、前作にも劣らぬ超大作をひっさげて、再び我々の前に現れてくれた。曙光が見えてきた。京極よ、どうか、ミステリの穢れを祓ってくれ、憑き物を落としてくれ、——真のミステリの復活のために! 布瑠部、由良由良止布瑠部……。
帯、カバー、裏表紙等から引用
山口雅也
タイトル | 発表 | 感想 |
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魍魎の箱 | 1995 | 中学生の柚木加奈子は電車に轢かれて重体となり、謎の箱形の建物へ運ばれていった。そこに入れられた病人は二度と出てこないという。その頃、連続少女バラバラ事件が世間をにぎわし、関口の戦友だった木場刑事は管轄外にもかかわらず捜査に没頭する。相変わらず異常心理の描き方は秀逸だが、ミステリのトリック的にはいまいちか。映画の「Boxing Helena」にヒントを得たと思われる。またも映画的な最後。 |
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京極夏彦くんは、大の妖怪愛好家だった。氏が事もあろうに”妖怪小説”なる新ジャンルを開発しバリバリとやっている。
帯、カバー、裏表紙等から引用
読んでみると、どれもこれもオモチコクてたまらない。
この第三作「狂骨の夢」も思った通りオモチロクてたまらないものだ。
全日本妖怪ファン必読の書である。
——水木しげる
タイトル | 発表 | 感想 |
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狂骨の夢 | 1995 | 榎木津の友人である伊佐間は、海辺で妙な女に出会う。彼女のもとに、首を切っても切っても同じ男が訪ねてくるというのだ。黄金の髑髏を祀る謎の集団もからんで、事件は昔にさかのぼる。木乃伊取りが木乃伊になる、精神科医の降旗など、魅力的な人物が続々登場。しかしまた、顔が判別できないという病気を持ってくるとはルール違反か。 |
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……明石散人
帯、カバー、裏表紙等から引用
京極夏彦がど偉い作品を書き上げた。ついに彼が本当の正体を現したのである。これほどの長編を僅か二、三十枚の短編と錯覚してしまう。まるで自分の頭から時間の経過が吹き飛んでしまったようだ。これもまた全ての偶然を並べ操る京極夏彦の術なのか。
——全ての事象は、原因があり経過があり、結果として発現する。偶然の組合わせは、復元され思わぬ事象を生むが、そこで発色された事象は、その糸を手操れば何かの経過の、ある一点に到達する。この一点を理論的に結んだものが、絡新婦の吐き出す糸なのだ。つまり全ての事象、もちろん未知の偶然の集積ですら、蜘蛛の巣の上に乗っている。——
京極夏彦は、この複雑難解なパズルをものの見事に解き明かした。
「私の情夫(まぶ)だから」、これは男にとって女に言われる最上の言葉だが、大概の男は、一生に一度もこの台詞を聞くことは無い。何故なら、この台詞を吐き出す女こそ、性悪な女だからだ。そして性悪女の美しさを、大概の人は知らない。彼女達が、どれほど恠(あや)しい女なのか。この作品は、それを教えてくれる。
——『絡新婦の理』には、主題はあるがメロディーはない。登場人物は、全てパートであり、それらが実に巧みにアンサンブルしている。——
急流に棲む魚は視えない。その美しさ故。京極夏彦はそんな男に違いない。
タイトル | 発表 | 感想 |
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絡新婦の理 | 1996 | 女の目を刺して殺す目潰し魔と絞殺魔の連続殺人が、世間を騒がし木場が捜査に当っていた。その裏には千葉の名門、織作家の殺人事件に繋がる、遠大な陰謀があった。女系家族、売春など女がメイン・テーマ。基督教、ユダヤ教の蘊蓄も周辺を彩る。あらゆる状況を想定し、対策を備える天才的犯人は「ウォッチメーカー」に通ずる。 |
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「薦」 鮎川哲也
帯、カバー、裏表紙等から引用
謎解き長編ミステリーを読み終えると、その本を抱えて古本屋に直行する人がいるという。犯人の正体が判った以上、この本を手元においておく必要性は無い! というわけである。犯人を当てそこねた口惜しさも混っている。だがある程度の時間をおいて冷静になったら、そこで改めて読み返す。そうすることが、真の意味でのミステリー読者ではないかとわたしは思う。
こういう読み方をすると、作者が読み手をペテンにかけようと考えた布石の一つ一つが見えてくる。作者の欺瞞術が少しずつ判ってくる。
さて京極氏は生来のテクニシャンなのであろうか、さり気なく伏線を張るテクニックも堂に入ったものだ。新人のせいか書き方が少ししつこいな、などと思って読み流した部分が事件を解決する重要なものであることに、読了したあとで判ってくる。その辺の呼吸はは美事なものである。すごい新人が出現したものだ。
タイトル | 発表 | 感想 |
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鉄鼠の檻 | 1996 | 榎木津の軍隊時代の部下だった骨董屋の今川は、箱根の旅館に呼ばれていた。その旅館で禅僧の死体が突然出現するという奇怪な事件が発生する。同じ頃、京極堂も偶然掘り出された謎の蔵の古文書の鑑定に招集されていた。どうもその近くに京極堂も知らない禅寺があるらしい。謎はその寺での禅僧の連続殺人事件に発展する。禅宗に関する知識、蘊蓄が満載で、結構自分が誤解していたことがわかる。登場人物も豊かな個性を放っている。 |
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昭和二十八年春。小説家、関口巽の許に奇怪な取材依頼が齎された。伊豆山中の集落が住人ごと忽然と消え失せたのだという。調査に赴いた関口に郷土史家を名乗る和装の男が嘯く。——「世の中には不思議でないものなどないのです」
帯、カバー、裏表紙等から引用
男が現出させたこの世ならざる怪異。関口は異空間へと誘われるのか? 六つの妖怪の物語で、「宴」の「支度」は整い、その結末は、「始末」にて明らかとなる。待望の最新作。
タイトル | 発表 | 感想 |
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塗仏の宴 宴の支度 | 1998 | 一見何のかかわりもなさそうなエピソードがだらだらと続いて、この前半部だけでは、何がなんだかわからない。妖怪に関する蘊蓄より、むしろ人物描写がしつこいくらい多く、飽きるかもしれない。 |
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昭和二十八年、裸女を殺害して、木に吊すという事件が蓮台寺温泉で発生。その犯人として逮捕されたのは、当時世間を騒がせた猟奇犯罪にことごとく関係者として連なっている作家、関口巽だった。関口は言う。「多分僕がやった。僕が木に吊して逃げるところを自分で見ていたのだから」——とまどう捜査陣。事態を混乱させるがごとく、街に溢れる奇怪なる宗教団体。「宴」の始末はいよいよ本書にて明らかになる!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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塗仏の宴 宴の始末 | 1998 | 人々を用意に操る、数々の宗教団体には実は明白な目的があった。長い年月をかけた、背後の大陰謀が全てを操っていたのだが、その悪役の正体がいかにもだ。ラストは漫画的でX。 |
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救いようの無い八方塞がりの状況も、国際的な無理難題も、判読不能な怪現象も、全てを完全粉砕する男。ご存知、探偵・榎木津礼二郎! 「下僕」の関口、益田、今川、伊佐間を引き連れて、さらには京極堂・中禅寺秋彦さえ引きずり出して、快刀乱麻の大暴れ!
帯、カバー、裏表紙等から引用
不可能状況を打開する力技が炸裂する三本の中編。
タイトル | 発表 | 感想 |
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鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱 | 不明 | 姪を暴行・妊娠させられた青年は、榎木津を訪ね調査を依頼するが、いつの間にか新たな下僕になっていた。わりとほのぼのとしたラスト。 |
瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤 | 不明 | 何千という瓶に埋まった屋敷には、幻の青磁器はあるのか。 |
山颪 薔薇十字探偵の憤慨 | 不明 | 戦後、秘密料亭と科した寺の謎と、盗まれたハリネズミ。 |
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揺るぎ無いはずの「日常」が乱れる時、人は心の奥に潜む「闇」と直面する。精神の内から湧き出る「妖怪」という名の怪異。他人の視線を異常に畏れる者。煙に格別の執着心を持つ火消し。笑うことができない峻厳なる女教師。海に強い嫌悪感を抱く私小説作家。人が出会う「恐怖」の形を多様に描き出す十の怪異譚。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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小袖の手 | 1995 | 『魍魎の箱』の加菜子と、後に『絡新婦の理』で着物をかぶった絞殺魔になる杉浦との交流。 |
文車妖妃 | 1996 | 『姑獲鳥の夏』の久遠寺涼子の見える、ちいさな女。 |
目目連 | 1996 | 『絡新婦の理』の平野は、なぜ目潰し魔になったのか。 |
鬼一口 | 1997 | 鬼の伝説の秘密と、『魍魎の箱』の久保が登場。 |
煙々羅 | 1998 | 炎上した『鉄鼠の檻』の寺に来た火消しの秘密。 |
倩兮女 | 1998 | 『絡新婦の理』で殺された教師・純子は真面目すぎて笑えない。 |
火間虫入道 | 1998 | 目黒署の刑事・岩川の歴史には、『塗仏の宴』の少年が大きくかかわっていた。 |
襟立衣 | 1999 | 『鉄鼠の檻』の貫主の生い立ち。 |
毛倡妓 | 1999 | 警視庁の刑事・木下が少年時代に見た幽霊。 |
川赤子 | 1999 | 関口の欝と、河原の渦の秘密。 |
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河童に噛み殺された男。物忌みの村を徘徊する怪人。絶対負けない賭博師。神隠しに遭う即身仏ー はたしてそれは全部妖怪の仕業なのか?断言するのは全身妖怪研究家・多々良勝五郎大先生! 戦後まもなく各地で発生する怪事件に次々巻き込まれる妖怪馬鹿コンビの大冒険。「黒衣の男」も友情出演!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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岸涯小僧ー多々良先生行状記1 | 2000 | 妖怪を求めて全国を放浪する多々良先生のドタバタ・スピンオフ・シリーズ。ひょんなご縁で、多々良先生は妖怪研究のパトロンを得て、思う存分、調査旅行できるようになった。 |
泥田坊ー多々良先生行状記2 | 2000 | 結局は、「田を返せ」のダジャレか。 |
手の目ー多々良先生行状記3 | 2000 | その按摩は、まるで手で見るように博打が強い。 |
古庫裏婆ー多々良先生行状記4 | 2001 | ついにあの男が登場し、妖怪話で意気投合。 |
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白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の五度目の婚礼を控えていた。過去の花嫁は何者かの手に悉く初夜に命を奪われているという。花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。ただ困惑する小説家をよそに、館の住人達の前で探偵は叫んだ。ーおお、そこに人殺しがいる。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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陰摩羅鬼の瑕 | 2003 | 雰囲気は相変わらず良いものの、こういう認知の仕方は現実的なのか? ミステリとしてはちょっと。 |
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「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」 昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する! 「邪なことをすると死ぬよ」
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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邪魅の雫 | 2006 | テーマは毒薬。敵役として期待が高まる、堂島大佐が登場するが、しばらくシリーズは中断。 |
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内容紹介(「BOOK」データベースより)
帯、カバー、裏表紙等から引用
悪しきものに取り憑かれてしまった人間たちの現実が崩壊していく…。百鬼夜行長編シリーズのサイドストーリーでもある妖しき作品集、十三年目の第二弾。京極夏彦・画、書下ろし特別附録「百鬼図」収録。
タイトル | 発表 | 感想 |
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青行燈 | 2009 | 元由良家の執事が見た妹は幻影か。よほどのシリーズのファン向けのサイド・ストーリー集。 |
大首 | 2003 | 覗き見が好きな、元警官。 |
屏風闚[のぞき] | 2009 | 常にうしろめたい、連れ込み宿の婆さん。 |
鬼童 | 2009 | 「雫」を使ったしまって、一線を越えた男。 |
青鷺火 | 2007 | 「狂骨」で殺られる、怪奇作家。 |
墓の火 | 2010 | 光る石碑を発見した、元薬剤師。 |
青女房 | 2010 | すべての不幸を「魍魎」のせいにする教主。 |
雨女 | 2011 | やはり、「雫」を使った、元やくざ。 |
蛇帯 | 2011 | 蛇恐怖症の、ホテルのメイド。 |
目競 | 2012 | 超探偵の榎木津は、なぜアレが見えるようになったのか。 |
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昭和二十九年三月に駒澤周辺で起きた連続通り魔事件を皮切りに、房総での連続水死、高尾山での登山客失踪と東京周辺で相次ぐ怪事件。「稀譚月報」記者の中禅寺敦子は、女学生・呉美由紀の相談を受け、事件解明に乗り出すことに。怪奇が残酷な真相に反転する稀譚小説。百鬼夜行シリーズ最新作。 解説:綿矢りさ
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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鬼 | 2018 | 敦子ら女性陣が活躍するシリーズ。先祖が切り殺されるのは、刀の呪いか。 |
河童 | 2018 | 一口に河童といっても、全国でイメージが違う。 |
天狗 | 2018 | お嬢様と行動を共にする羽目になった、美由紀の災難。 |
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