高校の理科教師のかたわら、SFを書き続ける。
ハードSF(なるべく科学的に正しい記述をモットーとする)を得意とする。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
ハル・クレメント 20億の針
原題: Needle
著者: ハル・クレメント
Hal Clement
発表: 1950年
発行所: 創元推理文庫
カバーアート:加藤直之
価格: 430円
宣伝文句
ある日、二隻の宇宙船が南太平洋に墜落した。一隻に乗っていたのは探偵でありもう一隻には犯人が乗っていた。そしてその両者とも人間ではない。ゼリー状の半液体の生物で、しかも、すぐれた知性と感覚をもっている。ただ、宿主を持たないと生きていけない。探偵は聰明な少年の体内に寄生し、悪党は、べつな人間を宿主にした。ここに両者の地球上での虚々実々の追跡戦が開始される。20億の人間の中のただ一人にひそむ犯人を見つけることは、わら小屋の中で、一本の針を捜すのに等しいほどの難事ではないか!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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20億の針 | 1950 | 地球を舞台にする、寄生生物の追う者と追われる者の追跡劇というと、映画『ヒドゥン』を思い出すが、そんなにアクションはない。前半は寄生生物への少年の適応、後半は犯人捜しがメインだ。20億とは当時の世界の総人口だ。 |
ハル・クレメント 重力の使命
原題: Mission of Gravity
著者: ハル・クレメント
Hal Clement
発表: 1954年
発行所: ハヤカワ文庫
カバーアート:木嶋俊
価格: 420円
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水素の大気にメタンの海、重力は赤道付近で3G、極地では700G近くにも達する惑星メスクリン。この惑星を調査すべく、地球人は多額の費用をついやし、探測ロケットをその極地に着陸させた。だがロケットは故障して発進せず、せっかく集めたデータも回収不能に……。そこで地球人はメスクリンの知的生物にその捜索を依頼した。船をあやつり、地球人と意志疎通できるほどの知能を持つ異星人たち——体長15インチ、直径2インチのムカデのような生物に託された使命の成否は!? 科学的データに裏づけられた高重力惑星に展開される冒険をいきいきと描きだすハードSFの金字塔。
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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重力の使命 | 1954 | 地球とはまったく違う環境での冒険を、そこでのリアルさを重視して描くが、それについていくには、なかなか根性がいる。とにかく重力が大きい世界はどうなっているのか? |
ハル・クレメント 窒素固定世界
原題: The Nitrogen Fix
著者: ハル・クレメント
Hal Clement
発表: 1980年
発行所: 創元推理文庫
カバーアート:安田忠幸
価格: 380円
宣伝文句
未来の地球、そこは地獄のような世界だ。地表には窒素を酸化するミュータント植物が茂り、ために大気中には遊離酸素が存在しない。海は百分の一規定の硝酸と化している。酸性化した水が溶けこんでいた二酸化炭素のほとんどを放出し、それがもたらした温室効果の結果、両極の氷が溶けて海面は上昇しつつある。人々はマスクなしで大気中を歩くことができない。なぜこんなことになってしまったのか? もとの地球に戻す方法は? そんなとき、宇宙の彼方から窒素系生命体が調査のため地球にやってきた……!
帯、カバー、裏表紙等から引用
タイトル | 発表 | 感想 |
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窒素固定世界 | 1980 | 今度は異星ではなく地球の話だが、中身はやはり異常環境での冒険物語だ。その環境でのリアルさのゆえに、現実感に欠け、いまいちのれない。冒険自体も、盛り上がりなく、だらだら続く。 |
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