江戸文化研究者。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
杉浦日向子 百物語 壱 ★★★★★
著者: 杉浦日向子
発表: 1986年 ~ 1988年
発行所: 新潮社
価格: 980円
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なつかしく、心ぬくもり、また、魂のうち顫(ふる)える不思議の物語
帯、カバー、裏表紙等から引用
古(いにしえ)より百物語という事の侍(はべ)る。不思議なる物語の百話集う処、必ずばけもの現われ出ずると……。理性では説明のつかぬ不可思議なものの存在が、まだ信じられていた江戸の時代——。当時流行した怪異譚集のかたちをかりて描く<あやかしの物語>。
杉浦日向子「百物語 壱」より引用
タイトル | 発表 | 感想 |
---|---|---|
其ノ一 魂を呑む話 | 1986 | ご隠居が聞き集める怪異な話シリーズ。若旦那が魂と思って呑んだのは南京鼠だった。いかにも本物らしい創作怪談集。何の説明もしないのがいい。 |
其ノ二 障子の顔の話 | 1986 | 貼り替えても障子のマスにうかぶ顔の模様。 |
其ノ三 橋のカワウソの話 | 1986 | 化けたカワウソを見て立ち止まると、履物を片っ方とられる。 |
其ノ四 鳥屋喜右衛門の話 | 1986 | 朽ち果てた武家で鳥屋が遭遇した、顔無しの小坊主。 |
其ノ五 狸の僧の話 | 1986 | 自ら狸と名乗る旅の僧は、話が興にいると支離滅裂になる。 |
其ノ六 墓磨きの話 | 1986 | 墓場で妖怪に声をかけたら、子供の歯が真っ黒に染められていた。 |
其ノ七 鰻の怪の話 | 1986 | 掘りに棲む大ウナギが人に化けて、命乞いに来た。 |
其ノ八 異形の家人の話 | 1986 | 鬼に化かされて、家のものの顔が牛や蛙に見える。 |
其ノ九 雨中の奇物の話 | 1986 | 雨の塀で見えた異物は、熱病の気か。 |
其ノ十 数原家の蔵の話 上・下 | 1987 | 蔵の中で、おしっこがしたくなったら、皆外に出ないと化け物が出ておどかす。しかし火事の時は、事前に知らせてくれるらしい。 |
其ノ十一 お七の話 | 1987 | 顔が八百屋お七の鶏が、知り合いでもない侍に供養をたのむ。 |
其ノ十二 かぴたん奇法の話 | 1987 | 長崎から江戸が見える異人の妖術。 |
其ノ十三 尼君ざんげの話 | 1987 | お参りの帰りに背中で死んだおかみさんの手の跡が消えない。 |
其ノ十四◆其ノ十五 産怪二話 | 1987 | 背中に毛の生えた鬼子と、生まれてすぐ歩いてどこかへ行ってしまった赤子。 |
其ノ十六 影を見た男の話 | 1987 | 己れの後ろ姿を見た主人は、その後すぐに死んだらしい。 |
其ノ十七 顔だけの女の話 | 1987 | 辻で見つけてきた芸妓は、節穴から見ると顔しかない。 |
其ノ十八 亡妻の姿の話 | 1987 | 夜毎迷って出てくる亡妻の幽霊。 |
其ノ十九◆其ノ二十◆其ノ二十一 道を塞ぐもの三話 | 1987 | 旅人をはね飛ばす古木、蚊帳つり狸、天から帯をたらす狢。 |
其ノ二十二 長持の中の話 | 1987 | 離れの長持の中で一年間消えていた少女。 |
其ノ二十三 人肉を喰らう話 | 1987 | 人肉のうまさに気付いてしまった僧侶。 |
其ノ二十四 天女の接吻の話 | 1987 | なぜか天女にキスされた、冴えない男。 |
其ノ二十五◆其ノ二十六 蛇と竜の怪二話 | 1987 | 雹(ひょう)が降る日に頭から出てきた小さな蛇、天空にとつぜん現われ消えた竜の頭。 |
其ノ二十七 天狗になりしという話 | 1988 | 夜半に訪れた多数の来客は天狗仲間か。 |
其ノ二十八 冥府の使者の話 | 1988 | 迎えに来た三十年前に亡くなった父は、髪の毛を手土産に帰っていった。 |
其ノ二十九 雪中の美人の話 | 1988 | 廃寺の門前にいた女は風呂場で消えて櫛だけが残っていた。 |
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杉浦日向子 百物語 弐 ★★★★★
著者: 杉浦日向子
発表: 1988年 ~ 1990年
発行所: 新潮社
価格: 980円
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今は何処に行ってしまったのだろう? なつかしき江戸の魑魅魍魎たち
帯、カバー、裏表紙等から引用
理性では説明のつかぬ不可思議なものの存在が、まだ信じられていた江戸の時代。当時流行した怪異譚集のかたちをかりて描く<あやかしの物語>。時間を越え、空間を越えて現われる超現実——。なぜか、ふしぎに心にやさしい怪しの事ども——。
杉浦日向子「百物語 弐」より引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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其ノ三十 盆の話 | 1988 | 盆のとき、死んだ母がネズミになった帰ってきた。 |
其ノ三十一 森美作殿屋敷の話 | 1988 | 屋敷の壁を、二人の女の影が歩き回る。 |
其ノ三十二 駆け出す女の話 | 1988 | 宿の隠居の嬶(かか)あはとつぜん駆け出して山に行ってしまった。 |
其ノ三十三◆其ノ三十四 妖物二話 | 1988 | 家康の駿府城に現われた、不老不死の生物、ホウと、鉄ばかり食う山中の虫。 |
其ノ三十五 星の井の話 | 1989 | 星が見える井戸に浮ぶ、もう一人の息子の顔。 |
其ノ三十六 酒壺の話 | 1989 | 古い酒の壺にひそむ、宿の主人の亡父の霊にからかわれる。 |
其ノ三十七 抜けた首の話 | 1989 | 愚鈍な女中の首が抜けた思い出。 |
其ノ三十八◆其ノ三十九 小鬼二話 | 1989 | 寝たきりの爺の口から出た虫のような鬼と、山中で足にまとわりつく鬼。 |
其ノ四十 産女の話 上・下 | 1989 | はらんだまま死んだ与七の妻が、夜毎泣きながらやってくる。 |
其ノ四十一 地獄に呑まれた話 | 1989 | 温泉で魂を抜かれた男。 |
其ノ四十二 旅の夢の話 | 1989 | 旅から帰ってきたのに、家人が誰も気がつかない。 |
其ノ四十三 人茸の話 上・下 | 1989 | 嬶(かか)にできたイボはしだいに大きくなって、山へ帰っていってしまった。 |
其ノ四十四◆其ノ四十五◆其ノ四十六 闇夜の怪三話 | 1989 | 月が二つ見える夜、顔だけ後ろを向いている人影、後ろから抱きつくもののけ。 |
其ノ四十七 枕に棲むものの話 | 1989 | 隣で寝ている弟のまぶたの上で踊る妖怪。 |
其ノ四十八◆其ノ四十九 人に化ける獣二話 | 1989 | 亭主のふりをして何食わぬ顔で帰ってきた狸、馬に乗りたがって娘に化ける狐。 |
其ノ五十◆其ノ五十一◆其ノ五十二 別れの知らせ三話 | 1989 | 親父にそっくりな烏、やたらと陽気な叔父の霊、庭の白木蓮を満開させた祖母。 |
其ノ五十三 二人女房の話 | 1990 | 帰ってみたら女房が二人、皆で仲よく末長く暮らしたと。 |
其ノ五十四 猫と婆様の話 | 1990 | 一言だけ口をきいた老猫。 |
其ノ五十五◆其ノ五十六 嫌うもの二話 | 1990 | 桜が嫌いで家に籠もる父親、死ぬ間際に黒豆を吐き出した黒豆嫌いの隠居。 |
其ノ五十七◆其ノ五十八 仙道考二話 | 1990 | 岩窟のひなびた仙人、かまきりになった修験者。 |
其ノ五十九 魂呼びの話 上・下 | 1990 | まるで死んだように見えなかった義姉は、川にはまった婆さまの代わりによみがえった。 |
其ノ六十 腹中の声の話 | 1990 | 大叔父の腹には生まれなかった姉が、彼とともに成長している。 |
其ノ六十一 狼の眉毛の話 | 1990 | 狼からもらった眉毛をかざして世を見ると化け物ばかりだ。 |
其ノ六十二◆其ノ六十三 手の怪二話 | 1990 | 蔵の壁に生えた手と、寺に降る赤子の小さき手。 |
其ノ六十四 鮒女房の話 | 1990 | 後妻に入った女は、姉やと見た鮒にそっくりだった。 |
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杉浦日向子 百物語 参 ★★★★★
著者: 杉浦日向子
発表: 1990年 ~ 1993年
発行所: 新潮社
価格: 980円
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今は何処に行ってしまったのだろう? なつかしき江戸の魑魅魍魎たち
帯、カバー、裏表紙等から引用
理性では説明のつかぬ不可思議なものの存在が、まだ信じられていた江戸の時代。当時流行した怪異譚集のかたちをかりて描く<あやかしの物語>。時間を越え、空間を越えて現われる超現実——。なぜか、ふしぎに心にやさしい怪しの事ども——。
杉浦日向子「百物語 参」より引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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其ノ六十五 絵の女の話 | 1990 | 掛軸の女とともに老いてゆく酒問屋の旦那。 |
其ノ六十六 木の葉の里の話 | 1991 | 枯葉が弟をさらったという女郎の告白。 |
其ノ六十七◆其ノ六十八 死んだ人二話 | 1991 | 庭の八つ手の葉をかじる亡き祖父、亡き妻が出る井戸をさらったら、こんにゃくが出た。 |
其ノ六十九 遊魂の話 | 1991 | 魂が抜けて遊びにいく、寝たきりの婆。 |
其ノ七十 即身仏の話 | 1991 | 掘り出した即身仏に乳を与えてみる。 |
其ノ七十一 竹林の再会の話 | 1991 | 竹林で、子供の頃の母と出会った、と母の思い出。 |
其ノ七十二◆其ノ七十三 黒髪の怪二話 | 1991 | 蛇に見えた古帯、娘をかどわかした古井戸の若者の影。 |
其ノ七十四◆其ノ七十五 訪う気配二話 | 1991 | 玄関にたった今、誰かがいた様子、少しの隙間からのぞく気配。 |
其ノ七十六◆其ノ七十七 魚妖二話 | 1991 | 長廊下に映る川魚、髪の毛を吸い取り禿げにする妖怪。 |
其ノ七十八 兇夢の話 | 1991 | 毎夜、殺される夢を見る妻は、本当に死んだ。 |
其ノ七十九 他人の顔の話 | 1991 | だんだん家人がよそよそしくなり、自分も本当の自分かわからなくなってきた。 |
其ノ八十◆其ノ八十一 長雨の怪二話 | 1991 | 寝ている者の息に乗じて体内に入り込む雨女、傘に入ってくる懐かしい死者。 |
其ノ八十二 蜘蛛の行者の話 上・下 | 1991 | 美しい少女をつれた、妙な老行者には、脇腹から手が生えているらしい。 |
其ノ八十三◆其ノ八十四◆其ノ八十五 足の怪三話 | 1992 | 馬の足が生えていて通る者を蹴る大木、提灯の灯を盗る火吸い魔、夜中に廊下を歩く親戚の霊。 |
其ノ八十六 鴨男の話 | 1992 | 去ってしまった鴨がいとおしいあまり、首が抜けた生糸問屋のご隠居。 |
其ノ八十七◆其ノ八十八◆其ノ八十九 人魚譚三話 | 1992 | 人魚が泳ぎだす外国の壺、はらわたを洗う尼、母親の屍骸を喰う子人魚。 |
其ノ九十 狢と棲む話 | 1992 | 化け不精の老むじながやってくる庵。 |
其ノ九十一 山息子の話 | 1992 | 美しい息子に化ける大なめくじ。 |
其ノ九十二 大楠の話 | 1992 | 突然の婚礼を逃げた娘をとらえた大楠。 |
其ノ九十三 借り物烏の話 | 1992 | 女房から口、亭主から目を借りた大烏。 |
其ノ九十四 賑やかな留守の話 | 1992 | 留守宅で騒いだ気配があるのに、のぞくと誰もいない。 |
其ノ九十五 擬宝珠の話 | 1992 | 擬宝珠に願をかけて孕んだのは、鬼の子だった。 |
其ノ九十六 フキちゃんの話 | 1992 | 吉原でいたずらをする幽霊。 |
其ノ九十七 愛娘の霊の話 | 1992 | 幼くして死んだ娘の霊は、新しい赤子にやっつけられた。 |
其ノ九十八 赤い実の話 | 1992 | 丑の刻参りをしていた茶屋の娘は、本当に透き通るような肌だ。 |
其ノ九十九 杢兵衛の孫の話 | 1993 | 若旦那だと思って妊娠したのは、年老いた杢兵衛狐の子だった。 |
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