太字作品や★★★★★が特におすすめです。
東雅夫編 平成怪奇小説傑作集 第01巻
編者: 東雅夫
発表: 1989年 ~ 1998年
発行所: 東京創元社
カバーアート:柳川貴代
価格: 1300円
宣伝文句
ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説は、多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝を形成してゆく。平成の三十余年間に生み出された名作を精選して、全三巻に収録。最高の作家たちによる至高の怪奇小説傑作選の第一巻は、平成元年発表の吉本ばなな「ある体験」から10年の宮部みゆき「布団部屋」まで全十五作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 著者 | 発表 | 感想 |
---|---|---|---|
ある体験 | 吉本ばなな | 1989 | 一方的な失恋から立ち直れずにいた文香は、嵐の夜に元恋人との霊界での再会を経て、傷を癒していく。 |
墓碑銘〈新宿〉 | 菊池秀行 | 1989 | 孤立していた妻が外の世界で輝きを取り戻し、不倫関係を持つ男性と失踪し、夫は彼らの「生きる墓」を発見する。 |
光堂 | 赤江瀑 | 1990 | 新宿の「火雨」という映画を通して、知的障害のある弟と現実向き合う兄の物語に感動した男が、監督と出会い、脚本の一部を受け取り、想像力の欠如に悩み、映画のラストシーンの妖怪像にまつわる謎を追い求める。 |
角の家 | 日影丈吉 | 1990 | 謎めいた異様な家で、人間と化け物の境界を曖昧にした朧朧の孤独とアイデンティティの葛藤を描く。 |
お供え | 吉田知子 | 1991 | 執拗に自宅に花と旗を置かれる主婦の監視と葛藤、謎めいた犯人の存在による恐怖と混乱が渦巻く物語。 |
命日 | 小池真理子 | 1994 | 30年前に姉が恋人を亡くした悲劇が、家族の現在の悲劇と過去に隠された秘密を結びつける。 |
正月女 | 坂東眞砂子 | 1994 | 心臓病で帰郷した登見子は、姑の殺意や保との距離感に苦しみ、正月女の迷信から保と真弓を殺害しようとするが、辻祭りで辻の神に阻止される。 |
百物語 | 北村薫 | 1995 | 怪談を信奉する後輩の居候によって、安西は恐怖の闇と自分の恐怖心に直面する。 |
文月の使者 | 皆川博子 | 1996 | 豪雨の後に壊れた橋から拾った謎めいた枕紙が、中洲の女たちの幽霊との関わりを解き明かす。 |
千日手 | 松浦寿輝 | 1996 | 将棋倶楽部で少年と出会った中年男性は、孤独と「永遠」の幻に囚われる。 |
家ー魔象 | 霧島ケイ | 1996 | 夢に見舞われた不気味な家から持ち帰った少女と遭遇し、蛇の家で恐ろしい存在と対峙した麻手魔は、不吉な出来事に悩まされるようになり、ついにその家を去ることを決意する。 |
静かな黄昏の国 | 篠田節子 | 1996 | 隠された核廃棄物処分場を訪れた高齢夫婦が、現実と仮想の境界が曖昧になる不気味な出来事の中で、過去と現在が交錯する秘密を暴いていく。 |
抱きあい心中 | 夢枕獏 | 1997 | 水難の恐怖を痛感した釣り人が、抱きあい心中した亡霊に襲われ、その因縁の真相を解き明かす物語。 |
すみだ川 | 加門七海 | 1998 | 隅田川で発生した怪奇談で、牛鬼と尼の怨霊が出現し、2人の青年と殺人の加害者に悲劇をもたらす。 |
布団部屋 | 宮部みゆき | 不明 | 「兼子屋」で起きた不可解な出来事をめぐって、悪霊と対峙した奉公人のおゆうが、過去を暴き、屋敷の怪異を払拭する物語。 |
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東雅夫編 平成怪奇小説傑作集 第02巻
編者: 東雅夫
発表: 1998年 ~ 2006年
発行所: 東京創元社
カバーアート:柳川貴代
価格: 1300円
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ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説シーンは、やがて多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝を形成してゆく。平成の三十余年間に生み出された名作を、全三巻に精選収録するアンソロジー。第二巻は平成10年発表の小川洋子「匂いの収集」から19年の山白朝子「鳥とファフロッキーズ現象について」の全十八作。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 著者 | 発表 | 感想 |
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匂いの収集 | 小川洋子 | 1998 | 匂い収集に魅了された女性の戸棚で、男性は自身の匂いと見知らぬ男性の匂いを発見し、彼女の感情に対する理解への葛藤に陥る。 |
一文物語集(244ー255) | 飯田茂実 | 1998 | 掟破りの村で異常現象が頻発する中、忘れ去られた記憶、幽霊、奇妙な生き物が現れ、人々の運命が交錯する。 |
空に浮かぶ棺 | 鈴木光司 | 1998 | ビデオテープに呪われ、邪悪な赤ん坊を出産した女子大生が、呪いの真相と死との対峙に苦悩するホラー小説。 |
グノーシス心中 | 牧野修 | 1999 | 死を好む12歳の少女が、グノーシス主義の信奉者に出会い、殺人逃亡生活を送った末、恩人を殺害し、孤独な殺人者として彷徨う。 |
水牛群 | 津原泰水 | 1999 | 恐怖を抑える脳内器官を失った男が、伯爵の助けで恐怖に直面し、ついに克服する。 |
厠牡丹 | 福澤徹三 | 2000 | 論文の清書中に教授の不審死を調査していた舞は、ビデオテープと亀裂から異界への旅を体験し、異様な赤ん坊を出産するが、置き去りにされて星に還る。 |
海馬 | 川上弘美 | 2004 | 人間にも見える海の生き物が人間社会で生きながらも海への郷愁を抱き、最終的に海馬となって海へ帰る。 |
乞食柱 | 岩井志麻子 | 2001 | 明治時代の岡山を舞台に、身体障害を持つ少女が蛇神に取り憑かれて成長し、性と信仰の間で葛藤する物語。 |
トカビの夜 | 朱川湊人 | 2003 | カグヤマに誘拐された12歳の少女・千秋が、「霊的人間」としてカグヤマと共に破壊と逃亡の旅に出る。 |
蛇と虹 | 恩田陸 | 2004 | 夕陽の赤い輝きが過去の不吉な夕焼けを呼び起こし、姉妹は壊れた自分たちとその暗い秘密を思い出す。 |
お狐様の話 | 浅田次郎 | 2006 | 恐怖に苦しむ語り手が解雇に怒り、伯爵の協力で恐怖の体験を小説に昇華する。 |
水神 | 森見登美彥 | 2006 | 牡丹の花を想うと霊を呼ぶ女の謎に始まったフォークナー風の物語で、福澤は父親の幽霊との遭遇を通じて、自分の凍死を思い出す。 |
帰去来の井戸 | 光原百合 | 2006 | 雁木亭の若きアルバイト由布が、引っ越した常連客と向き合う中で、町の歴史、井戸の言い伝え、そして帰りを待望する人々との心のつながりを知る物語。 |
六山の夜 | 綾辻行人 | 2006 | 送り火の日に病棟のエレベーターで出会った負傷者との会話の中で、語り手は6山目の送り火の出現が不吉な出来事と関係していると悟り、恐怖と絶望に襲われる。 |
歌舞伎 | 我妻俊樹 | 不明 | 公園で幼少期に拾った電池が、兄弟間の奇妙な真似と不気味な記憶の連鎖を解き放つ。 |
軍馬の帰還 | 勝山海百合 | 不明 | 東京から来た少年が大阪で朝鮮人の少年と友情を育み、偏見と和解を経て、その霊とともに月明かり下で遊ぶ。 |
芙蓉蟹 | 田辺青蛙 | 不明 | 血のように赤く染まる夕暮れの中で、姉妹はかつての不吉な夕焼けを思い出す。 |
鳥とファフロッキーズ現象について | 山白朝子 | 不明 | 少年がナイフで刺された後に飛べなくなった保護鳥が、父親殺害を目撃していたことを代償に少年を税理士の襲撃から救う。 |
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東雅夫編 平成怪奇小説傑作集 第03巻
編者: 東雅夫
発表: 2008年 ~ 2017年
発行所: 東京創元社
カバーアート:柳川貴代
価格: 1300円
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平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋岸を中心に未曾有の被害をもたらした。理不尽な死に見舞われた無辜の人々と、残された者たち彼岸と此岸、死者と生者の幽暗なあわいに思いを凝らす作家たちの手で、新時代の怪談文芸が澎湃と生み出されてゆく。平成の時代に誕生した極めつきの名作佳品を全三巻に収録する、至高の怪奇小説アンソロジー最終巻。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 著者 | 発表 | 感想 |
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成人 | 京極夏彦 | 2008 | 小学生から怪談本編集者まで、謎めいた友人Aと幽霊体験との奇妙なつながりをたどる、一連の作文と不気味な出来事の物語。 |
グレー・グレー | 高原英理 | 2008 | 腐敗した世界で死体や腐った店長に遭遇した語り手が、ドライアイスで防腐された愛する人のそばに駆けつけ、彼女の死後も続く意識と、それを取り巻く危険に直面する。 |
盂蘭盆会 | 大濱普美子 | 2010 | 盂蘭盆会に実家を訪れた秋子が、家族の記憶と思いの変化に直面する。 |
蛼橋 | 木内昇 | 2010 | 漆職人の佐吉は、薬種屋で働く神秘的な那智と出会い、彼女の死者の魂を送るという役割を通して、人生の苦悩、死、そして人間のつながりの美しさを理解する。 |
天神坂 | 有栖川有栖 | 2011 | 大阪の谷町筋で濱地探偵が遭遇した幽霊女性が、美食と赦しを通じて未練を断ち切る物語。 |
さるの湯 | 高橋克彦 | 2011 | 写真家が東北の幽霊温泉で被災者たちの魂を撮影し、慰めと新たな人生の始まりのきっかけを得る物語。 |
風天孔参り | 恒川光太郎 | 2011 | 都会の女性が樹海から現れた集団と出会い、「風天孔」と呼ばれる異界への旅に引き込まれる。 |
雨の鈴 | 小野不由美 | 2012 | 古い城下町の袋小路に住む有扶子が雨の日に出会った「いない人」の正体を解明し、不幸な過去の謎を解き明かしていく物語。 |
アイデンティティ | 藤野可織 | 2013 | 人魚工場で生まれた猿と鮭の死骸の怪物は、アイデンティティのジレンマに苦しみ、最終的には死骸の工芸品として受け入れられる。 |
江の島心中 | 小島水青 | 2014 | 戦後、築地市場の橋見が不思議な女性と出会い、彼女と次郎吉をめぐる謎と縁の深さが明らかになる。 |
深夜百太郎(十四太郎、十六太郎、三十六太郎) | 舞城王太郎 | 2015 | 不思議な現象や恐怖に直面した少年たちが、彼らの世界を脅かす謎の存在と対峙する物語。 |
修那羅 | 諏訪哲史 | 2016 | 冬の信州を巡る士郎は、故人との相似点を持つ美少年に出会ったが、その自殺の真相を知り、過酷な修那羅越えを通じ少年の死と自分の心を直視し救済を見出す。 |
みどりの吐息 | 宇佐美まこと | 2017 | 台風によって山奥に閉じ込められた青年が、「山の民」の生き残りから、植物の復讐の秘密を知る。 |
海にまつわるもの | 黒史郎 | 不明 | 海から流れ着く奇妙な「人型のなにか」を探究する著者が、それを巡る不気味で謎めいた事例を暴き出す。 |
鬼のうみたりければ | 澤村伊智 | 不明 | 兵庫の女、希代子は行方不明の弟輝の帰還後に、謎めいた出来事と殺人事件に巻き込まれる。 |
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