通称デューク東郷、本名・国籍・年齢不詳。信頼する依頼人に対しては、思想信条に関わりなく、高額な報酬と引き換えに完璧に仕事をこなす、寡黙な神業スナイパー。裏切者には容赦なく死を与える。家族も持たず、誰も信用せず、女もプロの娼婦しか抱かない。「殺し屋」業界の最大のスーパースター。
俳優の高倉健をモデルにしているらしいが、あまり似ていない。初期の時代は冷戦たけなわということもありスパイ世界が中心だが、次第に時々の国際情勢全体に関わる大仕事を陰でしている。その時代に国際関係、政治経済上で何が問題だったかを思い出させてくれるのが面白い。しかしあまりにも長く続いてしまったため、サザエさんのように歳をとらなくなってしまった。
作者が主導する「劇画」は、当時は一つの革命で、主流の手塚的マンガ表現からの脱却を示し、より映画に近づいた。しかし現代の大友克洋以降のリアル表現には程遠く、独自なデフォルメ表現があり、特に人の顔に妙な癖がある。青年誌掲載という訳でエロ・シーンも大胆に見せるが、女体がおばさんっぽくて、初期の007映画のボンドガールのようだ。
太字作品や★★★★★が特におすすめです。
さいとう・たかを ゴルゴ13 1 ビッグ・セイフ作戦
さいとう・たかを「ゴルゴ13 1 ビッグ・セイフ作戦」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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ビッグ・セイフ作戦 | 1968 | ナチ戦犯 ベルンハルト・ミューラー | 英国情報部 | 8千ポンド+α | スイスの湖畔で要塞のような屋敷にこもり、大戦末期に偽造した大量の偽札を秘匿しているミューラーを始末するには? 顔つきが若い。また若気のいたりか、この当時はよくしゃべる。たまに笑ったりもする。後ろに立つと殴ったり、アーマライトM16変形銃を使用するなど、基本パターンは昔から。 |
デロスの咆哮 | 1968 | 24年ぶりに発見された国防長官の妻子 | フランス情報部外事部 オマイリー部長 | 不明 | 長距離核ミサイルを完成したフランスに危機感を抱いたKGBは、偽物をでっち上げ、仏国防長官に接近を図る。 |
バラと狼の倒錯 | 1969 | 娘を媚薬で悶死させた男、”黄色いバラ” | スペインの実業家 コルス・ロドリゲス | 3万ドル | 有名人の娘、夫人を誘拐し薬中毒にした上で、ブルーフィルム(当時のエロ8mmフィルム。古い!)に撮影していたのは誰だ? |
色あせた紋章 | 1969 | ソ連保安部(KGV) キニスキー部長 | ハンガリー秘密警察(AVO) クリューガー大佐 | 不明 | ソ連とアメリカの大物スパイ交換が、ハンガリーの”血まみれの橋”で行われることになった。その裏では戦争を望む軍人たちの大陰謀が進行していた。B級スパイ映画のノリ。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 2 檻の中の眠り」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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檻の中の眠り | 1969 | 死刑囚 ”青い目”ザラス | ??? | 不明 | パンドラの島と呼ばれる、アラスカ・ブリストル湾の北刑務所。ゴルゴは囚人として潜入してわざと死刑囚になる。 |
白夜は愛のうめき | 1969 | ??? | ??? | 不明 | ノルウェーで知り合い、愛し合った女はゴルゴの狙撃場面に出くわす。 |
ブービートラップ | 1969 | 仏労働同盟(CGT) アンドレ・ゼギー書記長 | 仏保安局 | 2千万フラン+α | 内閣打倒を狙いストライキに突入したゼギーを暗殺する計画は、直前に国家治安庁によって中止された。ゴルゴは口封じのために、死んでいるパリで殺人集団・薔薇十字同盟に狙われる。 |
黒い熱風 | 1969 | ガボン共和国革命評議会 オーバーメ将軍 | ソ連軍事情報機関(GRU) 殺人課 | 10万ドル | 親米派の将軍を抹殺するため潜入したゴルゴは銃殺になるところを、あやうく救われる。 |
南仏海岸 | 1969 | 金のブラック・マーケットを支配するフランソワ・ギョール | スイスの国際決済銀行 | 不明 | 依頼を果たす前にギョールを殺したのは、盲目の殺し屋イクシオン。プロ同士が衝突する。 |
ゴルゴ in 砂嵐 | 1969 | アラブ連合にミサイルとともに派遣されたソ連の将校二人 | イスラエル モシェ・ダヤン将軍 | 30万ドル | アラブ連合への奇襲作戦を立案したダヤンは、ゴルゴを女諜報員とともにエジプトに潜入させる。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 3 狙撃のGT」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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狙撃のGT | 1969 | 亡命したヨーロッパ情報責任者 王徳明 | 中国統一戦線工作部 | 3千万円 | CIAが護送する中国の大物を狙うチャンスは、スイスへ向かう列車での一瞬しかない! |
駅馬車の通った町 | 1969 | なし | なし | なし | 車が故障して立ち寄ったネバダ州のゴースト・タウンは、脱獄囚が支配する死の町だった。 |
メランコリー・夏 | 1969 | KGBに情報をもらしていた外務省員 アーノルド・グラストン | 英国MI6部長 ヒューム卿 | 不明 | 新婚旅行中に姿をくらましたグラストン。しかし妻はまだマルタ島に残っている。 |
猟官・バニングス | 1969 | ??? | ??? | ??? | 国際刑事警察機構(ICPO)のバニングス刑事は、偽の依頼をでっち上げ、ゴルゴを逮捕しようと罠をしかける。 |
ベイルートVIA | 1969 | パレスチナゲリラ スパイダー6 | CIAフーバー、 KGBキニスキー、 MI6ヒューム卿、 OSS(フランス情報部)オマイリー、 ”虫”(インセクト) | 50万ドル | レバノンのベイルートは中東の中心地として繁栄している。レバノン政府軍とパレスチナ解放機構(PLO)との停戦の合意はなされたが、イスラム過激派はいつそれをひっくり返るかわからない。 |
最後の間諜—虫— | 1969 | 最後の大物スパイ ”虫” | なし | なし | スイス銀行の自分の口座に立ち寄ったゴルゴは、”虫”が自分を始末しようとしているのを知る。”虫”の正体は推測できるが、決定的な証拠が必要だ。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 4 査察シースルー」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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査察シースルー | 1970 | ソ連外相モロトフ | CIAフーバー長官、米国防長官、他 | 不明 | アメリカのスパイ衛星が撮影したフィルムのカプセルがソ連に奪取された。これが明るみに出ると第三次世界大戦につながりかねない国際問題となる。モロトフは国連総会でアメリカを糾弾しようとする。”世界平和に花束を”というKGBキニスキー大佐の最期のメッセージを受けたゴルゴはどうする? |
WHO!? | 1969 | ナンシー夫人の元情夫 イエローダッシュ? | ポルトガルの大富豪パーカー? | 不明 | 脱獄したダッシュは整形して復讐に来たらしい。一体誰になりすましているのか。 |
価値なき値 | 1970 | 毒ガス’トクシンP2’廃棄の護衛 | CIAフーバー長官 | 不明 | 毒ガス輸送車を、現金を運んでいるものと間違えて、ベトナム帰還兵らが狙う。さらに中国統一戦線工作部が毒ガス奪取を計画しているらしい。 |
魔笛のシュツカ | 1970 | 西ドイツ共産党広報部長 マルチン・リスナー | 北大西洋条約機構(NATO) | 不明 | 旧ドイツ軍の秘匿した武器の情報を、リスナーは東側に売ろうとしている。ネオ・ナチが送った老刺客”シュツカ”と標的がかち合い勝負することに。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 5 帰って来た標的」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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帰って来た標的 | 1970 | アメリカ麻薬密売組織の帝王 バグシイ”ビッグ”ガボール | その右腕 ロッキー・ブラウン | 5万ドル | バグシイは組織を売ってFBIに保護されようとしている。出頭するところを射殺したはずだが、バグシイはまだ生きていた! |
殺意の交差 | 1969 | ABCレジャーコンツェルンのブラウン社長 | ボーリング場の支配人 ジョナサン・アープ? | 3千ドル? | 次期社長を狙うアープは、フィットネス・クラブでゴルゴも見かけ、現社長を空中で狙撃するように依頼する。しかし、その裏では他の陰謀が進んでいた。 |
白い死線 | 1969 | 亡命したソ連の毒ガスの権威 オルグ・セルナク博士 | KGB | 5万ドル | 仕事には成功したが、KGBの策略でスイスの山中で遭難しかける。 |
スタジアムに血を流して | 1969 | シンジケートの大物 ニコラス・メランギ | なし | なし | なぜかゴルゴの命を狙うメランギは、オリンピックの射撃選手デイブ・クルーガーを刺客として送り出した。アマ対プロの対決! |
飢餓共和国 | 1970 | ナイジェリアのシェルBP社の油田 | 反乱軍のオハネヒ将軍 | 不明だが、僅かのようだ | 動乱のナイジェリアで、内戦に巻き込まれたゴルゴ。爆弾を抱えた少年を彼は撃てるか。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 6 喪服の似合うとき」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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喪服の似合うとき | 1970 | 昔ゴルゴに失明させられたフランスの伯爵 | なし | なし | 復讐に燃える伯爵はゴルゴを罠にかけようとする。その時、はじめて原因不明の右手のしびれがゴルゴを襲い、絶体絶命。 |
ラブはナイフ | 1970 | ゴルゴの偽物、サーカス出のベン | なし | なし | ゴルゴを倒し本物になりたいベンは、ゴルゴの依頼の件を知って同じ豪華客船に乗り込むが……。 |
17人の渇き | 1971 | ヨット上の二重スパイ”キューピッド” | MI6ヒューム卿 | 不明 | 洋上でスパイの収容が行われるらしいが、船上の誰がスパイかわからない。 |
激怒の大地 | 1970 | ペルーに逃亡した元KGB局員 ビセンテ・ヨーク | KGB | 不明 | KGBはすでに刺客4人を失っていた。すべてナイフで喉をやられたらしい。アンデス山中のその凄腕の殺し屋は誰だ。ちょうどペルー大地震が起こるのは×。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 7 AT PIN-HOLE!」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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AT PIN-HOLE! | 1971 | ハイジャック犯 フリッツ・スタイン | CIA | 10万ドル | キューバに亡命しようとしているスパイのスタイン。エルパソで燃料補給の時間稼ぎをしているが、絶対にキューバに行かせるわけにはいかない。FBIに逮捕されていたゴルゴは釈放され、1km先のコックピットを狙う。銃改造屋のデイブ初登場。 |
Dr・V・ワルター | 1970 | ソ連からアメリカに亡命したレーダーの権威 ワルター博士 | KGB | 不明 | 返還を前に反米に揺れる沖縄で、博士はレーダー・システムの仕上げにかかっている。琉球大学の騒動にまぎれて仕事を果たしたゴルゴは、KGBとCIAの両方に追われることになった。 |
国際ダイヤモンド保安機構 | 1971 | 国際ダイヤモンド保安機構(IDSO)が放った刺客 クリューガー三兄弟 | 闇ダイヤモンド業者 アドリン・B・カザリアン | 5万ドル | ダイヤモンドの独占体制に刃向かうカザリアンはIDSOに狙われている情報をつかんだ。その反撃の依頼には裏があった。 |
番号預金口座 | 1970 | ドミニカの独裁者の息子 ラムフィス・トルヒーヨ | トルヒーヨ自身 | 不明 | 道楽息子は自分自身を消して新しい人生を始めようと計画したが、頼んだ相手が悪かった。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 8 マニトバ」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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マニトバ | 1971 | ソ連から亡命逃走したスパイの男女 | カナダ警察バンクーバー班主任 ダニエル・D・ドレイク | 5万ドル | カナダを公演中のモスクワ管弦楽団の二人が逃亡した。KGB,CIAも捜索するなか、スパイの疑いがある二人を北国で追いつめる。 |
素晴らしきシカゴ | 1972 | ”大物”マックス・ボイドほか、銀行強盗団 | 不明 | 不明 | 老強盗が街に帰ってきた。爆弾をあちこちで爆発させ共産主義者の犯行と思わせているうちに銀行を襲う。 |
デスマスクの肖像 | 1971 | ルイジアナ州知事 エイブラハム・ゴードン | なし | なし | 人種差別的風土が色濃く残るルイジアナで、ゴードンは以前に議員の暗殺をゴルゴに依頼した。その裏には自分の野心が隠されていた。 |
仮面の標的 | 1970 | アルゼンチンの元ナチ情報局部長 ハインツ・カウフマン | イスラエル情報機関? | 不明 | 多数のユダヤ人を収容所送りにしたカウフマンは危険が迫っているのを知り、奇術師のアルドーを使って死んだように見せかけたが……。 |
マッディ・ブラッド | 1970 | リオの暗黒街の大物、ダディB | 不明 | 不明 | ゴルゴをアマゾンの奥地に誘い込む罠をしかけたダディB。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 9 ラオスのけし」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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ラオスのけし | 1971 | 山岳地帯の麻薬王 ”Q” | CIA | 10万ドル | 新しくアジアの麻薬ルートを握った男は正体不明だ。ソ連軍事情報機関(GRU)が関与しているらしく、CIAの刺客も皆やれらている。 |
デス・バレイ | 1972 | なし | なし | なし | ラスベガスの仕事を終え、死の谷に逃れたゴルゴは地元のインディアンに助けられる。そこにはいなくなった弟を捜しに来た白人男もいた。 |
内陸地帯 | 1970 | ボリビアのゲリラ | ボリビア政府軍 | 不明 | 今までジャングルに送った刺客が皆、血を吸われて死んでいるのは何故だ! |
誕生日に白豚を殺せ!! | 1972 | 人種差別主義者グループの黒幕 | ハーレムのジャクソン神父 | 浄財5万ドル | 黒人の仕業に見せかけ荒らしまわっている白人達の裏で、糸を引く者は誰だ? |
暗い街灯の下で | 1970 | ロンドンの暴走族 ジェフ・カーナビー | なし | なし | 郵送中にゴルゴの銃が奪われ、それを使用した連続少女殺人事件が起こる。弾丸を解析した結果、ゴルゴに容疑がかけられる。異常者の心理分析はなかなか時代の先駆けだ。 |
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さいとう・たかを「ゴルゴ13 10 ラ・カルナバル」より引用
タイトル | 発表 | 標的 | 依頼人 | 報酬 | 感想 |
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雪は黒いドレスの肩に | 1971 | KGBの潜入工作員 エドモンド・ウィルソン | CIA? | 不明 | 頭は弱いが気は優しいストリッパーのロージイは、妊娠してヒモに捨てられ絶望するが、ウィルソンに慰められめでたく結婚のはこびとなった。しかし、彼女の幸せも長続きしなかった。 |
アラスカ工作員 | 1971 | KGB非合法工作員 ”隼のイエス” | CIA | 不明 | アラスカの米秘密情報基地の連絡が突然途絶えた。凄腕のKGBエージェントが襲撃したらしい。死んだ局員の死体をどうやって始末したのか? |
鎮魂歌に牙を | 1971 | なし | なし | なし | 続編。ゴルゴを回収しにきたCIAエージェントは、二重スパイ”トナカイ2”だった。シベリアに連れ込まれたゴルゴは彼を殺し、彼になりすます。モスクワではブラジル経由で彼を逃がす計画らしいが、ゴルゴの正体はバレていた。 |
リオの葬送 | 1971 | 元ナチ科学者 ワルター・フォン・オーベルト | KGB,CIA,MI6,フランス情報部、日本内閣調査室 | 50万ドル | さらに続く。オーベルトは毒ガスミサイルを五大国に向かって発射すると脅迫してきたらしい。彼の基地はアマゾンの奥地にある。 |
ナチス鉤十字章は錆びず | 1971 | 元ナチ科学者 ワルター・フォン・オーベルト | KGB,CIA,MI6,フランス情報部、日本内閣調査室 | 50万ドル | まだ続く。武器を調達したゴルゴは単身基地に突入するが、オーベルトに間一髪で逃げられる。 |
ラ・カルナバル | 1971 | 元ナチ科学者 ワルター・フォン・オーベルト | KGB,CIA,MI6,フランス情報部、日本内閣調査室 | 50万ドル | まだまだ続く。カーニバルに沸くリオにオーベルトは逃げ込んだらしい。意外にあっさりしたラスト。 |
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